
クリスマス前のアップグレード:サンタのソリを改造してハイテク化
トナカイは気高く美しい生き物ですが、飛行技術の面から見ると、現実と向き合う必要があります。少々時代遅れなのです。サンタはまだトナカイを使って飛び回っていますが、世界は超効率の長距離ジェット旅客機や3Dプリンターで部品を製造したり、近未来の複合素材へと移り変わっています。
これらの技術革新を踏まえ、10年前、ニューヨーク州ニスカユナにあるGEリサーチのエンジニアたちはサンタのソリに21世紀に相応しいアップグレードを施すことにしました。プレゼント配達システムの効率化とステークホルダー(良い子のみんな)に価値を提供するため、エンジニアたちはサンタのソリに夜間に最適な超効率照明や、極寒の北極に適した疎氷性コーティング、在庫インテリジェンス追跡技術、ナトリウム電池を追加するとどのようになるか構想した図面を制作しました。またサンタの体調を考えサンタにワイヤレスの医療センサーを取り付けることにしました。
しかし技術の進歩は止まりません。それは、サンタにとっても例外ではありません。今年になってGEのエンジニアはまた製図板を取り出し、サンタのクリスマス・イブの大仕事の前にソリをさらに改造できるか模索しました。
制作チームはエンジンから始めました。記録的短時間で世界一周するには、極超音速回転デトネーションエンジン(RDE)が必要です。マッハ5(時速3,600マイル超)で飛ぶ極超音速のエンジンを使えば、ニューヨークからシドニーへ3時間もかからずに移動できます。
ところが、サンタが一晩で世界一周するために必要な速度を出すには、RDE以外にもたくさんの最先端技術が必要でした。この開発にあたりGEは部門横断の混成チームを組むことにしました。
技術の進歩は止まりません。もちろん、サンタにとっても例外ではありません。
今年になってGEのエンジニアはまた製図板を取り出し、クリスマス・イブの大仕事の前にソリを更に改造できるか模索しました。
インフォグラフィック:GEリサーチ 上部画像:Getty Images
このソリは、極超音速飛行によって発生する華氏1,800度(摂氏980度)の熱(バーベキューの火力の3倍)に耐えうる素材を必要とします。それが無いと真っ赤なソリも熱で黄色く光り、プレゼントも燃えてなくなってしまいます。
エンジニアたちは熱を拡散してプレゼントとサンタを守るために必要な技術を2つ提案しました。ソリの本体とジェットエンジンのブレードに耐熱セラミックマトリックス複合材(CMC)を使用します。CMCは華氏2,400度(摂氏1,315度)強の温度に耐えつつ、鋼に匹敵する強度を維持することが可能です。さらに華氏1,650度(摂氏900度)、3,600 psiの圧力でも稼働する3Dプリントで制作した超高性能熱交換器を活用してエンジンから熱を逃します。通常のダイビング用のタンクでも3,000 psiまでしか耐えられません。また、この熱交換器はエンジンの出力を向上し、排気ガスを低減します。
サンタが長い旅路での脱水を避けるため十分な牛乳を飲むよう、GEのエンジニアは発汗センサーパッチを提案しています。腕に付けたパッチはサンタの健康状態をモニタリングします。さらに情報漏洩を防ぐため、Digital Ghost(デジタルゴースト)を活用したサイバープロテクション技術も追加しました。この先進的なサイバープロテクション・プラットフォームは、サンタの良い子/いたずらっ子リストへのサイバー攻撃を検出し、無力化することができます。
最後に、GEはサンタの一夜の旅を効率化するためにソリにハンブルなAIを組み込みます。現実世界のシミュレーションに限界があることをAIに教え、代替策を出して不確実性を取り除くようプログラミングします。要するに、AIに次善策を考える仕組みを組み込むのです。この産業用AIの助けにより、サンタはクリスマス・イブの飛行時間を最小化し、プレゼントの配達量を最大化できる飛行計画を立てることができます。
しかしAIが認識できない突然の強風や飛行条件の変更が発生した場合は、AIはソリの運転をサンタに委ねる仕組みになっています。そうすることでフライトの安全性と信頼性は確保され、サンタは世界中の子供たちにこれまでにない速さでプレゼントを配ることができるのです。