トーマス・ケルナー

エネルギー転換を進めるためには、再生可能エネルギーをより多く送配電網へ取り込む必要があります。それは、大きな課題への挑戦と創意工夫を意味しています。GEデジタルのCEOを務めるパット・バーン（Pat Byrne）は次のように述べています。「送配電網は人類が作り上げた最大の装置と言えます。この送配電網にさまざまなエネルギー源に由来する再生可能エネルギーを取り込むには、オーケストレーション（※）が必要です。一口に再生可能エネルギーを利用すると言っても、太陽がいつも輝いていたり、風がいつも吹いていたりするわけではなく、不安定性が伴います。しかしながら、私たちは信頼性が高く、安価で、いつでも利用できる電力を期待するものです。」

※オーケストレーション：もとは音楽用語で、一つの音楽をオーケストラで表現できるよう研究・体系化すること。転じて、複雑なコンピューターシステムやソフトウェアの管理・設定などを自動化することを指す。

バーンによると、1世紀近いあいだ送配電網とは発電所から家庭や企業に直線の「一方通行」の道路のように電気を流す仕組みにすぎませんでした。しかし、現在では電力の流れは急速に複雑になり、電力会社はそれを管理・運営するための高度なツールを必要としています。「どのエネルギー源から発電された電力を、どのタイミングで利用するかをオーケストレーションするということは、実に大きな技術的な課題となっているのです」と彼は語ります。

これまでも、GEデジタルは世界中のお客様が大きな課題に直面した際にともに乗り越えるお手伝いを続けてきました。先日、GEデジタルはオーパスワン・ソリューションズ・エナジー社（Opus One Solutions Energy Corp.、以下「オーパスワン」）との買収合意を発表し、その歴史に新たな1ページを加えました。オーパスワンは太陽光発電や風力発電、蓄電装置などの分散型エネルギー源（Distributed Energy Resources、以下DER）の管理用ソフトウェア開発を専門とするカナダの企業です。GEデジタルのグリッドソフトウェア事業担当ゼネラルマネージャーを務めるジム・ウォルシュ（Jim Walsh）は次のように述べています。「再生可能エネルギーやDERの急速な増加に伴い、世界中の電力会社が新たな課題に直面しています。さらに、世界のどの地域でも、再生可能エネルギーや電気自動車の需要が急増しているため、送配電網および電力事業者が直面している課題はますます厳しいものになっています。」

次世代の送配電網である「スマートグリッド」のためのソリューションは、GEデジタルが担う産業用ソフトウェアのポートフォリオの中でもすでに最大のセグメントに成長しています。今回の合意により、電力会社が高度なDX（デジタル・トランスフォーメーション）を行えるようオーパスワンが設計したソフトウェア・プラットフォーム「GridOS」など、同社がもつイノベーティブなテクノロジーをGEデジタルが活用できるようになりました。

ジョシュア・ウォン（Joshua Wong）オーパスワン社長兼CEOは次のように述べています。「オーパスワンは、お客様である電力会社から、それぞれの送配電網でDERを利用する際の計画立案、運用および処理を統合したエンドツーエンドのプラットフォームが必要だという声を聞いています。この度私たちはGEデジタルの重要な一員に加わりました。クラス最高のソフトウェアソリューションにおける両社の強みを互いに補完し、より成長できることを楽しみにしています。私たちのコミットメントとして、世界的な課題でもあり大きなチャンスでもある現状に直面している送配電網事業者のお客様の力となるために、最高の戦略とテクノロジーを提供し、貢献いたします。」

GEデジタルとオーパスワンはこれまでも協働して、お客様の送配電網がさらに「インテリジェントでサステナブル」なものになるよう、さまざまなDERのスケジュール管理、ディスパッチ（出力制御）、エネルギー源切り替え、および運用計画の改善が可能になるようサポートしてきました。最終的なゴールは、お客様がよりレジリエントでサステナブルな送電網を構築できるようお手伝いすることになります。

ウォルシュはさらに次のように述べています。「GEが送配電網について100年にわたって続けてきたイノベーションと、エネルギーにフォーカスを当てたオーパスワンのチームが融合することにより、今後もさらに優れた英知を持つ人材が集い、お客様と共に新たなエネルギーエコシステムを構築することが可能となります。今回の買収は、お客様の送配電網がさらにサステナブルなものになるよう推進・支援を行うというGEデジタルのコミットメントをさらに強固なものにします。」