
船舶ブレイクスルーの鍵は、航空機エンジン技術と発電所設計ノウハウ
明日開幕する、海事業界の国際展示会「SEA JAPAN」。2年に1度のこのイベント、グローバルな貿易増大を背景に、今回はいっそう賑わいを見せそうです。
海に囲まれた日本の貿易量は、その約99%を海運に依存しています。たとえば化石燃料の安定確保。電力会社やガス会社、商社だけではなく、海運もまた、経済と国民生活を支えるライフラインとして重要な役割を担っています。クルマ産業を筆頭に日本が誇る技術力や“ものづくり“も、高度な海運技術なくして世界シェア獲得は成し得ません。エネルギーコスト削減、製造業の競争力強化においては、海運オペレーションの効率化も重要な鍵を握ります。
船舶の燃料はいよいよ転換期に
紀元前の昔から海を走る船は、その動力源を風から石炭、石油へと変えながら推進力を高めてきました。1920年代から長く続いた石油の時代は、いま、ガス燃料の時代へとシフトしようとしています。
その背景にあるのは、深刻な環境課題。いっそう強化される排出規制のもと、排出オフセットのための処理装置に追加投資が嵩むだけでなく処理装置がカーゴ積載量を圧迫するため、海運コストを下げようにも下げられない現実があります。
The GE STORE
「航空機エンジン技術」と「発電所設計」を用いた舶用推進システム、COGES
もはやこれまでの延長線上では解決できない、と海事業界を悩ませる、環境課題と効率化。しかしGEは、船舶に「航空機エンジン技術」と「発電所設計」で、海事業界にブレイクスルーをもたらします。
GEが提案する新たな舶用推進技術は、ガス、電気、蒸気を賢く活用するCOGES(コンバインド・ガスタービン・エレクトリック・アンド・スチーム)。COGESのメイン駆動力になるのは、GEがトップシェアを誇る航空機エンジンを転用したデュアルフューエル(ガスと蒸留油に対応)ガスタービン、LM2500。これに排熱回収ボイラー(HRSG)と蒸気タービンを組み合わせることで、ガスタービンが発生する熱さえも回収してエネルギーに変えるため、ガスタービン単体の場合の1.3倍以上もの発電を可能にし、熱効率50%以上を実現します。この設計には、電力業界で注目されるコンバインドサイクル発電方式の経験とノウハウが活きています。
航空機転用型ガスタービン LM2500
1993年から通算83万時間以上の海上稼働実績をもち、国内でも75台が稼働中
COGESシステム構成とその働き
(LNG船の場合)
COGESの大きな特徴のひとつは、その軽量性と設置体積の小ささ。低速ディーゼルエンジンと比較した場合、設置体積は約30%も小さく、重量に至っては80%も軽量化。これがカーゴ積載量を増やし、収益を大幅に高めてくれます。
メンテナンスのしやすさも比類ありません。特にガスタービンはその小ささと軽量性から船体上部に設置することができるため、定期点検や万一の故障時にも、最短24時間で交換が可能。メンテナンスコストとダウンタイムの大幅削減を叶えてくれます。
長らくディーゼルエンジンが主流だった船の世界。ガスタービンはまだ少数派とはいえ、LM2500 は1990年代前半から艦船やクルーズ船上で約1,300台が稼働しており、通算83万時間の稼働実績があり、世界中の認証を取得した実証済みの技術です。
4月13日から15日までの3日間、GEもSEA JAPAN 2016に出展し、COGESをはじめ、SCR不要の中速ディーゼルエンジンやデジタルソリューションなどGEの船舶向けソリューションを一同に紹介します。GEブース(ブース番号:B-48)ではCOGESを詳しく知っていただく各種コンテンツをご用意。アプリケーション・エンジニアも、技術的なご質問にお答えします。さらに、下記日程にはCOGESの技術を詳細に解説する、予約不要のテクニカルセミナーも開催。皆さまのご来場をお待ちしています。
<SEA JAPAN 2016 COGES テクニカルセミナー>
第1回 4月13日(水)11:10-11:40
第2回 4月15日(金)12:30-13:00
於:セミナー会場A(参加登録不要、参加無料)