
新しい空の旅:GE Aerospaceはパリ航空ショーでGEnx、LEAP、アビオニクス等の大型契約を獲得
ジェイ・ストウ
ことし6月にル・ブルジェ空港で開催されたパリ航空ショーでGE Aerospaceの展示場を訪れた人は3つの強い印象をお持ちになったことでしょう。それは、エンジン市場がさらに拡大しつつあること、リーン方式が機能していること、そして新たなテクノロジーが台頭しているという3つです。
GE会長兼CEOおよびGE Aerospace CEOであるラリー・カルプは次のように発言しました。「今回の航空ショーでは、GEの各チームは、リーン方式がどのように機能しているか、たとえばいかに社員に力を与え、どのようにオペレーションの改善をもたらし、かつ、お客様、サプライヤー、そしてパートナーの皆さんに対してより良いサービスを提供できるか、を明らかにしてきました。また、オープンローターエンジン・アーキテクチャの開発を目指したCFM RISEプログラムやハイブリッド電気推進システム、よりコンパクトなエンジンコア、持続可能なジェット燃料(SAF:Sustainable Aviation Fuel)の活用といったテクノロジーを皆さんにお披露目する機会でもありました。」(CFMインターナショナルは、GE Aerospaceとサフラン・エアクラフト・エンジンが50:50で共同出資している合弁会社です。)
また、GE Aerospaceチームは多くの契約を締結し、ジェットエンジン、保守サービス、アビオニクス、デジタル機器などにわたる受注高の増加を明らかにしました。これらの契約には、100基以上のGEnx-1Bエンジン、70基のCFM LEAP-1Aエンジン、80基のCFM LEAP-1Bエンジン、37基のCF34-8Eエンジン、そして複数の保守サービス契約が含まれています。
ここからは、今回のパリ航空ショーにおけるGE Aerospaceのハイライトをいくつかご紹介します。
GEnx-1Bエンジンを搭載したサウジアラビアのリヤド・エアの787ドリームライナー。トップ画像:パリ航空ショーの上空を飛行中のGE9Xエンジンを搭載したボーイング777X。本記事中のすべての画像提供: GE Aerospace
ワイドボディ機市場が再びテイクオフしています。それを象徴するかのように、ことしのル・ブルジェ空港の上空にGE9Xエンジンを搭載したボーイング777Xが華々しく飛来しました(トップ画像)。また、ボーイングの787ドリームライナーや、787貨物機に搭載されるGEnx-1Bエンジンも新たな受注を積み重ねています。今回のショー開催中もリヤド・エアが90基のGEnx-1Bエンジンおよびスペアパーツ、さらに「TrueChoice(トゥルーチョイス)」オーバーホールサービス契約に調印しました。ほかにも、台湾のチャイナエアライン(中華航空)が17基のGEnx-1Bエンジンとスペアパーツを発注したことを発表しました。なお、上画像はGEnx-1Bエンジンを主翼に搭載したリヤド・エアの787です。
CFM LEAP-1Aエンジンを搭載したエアバスA321XLR
GE Aerospaceの他のエンジンシリーズにとっても、今回のパリ航空ショーは好調な受注を呼び寄せる場となりました。たとえば2002年以来CFMのお客様である英国のジェット・ツー(Jet2 plc)はCFM LEAP-1Aエンジンを最大71機発注した新しいエアバスA320/A321 Neoファミリー機の搭載エンジンにするとしており、このうち35機が確定注文です(上画像は、今回の航空ショー上空を飛行するLEAP-1A エンジンを搭載したエアバスA321XLRです)。この契約には、スペアパーツおよび保守サービス契約も含まれています。
CFM LEAP-1Bエンジンを搭載したボーイング737
また、アイルランドの国際的な航空機リース会社であるアボロン(Avolon)は、ボーイング737MAX 40機に搭載するエンジンとして、80基のCFM LEAP-1Bエンジンを発注しました(上画像)。同社は2010年以来CFMのお客様であり、保有ポートフォリオには400機以上のCFMエンジン搭載航空機が含まれています。
さらに、インドのエア・インディアはことし2月に初めて公表したコミットメントに沿って、210機のエアバスA320/A321 Neoと190機のボーイング737MAX向けにCFM LEAPエンジンを搭載する契約を正式に調印しました。同社はあわせて複数年の保守サービス契約にも調印しました。ほかにも、米国の地域航空会社のリパブリック航空は、エンブラエルE170/175リージョナルジェット機用に37基のCF34-8Eエンジンを発注しました。リパブリック航空の発注には、スペアパーツおよび「TrueChoice」オーバーホールサービスの延長契約も含まれています。
ル・ブルジェ空港の敷地内に設けられたGE Aerospaceの展示場
CFMのRISEプログラムで開発中のオープンローター・アーキテクチャのハーフスケールモデルによる展示
ショーの会期中、GE Aerospaceの展示場(上2枚の画像のうち上の画像)では、経営陣が幾度も商談を重ねました。また、ここでは来場者たちがCFM RISEプログラムで開発中のオープンローター・アーキテクチャのハーフスケールモデルが展示されているのを自身の目で見たり、最新のプログラムアップデートを耳にしたりすることができました(上2枚の画像のうち下の画像)。
ロッキード・マーチンF-35戦闘機
F110エンジンを搭載したF-16戦闘機
一方、軍用機関連でもいくつかの重要な発表が行われました。GE Aerospaceはグローバルな製造・保守サポートネットワーク網を活用し、7つのアビオニクスおよびパワーシステムで構成されるロッキード・マーチンF-35戦闘機(上2枚の画像のうち、上方の画像)搭載用シップセット・システムの1,200セット目の納入を完了しました。また、トルコ・エンジン工業(TUSAŞ Engine Industries, Inc. 略称TEI)との間で、F-16およびF-15戦闘機を運用する数カ国にF110エンジンの「デポレベル・メンテナンス・サービス」を提供するTEIのライセンス期限を延長する契約を締結し、軍用エンジンの保守サービス体制を大幅に拡充しました(上2枚の画像のうち、下方の画像はF-16戦闘機に搭載されたF110エンジンの排気口)。
パリ航空ショー2023での来場者の状況
ことしのパリ航空ショーの推定来場者数は、13万人の業界関係者を含む30万人を記録しました。とりわけGE AerospaceとCFMインターナショナルにとっては、パンデミックの影響で2021年は開催中止だったことを考慮すると歓迎すべき来場者数の回復ぶりでした。開催最終日までに、両社はそれぞれさらなる商談を積み上げ、新たな成果を祝うことができました。その代表的な例として、ガルーダ・インドネシア航空が、保有機のCFM56-7BおよびGE90-115Bエンジンをレストアすることを目的とするGE Aerospaceとの戦略的提携を発表したことが挙げられます。またGE Aerospace自身も、米国エネルギー省オークリッジ国立研究所の世界最速のスーパーコンピュータ「Frontier(フロンティア)」を使用し、画期的なオープンローターエンジン・アーキテクチャをモデル化する世界最大級のシミュレーションを実行したと発表しました。これにより、GE Aerospaceはフロンティアがもつ演算能力を産業利用した初めての企業となりました。