ロゴ

うってつけの装備:インドの発電所を復旧させたスマートヘルメット

ジェイ・ストウ

コロナ禍以前のいわゆるトラブルシューティングと、サンジフ・クマル(Sanjeev Kumar)が考えるこれからのトラブルシューティングには違いがあります。

インド全土が新型コロナウイルスの流行を受けてロックダウンのさなかにあった今年5月、GEリニューアブルエナジーのグリッドソリューションサービス事業部門でフィールドサービスリーダーを務めるクマルのもとに、ハリヤナ発電公社(HPGCL)から助けを求める電話が入りました。首都ニューデリーから約140マイル(約225km)北に位置する人口120万人の都市ヤムナナガールに公社が運用する水力発電所があります。この発電所の回路遮断器(サーキットブレーカー)が突然故障し、7.2メガワット相当の電力供給が中断したというのです。このままでは何日も停電が続くおそれがありました。

早急な対応が必要でした。長引く停電は、消費者の生活や企業活動にダメージをもたらすだけでなく、電力会社の収益にも深刻な影響を与えます。ロックダウン中に専門家チームを派遣するのは難しく、時間もかかるため、フィールドサービスエンジニア1名が頼りになる小型装備とともに現地に送り込まれました。その装備とは、『スマートヘルメット』です。

このヘルメットにはワイヤレス通信機能が内蔵され、Android対応ソフトウェアが搭載されています。このソフトウェアを介して、フィールドサービスエンジニアは本社のテクニカルサポートチームとやりとりできます。エンジニアが見ているものを離れた場所にいる専門家も見ることができます。たとえ停電の原因がどこにあっても、遠隔サポートチームと現地にいるエンジニアが問題点を話し合えるのです。

というのもこのヘルメットには、ちょうど目の下あたりにカメラとマイクと小型LCDディスプレイが搭載されているからです。フィールドエンジニアは、両手が自由に使える状態で、ディスプレイに表示されるサポートチームからの指示や回路図を見ることができます。クマルはこう説明します。「もしスマートヘルメットがなければ、スマートフォンを使うしかありません。でも頭に装着されていれば、両手を自由に動かしながら安全かつリアルタイムでコミュニケーションをとれるのです。」

ヤムナナガールに派遣されたエンジニアは、サーキットブレーカーの故障が原因で大型タービンの切替装置に電気が供給できずに停電を引き起こしていることを突き止めました。サポートチームは、1,000マイル(約1,600km)以上南のバンガロールから指示を与えて、回路を閉じていたスプリングにかかる力をリセットするための調整することができました。数時間のうちに変電所は再び動き始めました。「通常であれば、こうした問題をお客様自身が発見し解決するのに2日かかることもあります」とクマルは説明します。

水力発電に力を入れているインドで長く発電所を止めるのは現実的ではありません。現在、インドにおける水力発電の設備容量は50.07ギガワットと、中国、ブラジル、米国、カナダに次いで世界第5位を占めています。GEグリッドソリューションの地域サービスリーダーであるディーパク・シャルマ(Deepak Sharma)は次のように語ります。「国内各地でロックダウンが実施されている今、信頼できる遠隔サポートツールを活用し、お客様の緊急事態にスピーディに対応することがとくに重要です。お客様のビジネスのカギを握るのは、配電網と産業界への途切れない電力供給にあります。お客様の投資を無駄にしないため、私たちはいつでもどこでも設備稼働をサポートする態勢を整えています。」

シャルマのチームの一員であるクマルも危機感を募らせています。「東西南北、インドの全ての地域でこのスマートヘルメットを使えるようにしたいと考えています。」

トップ画像: ハリヤナ発電公社の発電所で回路遮断器スイッチボックスを修理するエンジニア、ヤムナナガール(インド). 画像クレジット: GEリニューアブルエナジー 

メール配信メール配信