ロゴ

長い道のりの果てに:世界最強のジェットエンジンがFAA認証を取得

トーマス・ケルナー

20年前、GEのエンジニアたちはジェットエンジンに何を求めているのかを顧客に尋ねるため調査を実施しました。約300項目もの回答が寄せられたなかで最上位にきたのは「燃料消費率」というシンプルなものでした。何といっても燃料費は航空会社の全運営費の5分の1近くを占めているのです。

そこで、GEのエンジニアたちはボーイング社との連携で航空各社が求める製品を生み出しました。GE9Xエンジンです。「ボーイング777X」とそのために開発されたGE9Xの組み合わせは現行モデルと比べて燃料消費率が20%以上も改善されています。9月25日に米国連邦航空局(FAA)の認証を受けたことで、この極めて燃費の良いエンジンは実用化に向け一歩前進しました。同認証は、GEがGE9Xエンジンの商用生産を開始できるという重大なマイルストーンの達成を意味します。

GE9Xは世界最強のジェットエンジンですが、今世紀初頭にはまだ殆ど知られていなかった技術(アディティブ・マニュファクチャリング=金属3Dプリンティング)を取り入れました。「私たちが開発に成功した航空機とエンジンのコンビネーションは、航空市場で無敵だと確信しています」と、このプロジェクトに従事したGEアビエーションでシニア・エンジニアリング・エグゼクティブを務めるカール・シェルドン(Karl Sheldon)は語ります。

GEのメカニカルエンジニアとして約20年間勤めているシェルドンの言葉は、その長年の経験に裏付けられたものです。入社当時、シェルドンはGEリサーチに配属されましたが、そこでは科学者たちが「セラミック基複合材料(CMC)」と呼ばれる軽量でありながらも耐熱性に優れた素材の開発に従事していました。CMCを使用したGE9Xの中核部品の最高耐熱温度は、最先端の合金でさえも変形してしまう華氏2,400度(約1,300℃)です。この灼熱の温度により、エンジンの効率的な燃料燃焼、生成エネルギーの増大、排出ガス量の低減が実現します。

最上部および上部画像:GE9X、専用に設計された「ボーイング777X」では、現行モデルと比べて燃料消費率が20%以上も改善されています。9月25日には米国連邦航空局(FAA)の認証を受けたことで、この極めて高効率のエンジンは実用化に向け一歩前進しました。画像提供:GE アビエーション空局(FAA)の認証を受けたことで、この極めて高効率のエンジンは実用化に向け一歩前進しました。画像提供:GE アビエーション

GE9Xに採用されたその他の重要なイノベーションは、炭素繊維複合材製の波状ファンブレードで構成された直径134インチ(約340㎝)のファンです。高効率のタービンで駆動し、空気を最大限に取り込んでジェット機の推力を生み出すよう設計されています。形状は見慣れないかもしれませんが、実際には第4世代のGE技術を使用したものです。複合材を使用したブレードは、GE90およびGEがボーイング787ドリームライナー用に開発したGEnxに20年にわたり採用されてきました。

シェルドンがGEアビエーションに配属された2007年の時点で、同社はすでにアディティブ・マニュファクチャリングとして知られている金属3Dプリンターを使用した部品造形の試験を開始していました。ここ数年で、GE90、GEnx、そしてCFMインターナショナル(GEアビエーションとサフラン・エアクラフト・エンジン社(Safran Aircraft Engines)の50-50の出資比率の合弁事業)がナローボディ用に開発した革新的なエンジンであるLEAPにも3Dプリンターで造形した部品が導入されています。FAA認証を受けたばかりのGE9Xエンジンは、燃料消費率改善に向けて設計されたノズルを含む300個以上の3Dプリント部品が採用されています。「私たちは、新たに誕生した多くの技術開発の恩恵を受けてきました」とシェルドンは言います。「わずか数年前に開発された技術から得た経験を実際に活用することができたのです。」

この技術開発にはビッグデータやその解析も含まれます。「過去10年間で私たちが世に送り出した各世代のエンジンでデジタル・コネクティビティが重要性を増しており、GE9Xとそれに搭載される一連のセンサー類(the sensor suite)が同技術の集大成だと言えるでしょう」とシェルドンは説明します。「エンジン製造者である当社へのデータ送信を可能にするテレメトリ(遠隔データ収集)はまさに前例のない機能で、エンジンの圧力、温度、フローのモニタリングが可能となりました。GE9Xの将来を予測する能力はあらゆる現行モデルを上回るものとなるでしょう。」

データとソフトウェアも保守費用を抑えることに貢献します。「GE90の保守費と比べたら大きく改善しています」とシェルドンは語ります。「従来よりも複雑化したエンジンでこの効果を実現できるのは目を見張るような技術的功績ですよ。」

FAA認証プロセスには9基のエンジンが使用されましたが、最初の一基はGEアビエーションが2017年にオハイオ州ピーブルズで試験を開始しました。規制当局が厳密に定める同試験計画に含まれていたのは、水、雹、鳥の吸い込み試験や高速回転中のエンジン内部でブレードを破壊する「ブレードアウト」などでした。この過酷なエンジン試験の正念場となるのは、運航中に遭遇しうる事態を超え、可能な限りの圧力、熱、振動をエンジンに加える「トリプルレッドライン試験」です。「様々な種類のエンジン疲労を想定し、実運用の環境条件をはるかに超える負荷をエンジンに加えることで、あらゆる事態を徹底的に検証します」とシェルドンは述べます。

シミュレーションの離着陸試験を多様な条件下で何千回と繰り返してテストエンジンに負荷をかけた後、チームはエンジンを解体して、ナットやボルト一つ一つに至るまで各部品を取り外して点検を実施しました。「物理的に取り外せるものはすべて並べていきました」とシェルドン。「想像してみてください。アメフトの競技場ほどの広さがある場所で、小さな部品を一つずつテーブルに並べ、汚れを落とし、点検し、報告書を作成したのです。」

ピーブルズでの試験後、GE9Xの1基はトラックに積まれ、カリフォルニア州ヴィクタービルまで輸送された後、モハーヴェ砂漠の高地にあるGEアビエーションのフライング・テストベッド(FTB)でさらなる試験を実施しました。そして、昨年ついにボーイング777X試験機4機(同機にも個別の認証取得が必要)に搭載するため、GE9Xの納品が開始されました。420人以上の乗客が搭乗可能な777Xは2022年前半に運行を開始する予定で、GEはすでに600基を超えるGE9Xの注文を受けています。

「このエンジンの内部には、今まで誰も試みたことのない技術が詰まっています」とシェルドンは言います。「その方法を見出したGEチームは、飛行機の未来を切り開くとともに、まさに航空業界の限界を押し広げているのです。このチームの一員であることを心から光栄に思っています。彼らの能力には本当に感嘆するばかりです。」

メール配信メール配信