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世界で最も見応えのある航空ショー「EAAエア・ベンチャー・オシュコシュ」2年ぶりに開催

トーマス・ケルナー

パリ、ロンドン、ドバイなどで開催される世界的航空ショーでは大型商談が交わされ、その中には10億ドル規模の受注に至る場合もありますが、航空ファンに言わせると、世界で最も「見応え」のあるものは、毎年7月末にウィスコンシン州オシュコシュ市で開催される航空ショーです。当地のウィットマン・リージョナル空港(Wittman Regional Airport)は、航空ショー開催中の1週間は世界で最も混み合う空港になります。なぜなら、期間中には約1万人ものパイロットが愛機で飛来しそのまま滑走路脇にテントを張って滞在するうえ、60万人以上の航空ファンが集まるからです。

第二次世界大戦のパイロット、ポール・ポベレズニー(Paul Poberezny)が1953年に同州ミルウォーキーの自宅地下室で全米試作機協会(The Experimental Aircraft Association、EAA)を立ち上げて以来、正式にはEAAエア・ベンチャー・オシュコシュ(EAA AirVenture Oshkosh)と呼ばれるこの航空ショーは、この空港で毎年開催されてきましたが、昨年初めて開催が見送られました。ですが先日2年ぶりに開催され、パイロットや来場する航空ファンのために自作の実験機から最新のジェット機に至るまであらゆる種類の航空機が出展されました。

会場には航空史を網羅するかのように、ライト・フライヤー号(Wright Flyer)やブレリオ機(Blériot)の復元機からまもなく就航する航空機のモックアップに至るまで、幅広い機種や展示が勢ぞろいしました。GEアビエーションシステムズの社長兼CEOを務めるブラッド・モティエ(Brad Mottier)は今年で40回目の参加を果たし、次のように述べています。「オシュコシュには特別なスピリットがあります。ここには開放感とともにオシュコシュが持っている独特な雰囲気があります。様々な刺激を受けるとともに新たな志がわいてくる場所なのです。」

GEアビエーションは長年オシュコシュ航空ショーに参加していますが、過去と未来の製品を一度に、しかも間近で見るのにこれ以上うってつけの場所はないでしょう。GE Reports担当者が今回のショー会場を実際に歩き、目を奪われた展示をご紹介します。

ブラッド・モティエは(Brad Mottier)40年オシュコシュに来ています。多くのGEアビエーション社員と同様、彼もまたパイロットです。今年は自身の愛機セスナ・キャラバン(Cessna Caravan)でショーに飛来しました。「オシュコシュには特別なスピリットがあります。ここには開放感とともにオシュコシュが持っている独特な雰囲気があります。様々な刺激を受けるとともに新たな志がわいてくる場所なのです」とモティエは語ります。画像提供: GE Reportsのトーマス・ケルナー。トップ画像提供:GE REPORTSのアレックス・シュロフ。
オシュコシュでは何千人ものパイロットとその家族や友人が愛機のすぐ横でキャンプをします。
GEが今年のオシュコシュで出展した最大の呼び物はGE Catalystエンジンでした。このエンジンは民間航空機向けターボプロップエンジンとしては50年ぶりに一から新しく設計されたものになります。画像提供:GE Reportsのアレックス・シュロフ。
CatalystエンジンはGEの大型商用ジェットエンジンの技術とノウハウにデジタルエンジン制御を組み合わせることにより、航空機メーカーに新たな設計上のオプションをもたらしました。このエンジンはターボプロップ機の操縦法を根本から変えると期待されており、現在市場で販売されているGE製エンジンと比較して、燃料と排出ガスを15%も削減することを目指しています。また、このエンジンはバイオ燃料とも呼ばれるサステナブルな航空燃料(Sustainable Aviation Fuel、SAF)を使用することができる上、今後の無人操縦機やハイブリッド機にも搭載できる可能性があります。テキストロン社(Textron)のビーチクラフト・デナリ機(Beechcraft Denali)はこのエンジンを搭載する最初の航空機として市場に投入される予定です。文責:GE Reportsのアレックス・シュロフ。
UPS社はGEnxエンジンを4基搭載する機齢わずか2週間のボーイング747-8貨物機でオシュコシュに飛来しました。GEアビエーションは、ボーイング社の象徴とも言われるジャンボジェットの最新型向けに1種類、ボーイング787ドリームライナー機用にもう1種類、GEnxエンジンの派生仕様を開発しました。昨年、エア・タヒチ・ヌイ社(Air Tahiti Nui)が運航するGEnxエンジン搭載のドリームライナー機がポリネシアの島からパリまでの9,765マイル(約15,720㎞)をノンストップで飛行し商業飛行距離の世界記録を更新しました。飛行時間は15時間45分でした。
GEアビエーションシステムズはドリームライナー機の操縦席に搭載されるアビオニクスも開発しました。ボーイング社はオシュコシュにコックピットのモックアップを持ち込み、来場者はドリームライナー機を操縦する感覚を自分で確かめることができました。文責:GE Reportsのアレックス・シュロフ。
GEアビエーションのグループ企業のひとつであるイタリアのアビオ・エアロ社(Avio Aero)はCatalystエンジンの開発に重要な役割を果たしましたが、エアバスA400Mアトラス軍用貨物機が搭載する高性能なエンジンギアボックスも設計しました。
GEアビエーションとサフラン・エアクラフト・エンジン社(Safran Aircraft Engines)が50%ずつ出資した合弁会社のCFMインターナショナル社(CFM International)は、ボーイング737MAX向けLEAP-1Bエンジンを開発しました。今回ユナイテッド航空は同型機の1機をオシュコシュに飛来させました。CFMは50年近く前に設立されましたが、出資する両社は最近、この合弁事業の契約をさらに2050年まで延長することに合意しました。CFMはこれまでに世界中の600社以上のオペレーターに35,000基以上のエンジンを納入してきました。同社のエンジンを搭載した航空機は合計で10億時間以上の飛行時間を記録しており、これは飛行距離で表すと、地球から冥王星への20往復分に相当します。1980年代初頭にCFMの初期のエンジンが稼働し始めてから、同社の新型エンジンにリプレースすることで、従来型のものに比べ燃料消費量とCO2排出量をそれぞれ40%削減することを実現してきました。それに加え、CFMは今年立ち上げたRISEプログラムも駆使することで、これらの性能をさらに20%改善する予定です。これは、これまでに同社が達成してきた脱炭素化への取り組みの中でも最大の削減率を意味します。
オービス空飛ぶ眼科病院(The Orbis Flying Eye Hospital:注)はMD-10ジェット機を改修したもので、EAAによると「世界95カ国以上で人々の眼科疾患を治療するとともに眼科医療の専門家を育成」してきました。同機はGEのCF6エンジンを3基搭載しています。 注:オービス・インターナショナルは発展途上国における失明の予防および失明につながる眼科疾患の治療に取り組む国際NPO。
A-10ウォートホッグ(A-10 Warthog)はGEのTF34エンジンを搭載する双発機です。同エンジンの民生仕様であるCF34エンジンは、ボンバルディア社やエンブラエル社製の航空機を含む多くのリージョナルジェット機やコミュータージェット機に搭載されています。文責:GE Reportsのアレックス・シュロフ。
GEのエンジンは多くのジェット戦闘機にも搭載されています。F110エンジンは、このF-16や、現在運用されている最新鋭のF-15にも搭載されています。米空軍は現在、F110エンジンを搭載した2機のF-15EXイーグルII(Eagle II)を試験運用しています。文責:GE Reportsのアレックス・シュロフ。
米海軍のF/A-18スーパーホーネット(Super Hornet)はGEのF414ジェットエンジンを搭載する双発機です。
ホンダジェット(HondaJet)はGEアビエーションとホンダが共同開発したHF120ジェットエンジンを搭載する双発機です。直径18.5インチ(約47㎝)、推力2,095ポンドの同エンジンは、GEのジェットエンジン群で最もコンパクトです。文責:GE Reportsのアレックス・シュロフ。
ユナイテッド航空のジェット機に搭載されたGEアビエーションのCF34エンジン。
ボーイング社のAH-64アパッチ(Apache)ヘリコプターにはGEのT700エンジンが2基搭載されています。民間向けの派生仕様であるCT7を含めると、T700エンジンはすでに2万基以上が製造されています。同エンジンは世界130カ国以上で15機種のヘリコプターやターボプロップ機に搭載され、その総飛行時間はすでに1億時間以上に達していますが、今後もどこまで飛行時間が伸びるか想像もつきません。というのも、2019年GEアビエーションは米陸軍から2024年まで1,700基ものT700エンジンを納入する10億ドル以上に上る契約を受注したからです。画像提供:GE Reportsのアレックス・シュロフ。
T700エンジンはブラックホーク(Blackhawk)ヘリコプターにも搭載されています。画像提供:GE Reportsのアレックス・シュロフ。
GEは、元来は高圧ガスタービンの技術だったターボスーパーチャージャー(turbosuparchargers)の知見を活かし、1942年に米国初のジェットエンジンを開発しました。そのわずか5年後には、J-47のような数万機に搭載されるエンジンを製造しています。このF-86セイバー(Sabre)も同様です。画像提供:GE Reportsのアレックス・シュロフ。
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