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外資系企業で働く女性たちに探る、子育てと仕事の両立の秘訣

>深刻化していく日本の労努力不足と少子化に歯止めをかけなければなりません。
そこでGEの働く女性たちから、子育てと女性のキャリアを両立する3つの秘訣について聞いてみます 。

男女雇用機会均等法は制定から30年

この間、女性の就労者数は増えたものの、OECDによれば日本の女性就業率は70.8%(*1)で、調査対象となった34の加盟国のうち23位。今後深刻化する労働力不足を回避するためにも女性の雇用拡大が求められる一方で、少子化にも歯止めをかけなければなりません。

内閣府が「均等法第一世代(1986年から1990年に総合職として就職した層)」を対象に行った調査では、2004年時点で就労を続けていた女性のうち子供のいない人は79.3%で、未婚者は41%にも上りました。当時、女性にとって総合職で働くことは、ある種のトレードオフを強いるものだったと言えそうです。

2004年時点に就労を続けていた均等法第一世代の女性

そこで今回は、子育てしながらも仕事で活躍している3人のGE社員たちの話から成功の秘訣は何であるかを探りました。そこで浮かび上がったのが、この3つ。

子育てとキャリア 両立のための3つの秘訣
1. 「人生をどう生きたいのか」を明確にする
2. 周囲のサポートを含めた環境を整える
3. アウトプット(成果)を出す

その1:「人生をどう生きたいのか」を明確にする

GEに入社する前、留学していた米国で就職し、現地で結婚して2人の子供を育てながら働いていた坂井真理子は日本GEのファイナンス部門で活躍しています。「アメリカでは”働くお母さん”も、”お父さんの育児参加”もごく普通のこと。男性も女性も5時には会社を後にして、子供のサッカーを観て自宅で家族と夕食をとる、というライフスタイルが当たり前でした」と言います。「それでも、夫も私も実家が遠方だったので毎日大変でした。かといって、シッターさんに任せるのではなく家族で子育てをしたい、という思いが強くありました」。自身が生まれ育った海辺の町で両親のサポートを得ながら子育てすることに決めた坂井は、米国人の夫とともに家族で日本にわたり、約8年前に日本GEに転職しました。「働くお母さんって、子供や仕事に対する葛藤や戸惑いを乗り越えなければいけないんですよね。生き方と働き方の明確なグランド・デザインを持つことが大事なのかな、と思っています。グランド・デザインが描けていれば、局面ごとに最重視すべきことを踏まえて惑わずに判断できるし、整理された考えを伝えれば、周囲も理解しやすくなるはずですから」。

日本GEの坂井真理子

坂井真理子 日本GE フィナンシャル・アナリスト
マネージャーとして活躍しながら週2日は在宅勤務。2人の子供と家族と海辺の町に暮らす

GEオイル&ガスに所属する水信優子も「第一子を出産するとき、夫とその先をどうするか時間をかけて話し合ったんです」と言います。子育てに専念して仕事を辞める場合と、出産後も仕事を続ける場合。その両方のメリットとデメリットを、夫婦ふたりで紙に書き出して整理したうえで、仕事を続けることを決断。「元来、上を目指すタイプではなかったものの、仕事は常に面白くて好きだったんです。無理はしすぎないようにしつつ真剣に取り組んでいるうちに、気付いたら責任あるポジションを任せてもらえるようになりました」。

GEオイル&ガスの水信優子

水信優子 GEオイル&ガス リード・コントローラー
「子供がいると、“こうあるべき”と思うことも思い通りにならないですよね。
子育てをしていることで、相手を許容したり異なるやり方を尊重できるようになりました」

その2:プライベート・職場の環境を整える

GEヘルスケア・ジャパンで営業系職務に携わってきた植田智子には、小学校高学年の子供がいます。「出張や外出が多い仕事だったこともあり、出産後も本当に続けられるのか不安がありました。でも、女性の先輩たちから働き続けることを強く勧められて。」その後も着実にキャリアを重ね、PTAの副会長もこなすほどに両立して来られたのは「一番は、夫の理解と協力があったから」と話します。「子供が幼い頃は、送り迎えなど、夫もかなり協力してくれました。“仕事してるんだし、家のこともいつも100%なんて無理だよね“という共通理解があったから、家事ができない時も引け目を感じずに済みましたしね」と言います。職場では、外出先から直帰したり、一旦帰宅して子供が寝静まってから報告書を作るなど、フレキシブルな働き方で子育てと両方をこなしてきました。もちろん会社の風土や制度に恵まれた側面もあるものの、やはり一緒に働く上司や仲間への働きかけも重要だと言います。「やっぱり “私はこういう働き方をしたいです”ということを明確に伝えることも大事。自分の働き方は、自分にしか選択できないですものね」

GEヘルスケア・ジャパンの植田智子

植田 智子 GEヘルスケア・ジャパン 営業推進本部 パートナー推進部部長
「子育て中で早く帰ったりすることに、負い目を感じる日が無かったわけじゃない。
でも、子育ては仕事の障害にはならず、励みになることを実感できたんです」

週2日、在宅勤務している坂井はこう話しています。「電話会議やウェブ接続でリモートからも打ち合わせに参加できますが、どうしても顔を見て進めたい時、同僚たちは私がオフィスに出勤する曜日を選んで会議を設定してくれています」。GEでは在宅勤務制度を活用するのはワーキングマザーだけに限られないため、日頃からチームでスケジュール共有しながら、合理的な手段・タイミングを選んで会議を行っています。

その3:アウトプット(成果)を出す

「多くの職種においてタイムマネジメントは個人に任されていて、アウトプットを出せば自分の裁量で時間を使えるところが良いですよね」と水信。坂井も「結果にコミットする姿勢がなければ、こういう働き方をしたいと主張することもできませんから、やるときはやり抜く、という覚悟は必要かな」と笑います。

所属部門や上司が変わるたびにコミュニケーションをしっかりとって、自分はどんな働き方をしてどのように成果を示していくのか、を都度理解してもらえるよう努力した点も3人に共通するポイント。今では大勢の後輩女性社員を応援する立場でもある植田は「すべてが100%でなければいけないと考えると無理が出ます。あるときは60%、でもここは120%、とメリハリをつけるとか。男女にかかわらずやり方は人それぞれですよね。個性を活かし、その人なりのやり方でアウトプットを出すことを認め合える環境も大事」と言います。

男女に関係なく公平な制度があることの重要性

OECDによれば、日本の家事労働負担は各国と比べて圧倒的に女性比重が高く、“3歳児神話“に代表されるように子育ては女性が行うべきもの、という通念が根強く残ります。そうした中では女性に特化した制度が設けられがちですが、2014年に日本GEが全社員を対象に実施したダイバーシティに関する意識調査では女性たち自身が『女性だけ特別扱いされるのは違和感がある』と感じていることが判りました。そこでGEでは「SmartWork@GE」と銘打ち、男女を問わずフレキシブルなワークスタイルを実践できる風土の伸展に注力しています。これは個人ごとの働き方を尊重し、アウトプットを公平に評価する基盤でもあります。働き方の自由は、アカウンタビリティーやチームにおける互いの信頼があってこそ成立します。

生産性高く働き、仕事に達成感や満足を得て充実した人生を送ることのできる社会を実現するためには、ルールと仕組み、文化、個人のマインドセットなどを全方位から変えていく必要がありそうです。均等法第一世代のように『働き方に生き方を合わせざるを得なかった』時代から脱却し、『生き方に働き方を合わせる』ことは、各個人の努力や周囲と企業のサポートがあれば十分可能になるはずです。

*1 内閣府「男女共同参画白書 平成16年版 コラム:均等法第一世代の女性の未来観」より

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