
成長路線への回帰:第2四半期の堅調な業績により、GEがキャッシュフローの見通しを上方修正
トーマス・ケルナー
GEは第2四半期の決算報告を7月27日に行いました。会長兼CEOを務めるラリー・カルプ(Larry Culp)は、業績が堅調で成長路線に回帰しつつあることを説明しました。この結果、GEはインダストリアル部門のフリーキャッシュフロー*の見通しを25~45億ドルから35~50億ドルへと上方修正しました。
「GEは第2四半期に全体的に堅調な実績を上げることができました。受注と売上が増加に転じるとともに、すべての部門で営業利益が伸び、インダストリアル部門のフリーキャッシュフローがプラスの値を示しました。社内のさまざまな事業が活性化しており、ヘルスケアやすべてのサービス部門が業績を押し上げ、アビエーションでは回復の兆しが見られます。キャッシュフローの改善により、通年のフリーキャッシュフローの見通しを上方修正します」とカルプは述べています。
GEの総受注額は183億ドルに達しました。この値は昨年同期と比べ33%の伸びを示し、既存事業ベースでは30%の伸びを示しています。既存のインダストリアル部門の売上*は7%増大し169億ドルに達しました。調整後のインダストリアル部門の利益率*は5.3%となり、940ベーシスポイント(既存事業ベースでは1,000ベーシスポイント)改善しました。
インダストリアル部門の売上はGEの4つの主要分野のうちの3つ(ヘルスケア、アビエーションおよびリニューアブルエナジー)で増加し、残るパワーでも現状を維持しました。また、サービス部門は好調で2ケタ成長を示しました。「ヘルスケア、リニューアブルエナジー、パワーのサービスは2019年のレベルと同等かそれ以上に回復していますし、アビエーションでは市場の回復の恩恵が得られるようになってきました」とカルプは話しており、パワーにおいてはサービスの需要が引き続き堅調で、ヘルスケアのビジネスはコロナ禍以前よりも改善していると説明しています。

この結果はGEの変革を反映しています。「当社はよりフォーカスを絞った、よりシンプルかつ強靭な技術力の高い事業会社となるために大きな進歩を遂げています。GEはこの変革を推し進め、リーン方式を通じて事業を効率化し、分散型ビジネスモデルを推進します」とカルプは話します。
この戦略の一環として、GEの航空機リース事業のGEキャピタルアビエーションサービシズとAerCapの統合を実施しました。3月に発表された本取引はEU当局の基準をクリアし、AerCapの株主による承認を得ました。米国司法省は6月に本取引の検証を完了し、GEは2021年の末までに統合を完了する予定です。
AerCapとの統合を完了すると2018年末以降の債務総額を700億ドル以上削減できるとGEは考えています。この額には本四半期の70億ドルの社債の買い付けが含まれています。
GEのリーン方式による変革はさまざまな事業の発展にもつながっているとカルプは説明します。その例としては、GEアビエーションにおけるサービス対応のスピードアップ、GEヘルスケアにおける医療画像ソリューションの設置時間の短縮、GEリニューアブルエナジーにおける陸上用風力タービンの在庫管理の改善、GEガスパワーにおけるメンテナンス時間の改善などが挙げられます。

また、カルプは新たにGEの経営陣に加わったメンバーついても紹介しました。ピーター・アルドゥイニ(Peter Arduini)がGEヘルスケアのCEOに、ヤン・キアエルスガード(Jan Kjaersgaard)が洋上風力のCEOとなります。そして、スコット・ストラジックはGEパワーのCEOに昇進しました。スチームパワーのCEOのヴァレリー・マルジョレ(Valérie Marjollet)がチームに入ることで、ストラジックは引き続きパワー関連の4つの事業を統括します。
カルプは、将来に向けてイノベーションを重視するとともに、より持続可能な成長と長期的なビジネスバリューを実現するテクノロジーを構築する必要があると指摘します。今年6月にはGEアビエーションとサフラン・エアクラフト・エンジン(Safran Aircraft Engines)が50%ずつ出資した合弁会社のCFM InternationalがRISEプログラムを発表しました。これは、燃料消費とCO2排出を20%以上削減し、持続可能な航空燃料や水素との互換性を100%にすることを目指す最新テクノロジーの開発プログラムです。また、CFM Internationalはインディゴ航空と620台のLEAP-1Aエンジンと関連するスペアパーツに関する複数年契約を締結しました。本契約は同社の史上最大規模の受注金額を生み出しています。

プレシジョンヘルスケアの分野では、GEはAIを活用したオンライン処理を行う放射線医療ソリューションのXeleris Vの提供を開始しました。本製品を導入すると、ワークフローを簡素化し、データアクセスを改善できるため、より多くの時間を患者さんのケアに使えるようになります。また、GEはよりパーソナライズされた医療に役立つ腫瘍学と神経学のバイオマーカーを提供するトップ企業のZionexaを買収しました。
さらに、GEのテクノロジーはエネルギー転換と脱炭素化にも貢献しています。GEリニューアブルエナジーは、世界最大の洋上風力発電所となるプロジェクトの最終フェーズであるドッガーバンクC(Dogger Bank C)向けに87基のHaliade-X 14 MWタービンを提供する契約を締結しました。また、GEガスパワーはオーストラリア初の天然ガスと水素の2つの燃料に対応する発電所であるタラワラB(Tallawarra B)発電所にガスタービンテクノロジーを提供します。さらに、GEのグリッドビジネス部門はインド最大の送電会社であるインド国営送電会社(Power Grid Corporation of India Limited)向けに高圧変圧器を設置します。
また、GEは7月に発表した2020年サステナビリティ・レポートで脱炭素化、プレシジョンヘルス、効率的な新しい空の旅に取り組むことを発表しています。
GEは”We rise to the challenge of building a world that works.”というPurposeを掲げて挑戦しています。最後にカルプはこう締めくくります。「より効率的に機能する世界の実現を目指して、世界中にいる大切なお客様にしっかりと尽くしつつ、利益率を維持しながらキャッシュフローの改善に取り組みます。これにより今後数年間は1ケタ台後半のキャッシュフローマージンを実現できるものと考えています。」

* GAAPベースでない財務指標
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この日本語版は以下の英語版の仮訳です。詳しくはこちらをご覧ください。