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エネルギー転換の強力な助っ人:マレーシアの電力の10%を賄う発電所

ジェレミー・K・スペンサー

いずれの発展途上国も人口増に伴う電力需要の増加と脱炭素化の両立に取り組んでいます。その1国であるマレーシアは、人口3,300万人を抱え新興経済国として急成長を遂げていると同時に、石炭よりもCO2排出量の少ない天然ガスをより多く導入し、石炭から天然ガスへのエネルギー転換の導入事例を増やしつつあります。

最新の事例はマレーシアで2番目に大きな独立系発電事業者であるエドラ社(Edra)によるものです。同社はマラッカ州アローガジャ(Alor Gajah)地区のエドラ・メラカ(Edra Melaka)発電所でGEガスパワーと協力し、同国におけるエネルギー需要の最大10%を満たすのに十分な発電容量2.2GWの発電を始めました。ここは3基のGE 9HA.02ガスタービンが設置された国内最大のコンバインドサイクル発電所です。コンバインドサイクル発電所とは、ガスタービンから出る廃熱を回収して蒸気を生成し、その蒸気で回る蒸気タービンと組み合わせることで、より多くの電力を発電する発電所のことです。

石炭火力発電を段階的に廃止すると同時に天然ガス火力発電に置き換えることで、CO2排出量は最大67%削減が可能です。マレーシアは石炭火力発電の段階的廃止を計画しており、2033年までに発電容量7GW相当の石炭火力発電所が廃止され、ガスを含む他のエネルギー源による発電量が急激に増加すると予想されています。しかし、アローガジャの発電所に設置されたタービンにはさらに次の役割が期待されています。それは、天然ガスに最大50%(体積比)の水素を混合して燃焼するように設計されている点です。ガスタービンの燃料としての水素利用の詳細についてはこちらをご覧ください。

アローガジャの発電所はマレーシアの送配電網に新たに2.2GWの電力を送出し始めました。その電力は同国におけるエネルギー需要の最大10%に相当します。画像提供:エドラ社(Edra)、 トップ画像提供:Getty Images

現在、GE製の発電設備は世界の電力の3分の1以上を生み出しているほか、送電事業会社の90%がGEのテクノロジーを搭載した機器を稼働させています。マレーシアでは他にも、大手電力会社のサザン・パワー・ジェネレーション(Southern Power Generation)が2021年初頭、パシル・グダン(Pasir Gudang)に出力1,440MWのコンバインドサイクル発電所を新設しました。この発電所にはGE 9HA.02ガスタービンが世界で初めて設置され、マレーシアの300万世帯に必要な電力を賄うことができます。

GEは1975年以来、マレーシアの電力供給を支えてきました。現在、同国で稼働しているGE製ガスタービンの設備容量は7GW以上に上ります。

マレーシアから北に位置する中国でもGE製Hクラスタービンが活躍しています。2021年の天津市のプロジェクトでは、老朽化した石炭火力発電所を発電容量661MWのガス発電所に置き換える際、GEのタービンが選定されました。さらに2023年には、約8,600万人もの人々が居住する珠江デルタ地域でGE製の最新のガスタービン2基による1.34GWの発電が開始される予定です。

そして日本でも、JERAの五井発電所において2024-5年までに9HAタービンで2.34GWの発電が行われる予定です。

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