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誇りをもって:トランスジェンダーの同僚を支援する航空エンジニア

ソフィー・ハレス&グレッグ・ペッツエ

子供のころから「スター・ウォーズ」や宇宙旅行に夢中だったローレン・ダンカン(Lauren Duncan)は、昔から航空分野の仕事に就きたいと思っていました。しかしトランスジェンダーである自分が女性として生活できるチャンスを得るのは何光年も先のように思えました。

「異性を愛するのが当たり前」という生き方とは違う道を選ぶことに両親が反対するのではと心配した彼女はそのことを秘密にしたまま日々を過ごしますが、大学生活を始めてようやく多様性のある寛容な世界への扉が開かれます。彼女はシンシナティ大学で機械工学を学ぶとともにLGBTQコミュニティに参加して、自分自身の権利を守るためにどうしたら良いかを学びました。

現在、GEアビエーションのエンジニアである彼女は、社内のGLBTA(ゲイ、レズビアン、バイセクシャル、トランスジェンダーと、彼らを理解しその権利を守ろうとする社員によるアライコミュニティ)を代表して世界中のトランスジェンダーを支援する活動に取り組み、自分と同じ道を選んだ仲間をサポートすることに尽力しています。「他の人達が私のようなトランジション(ジェンダー移行)を経験し、本当の自分を開花させる場面に立ち会えるというのは本当にすばらしいことだと思います。」とダンカンは言います。「若い頃はトランジションできるチャンスに恵まれるとは思っていませんでしたから。これまではネガティブなことだと認識されてきましたが、大きな変化を遂げるときが来ました。」

2011年にGEに入社したダンカンは、数年後の人事異動の際、わくわくする気持ちと十分に練った計画のもと自らがトランス女性(注:男性として生まれ、女性として社会生活を送っている人)であるとカミングアウトしました。彼女の友人、同僚やマネージャーのほとんどは応援してくれましたが、それ以外の人に自分を理解してもらうのには苦労することもありました。「男女どちらかの性でなければ、という概念を押し付けられることはまだあります。」とダンカンは言います。「トランス女性は女性らしさが足りない、トランス男性は男性らしさが足りない、という見方をする人もいます。」

こんな時、強い存在感のあるLGBTQ推進者となるよう勇気づけてくれたのは彼女の同僚でした。「その言葉が心に響いたんです。」とダンカンは言います。「二度目のカミングアウトとまでは言いませんが『隠す』という概念を捨てたんです。これは自分の人生で、私は他の人とは違う。でもそれを受け入れてもいいんだ、そうすることで自分らしくあることができるんだと思ったんです。」

「ここで他の人達が私のようなトランジションを経験し、本当の自分を開花させる場面に立ち会えるというのは本当にすばらしいことだと思います。」とダンカンは話します。最上部および上部画像の提供: ローレン・ダンカン

GEはインクルージョンとダイバーシティを重要視しており、社内のLGBTQ社員が快適に勤務できるようなサポート体制があるとダンカンは言います。「GEにはカミングアウトをしてトランジションをすることに安心感があると多くの人が思える文化があります。」

メディアの肯定的な報道や教育は、トランスジェンダーの既成概念を打破することに寄与しており、人々がジェンダーに対する概念を考え直す機会につながったとダンカンは話します。 彼女の両親も例外ではありません。「何年間も自分達の心を見つめ直す努力をして、トランスジェンダーであることを含めて本当の自分を愛してくれるようになりました。」とダンカンは言います。「自分達は子供の何を愛しているのだろう?ということをじっくり考えて、重要なのはジェンダーだけではないということを受け入れる必要があったんです。多くの努力と時間を費やしましたが、私たちは前向きでより良い関係を築くことができました。ここに至るまでには長い時間がかかりましたが、私が人生を謳歌していることを両親はとても喜んでいると思います。」

でももっと努力が必要です、ともダンカンは言います。トランジションの後にGLBTAの活動に従事するようになった彼女は「このトピックに関する社内教育を展開する必要があると感じました。多くの人が応援してくれますが、なかにはどうやってサポートすれば良いか分からない人達もいます。ですから、トランスジェンダーとはこういうもので、サポートする方法はこうなんだという情報を発信していく必要があったんです。」と彼女は言います。

ダンカンは、GEの幹部や管理職に自らの体験談を話し、トランスジェンダーを受け入れる姿勢やトランジションを希望する従業員に最善の環境を与える方法について情報を提供しました。「これまで多くの障壁を取り除いてきました。」と彼女は言います。「自分はトランスジェンダーなんだ、と同僚にカミングアウトをして、自分のアイデンティティを再構築するのは簡単なことではありません。こうした人達の支えになれるよう管理職の方々の手助けができれば、このプロセスを後押ししていくことができます。」

ダンカンは、GEにおけるグローバルなトランスジェンダー推進者としての役割について「職場でのトランジションを経験する人々のために、あらゆる人に情報提供し世界中の社内で協力しあうこと、また、ガイドラインを作成し、もしマネージャーや人事部に説明するとき、まったくの白紙から対話を始めなければならないという状況にさせないことです。」とダンカンは言います。「それからネットワーク構築も重要です。トランスジェンダーの人達の存在感を示すことができれば、自分一人じゃないんだ、本当の自分でいいんだ、と安心感を持ってもらうことができます。トランジションを経験しても職場で問題なく仕事をしている人達がいるんだということを知ってもらうのが必要不可欠です。」

新型コロナウイルス感染症が原因でプライド月間(Pride Month:詳しくは次の段落を参照)を祝うためのイベントの多くが延期となっていますが、GLBTAは、カミングアウトや周囲に受け入れられたことについての体験談を話すようメンバーに働きかけています。ダンカンは次のように語ります。「私にとってプライドとは、みんなが一丸となって、共に立ち上がり、これまでの功績をたたえ、自分らしくあることを受け入れ、お互いに感謝をして、次に何が起こるかわくわくするということなのです。」

1969年にマンハッタンで起きたストーンウォールの反乱を記念して毎年6月に開催されるプライド月間を振り返り、これは世界各地で行われている「ブラック・ライブズ・マター」運動にも重なるところがあるとダンカンは考えます。「60年代の、特にトランスジェンダーである有色女性の方々の努力があってこそ、今の私達のコミュニティがあります。」とダンカンは語ります。「ですから、黒人の命を守るということに関して、LGBTQコミュニティが一丸となってデモ行進をすることは当然のことなのです。私達のこれまでの道のりは平等の実現を目指したもので、今、黒人の命、そして黒人のトランスジェンダーの命が最も危ぶまれているのですから。」

これまでの人生を振り返り、ダンカンは若い頃の自分にこう言いたいと話します。「すべての人が自分を受け入れてくれるわけではないけれど、自分の運命を変えるのも自分の未来をつくるのも最終的には自分なんだ。あなたには自分らしく生きる権利がある。自分を愛して自分が選んだ道を突き進んでいけば、自分を受け入れてくれる人に巡り合って自分らしい人生を生きることができる。」と。

動画: カミングアウト、トランジション(ジェンダー移行/超越)、自分らしく生きること:ローレン・ダンカン(英語)

 

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