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テイク・オフ――石炭からガス・再エネへの近道、コロラド州で新プロジェクト

ダニエル・クルーガー

コロラド州コロラドスプリングスの中心街から少し歩いたところに青い巨大な建造物があります。町を訪れる人がこのマーティン・ドレイク発電所(Martin Drake Power Plant)に足を運ぶことは滅多にありません。しかし、この発電所はまもなくCO2排出量の削減と再生可能エネルギーの供給拡大を目指すエネルギー事業者にとって格好の青写真になる可能性があります。

40年前に建てられたこの発電所は、この地域に電力を供給する2つの石炭火力発電所のひとつです。2年前、運用事業者のColorado Springs Utilitiesはこの発電所の閉鎖を検討し始めました。同社は新たなエネルギー源ーーCO2排出量とコストが高い石炭発電を減らし、再生可能エネルギーの供給拡大を促すものーーを求めていました。このプロジェクトの完了期限は2035年に設定されましたが、その期限を10年以上前倒しできる解決策が見つかったのです。

地元ではSprings Utilitiesの名で知られる同社はGEの画期的なガスタービンLM2500XPRESS* 6基を使い、稼働開始後は合計204MWを供給する見通しです。Springs Utilitiesは、コロラドスプリングス周辺の50万世帯に加えて、ピーターソン空軍基地、フォートカーソン陸軍基地、空軍士官学校、北アメリカ航空宇宙防衛司令部(NORAD)など政府および軍関係の重要な需要家に電力を供給しています。NORADは米国の領空侵犯に備えて監視を行っています。

この技術を羨む人がいるとすれば、それは間違いなく空軍でしょう。GEはこのタービンを「航空機エンジン転用型」と呼んでいます。なぜなら、タービンの心臓部はGEの技術者が本来はCF6ジェットエンジンのために開発した技術だからです。このエンジンには優れた柔軟性があり、CF6エンジンを4基搭載した大統領専用機エアフォース・ワンの離陸に見られるように極めて短時間で出力を高めることができます。また、飛行機の着陸時と同じく出力を急激に下げることも可能です。この柔軟な出力調整を活用して再生可能エネルギーの供給を増やすことができるのです。Springs Utilitiesの運用技術グループでエンジニアリングマネージャーを務めるトーマス・クック(Thomas Cook)は次のように述べています。「風力や太陽光による再生可能エネルギーを増やすと電力供給容量に変動が生じます。速やかに対応して需給ギャップを補い、システムの安定性を確保できる発電ユニットが必要なのです。」

とはいえ、即座に出力を調整する能力はメリットのひとつに過ぎません。この設備は主に天然ガスを使用しますが、ディーゼル燃料も使用でき、切り替え作業中の石炭発電所と比べて運用と保守にかかる費用を抑えられます。「古い発電所は故障も多く、メンテナンスが必要です」とクックは語ります。「これからはコストを大幅に節減できるでしょう」と期待ものぞかせました。

LM2500XPRESSで節減できるのはお金だけではありません。Springs UtilitiesのCO2排出量を2030年までに最大80%削減(2005年比)し、窒素酸化物や粒子状物質の排出量も削減します。

トップおよび上記画像: GEの最新式航空機エンジン転用型ガスタービンLM2500XPRESS* 6基により、Colorado Springs Utilitiesは2025年に新たな送電線が完成するまで需給ギャップを補い市街中心地に電力を供給します。このタービンはマーティン・ドレイク発電所(トップ画像左上)に導入されます。トップ画像クレジット: Getty Images. 上記画像クレジット: GE.

GEのタービンを選ぶ前に、Springs Utilitiesは需要家からの意見収集を含めてレビュープロセスを実施しました。「私たちは公共事業体として、市民が何に関心を持つかに注意を払い、その声を受け入れています」とクックは語ります。同社の経営陣は、信頼性、環境負荷、廉価性を重要な要素に据えて、ドレイク発電所の閉鎖とCO2排出量削減に向けた19種類のソリューションを取りまとめました。

CO2排出量の削減を目指す州や地方自治体が増えている中、コロラド州政府のトップもその例にもれません。同州は昨年、2030年までに州全体のCO2排出量を80%削減するとともに、電力事業者に対し2040年までに100%再生可能エネルギーへ切り替えることを求める州法を制定しました。

GEガスパワーの南北アメリカCEOであるエリック・グレイ(Eric Gray)は次のように述べています。「GEは、相補的なガス・再生可能エネルギー技術の戦略的な展開を加速させ、今後10年間で業界全体の脱炭素化をさらに進めることに尽力します。また、Colorado Springs UtilitiesがGEのLM2500XPRESSタービンを脱炭素化への近道として採用したことをうれしく思います。この画期的な技術が持つ柔軟性のおかげで、Springs Utilitiesは速やかな設置、カーボンフットプリントの削減、将来的な設備移転を容易にするといった理想的な選択を行うことができました。」

発電源としての天然ガスは、石炭発電からよりクリーンなエネルギーに速やかに移行する上で効果的な手段です。ガス発電に切り替えることよりCO2排出量を50%削減できます。さらに、様々な再生可能エネルギーが注目を集めるエネルギーの未来においてガス発電が一定の役割を果たすことが、先日GEが公表した脱炭素化について考察したホワイトペーパーにも報告されています。再生可能エネルギーにとって欠かせない風が吹かない、あるいは日が差さないといった時にはGEガスタービンの出番です。「ガスタービンは、大量の再生可能エネルギーを送配電網に導入しつつ、再エネの性質上避けられない(気候条件による)不安定さを解消できます」とGEガスパワーシステムズのティ・レミントン(Ty Remington)は語ります。

Springs Utilitiesは、2022年春のLM2500XPRESS稼働を目指しています。プロジェクトがスピーディに進むようGEがモジュール方式でタービンを出荷しているため、同社はこの目標に自信を持っています。到着後、現地で3週間程度で設置を行うことができます。

このタービンはLM2500EXPRESSと呼ばれており、LMは地上設置型(land-mounted)を意味します。ちなみに、トレーラー搭載型(trailer-mounted)の「TM」モデルもあります。このタービンは世界に2,500基以上設置され、稼働時間が1億時間以上に達するLM2500ファミリーの最新モデルです。

GEガスパワーは昨年、ドイツに最初のLM2500EXPRESSを設置しました。コロラド州の6基はこの種のモデルとして初めて北米に設置されるものです。

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