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緊急電源:紛争と寒さに耐えるウクライナを支えるGEの移動式ガスタービン

冬のウクライナの平均気温がプラスになる日はほとんどありません。およそ1年前に紛争が勃発して以来、家を追われた何百万人もの住民は間に合わせの避難所や爆撃で大破した建物に身を寄せ、厳しい寒さをしのいでいます。そして、昨年10月からロシア軍が発電所を標的にするようになって以来、日常的に起こるようになった停電に耐えている人々も数百万人におよびます。こうした状況の中、ウクライナの電力会社の保守要員は昼夜を問わず、砲撃に直面しながら、市民生活を守る最前線に立っています。GEガスパワーはお客様である電力会社と協力し、生活に欠かせない発電テクノロジーを提供することで同国を支援しています。

ウクライナの喫緊の電力供給を支援するため、GE製TM2500エアロデリバティブ(航空機エンジン転用型)ガスタービンが、このたびウクライナのアントノフ貨物機でアリゾナからウクライナに空輸されました。このポータブル型ガスタービンは、米国政府の人道支援および対外援助機関である米国国際開発庁(以下USAID)によって調達されたもので、ウクライナが最も切望する電力の復旧を支援するために活用されます。

GE Vernovaの一員としてガスパワービジネスを担うGEガスパワーのエアロデリバティブ ビジネス担当ゼネラルマネージャーであるアマン・ジョシは次のように述べています。「GEは、ウクライナのインフラ復旧に向けた取り組みを支援します。私たちのモバイル・エアロ・テクノロジーは、その機動性、信頼性、およびフレキシビリティが高く評価されており、緊急時の電力復旧対応技術としての実績も積んできました。それに加え、今回のUSAIDとの連携は、早急に電力インフラを必要としている国々に対してGEが提供できる支援をまさに象徴するものです。」

アリゾナにて、離陸前のアントノフ貨物機に積み込まれる直前のTM2500ガスタービン。画像提供:USAID

簡単に言うと、TM(トレーラーマウントの略)2500ガスタービンは巨大なガス発電機であり、車輪がついている発電所だとジョシは説明します。一般的に発電所を新設するには1年から4年を要するものですが、このガスタービンは数週間で設置が完了します。約28MWの発電容量をもち、ウクライナの10万世帯以上の家庭を賄うことが可能なこのガスタービンはその名の通りトレーラートラックに積載して軍事侵攻により発電機能を喪失した発電所の現場に移送し、設置することもできます。また、送配電網に直接接続することも可能です。

TM2500は、ボーイング747やエアバスA310などに搭載され、スピードと効率性を誇るGEのCF6ジェットエンジンをベースに開発された航空機エンジン転用型ガスタービンです。いったん設置が完了すれば、出力のパワーアップやシャットダウンがわずか5分で可能なため、緊急時の対応力も高く、燃料の無駄を削減することもできます。また、TM2500には柔軟性があり、燃料の種類が限られる場合でも天然ガス、ディーゼル燃料、あるいはSAF(持続可能な航空燃料)が混合された燃料での運転が可能です。さらに、TM2500は水素混焼にも対応しており、最大85%の水素混合燃料による発電も可能です。このような特長を備えることから、電力会社や各ステークホルダーのCO2排出量削減をより確実に行うことができます。

GEガスパワー欧州・中東・アフリカ地域エアロデリバティブ事業CEOを務めるミダート・ミラビは次のように説明します。「TM2500ガスタービンは市場投入から20年以上が経ち、世界約30カ国で300基以上が導入され、累計600万時間を超える運転時間を記録しています。ヨーロッパでは今回の危機的状況において、GE製TM2500をはじめとする航空機エンジン転用型ユニットがエネルギー安全保障のための理想的なソリューションとなりました。これまでにTM2500の各ユニットはアイルランドスイスでの喫緊な電力需要を満たすために、またギリシャの島々における地元コミュニティに必要な電力を供給するために、それぞれ設置されました。そしてウクライナでも、家庭、病院、学校、重要なインフラ施設を支える企業やその他の機関など、電力が必要な場所への供給を増強するのに貢献します。」

GEは、USAIDのエネルギー安全保障プロジェクト(実施主体はテトラテック社)と緊密に連携し、ウクライナが陥っている喫緊の電力不足を巡る安全保障と迅速な復旧を実現するため、極めて慎重に取り組みました。ジョシは次のように説明します。「事態はかなり深刻です。ウクライナの人々は自分たちに大量の電力が必要なことはわかっています。ですが、まるでチェス盤のように毎週状況が変わり、新たな損壊が発生しているのです。」

TM2500ガスタービンの設置が完了すれば、再びウクライナに明かりが灯り、蛇口から水が流れるようになるでしょう。ジョシは次のように語ります。「設置は非常に困難なものになるでしょう。紛争地域ですからね。しかし、GEが中心となって請負業者や現場の担当者と協力しながら、TM2500をできるだけ迅速に立ち上げ、稼働できるよう尽力しています。」

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