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新たなエネルギー:GEが「リーン方式」で電気発祥の地を変革

トーマス・ケルナー

ニューヨーク州北部に位置するスケネクタディは過去150年で良いことも悪いことも経験してきました。そして今、この都市に新たなエネルギーが注がれています。

スケネクタディは「電気の街」と呼ばれていますが、言い伝えによると「ちょっとした誤解」がそのあだ名の由来とされています。1880年代初期、機関車工場の熟練工だったウォルター・マックイーン(Walter McQueen)は上司と仲違いして工場を辞め、最強のライバル会社を作ることを決意しました。ニューヨーク州上院議員の後ろ盾もあり、スケネクタディ西部に8エーカー(約3,200㎡:テニスコート約16面)の農場を購入して、独自の機関車の製造工場用に広々とした建物2棟を建設しました。

その計画が実現することはなかったものの、残された建物はニューヨーク市周辺で電気事業の新拠点を探していたトーマス・エジソンの目に止まりました。エジソンの査察団が1886年にスケネクタディを訪れた際、マックイーンが元の雇用主と関係を修復したため、空き工場が野原に放置されたままということを知ったのです。世界では電力事業が台頭しており、エジソン・ゼネラル・エレクトリック・カンパニーが強力な発電機、モーター、その他の設備の量産できるよう広大な敷地を探しているところでした。エジソンはすぐさま格安で空き工場を購入し、スケネクタディは電気発祥地となったのです。

数年以内にGE傘下となった同工場は、数十年にわたり安定した成長を遂げました。130年経った今も、企業や家庭に電力を供給する発電所用の発電機や蒸気タービンに加え発電所向け部品の製造を続けています。

一方で、この工場は最近、別の理由で注目を集めるようになりました。GEの変革の中核的なツールである「リーンマネジメント」が持つ力を顕著に示す一例となったからです。事実、ラリー・カルプがGEの会長兼CEOに就任した2年前に導入したイニシアチブの中で最も重要だったのはリーンだったことでしょう。「リーンの原則に勝る経営手法はないと思っています」とカルプは先日も語っています。

リーンは生き方そのもの

20世紀に日本から導入されたリーン生産方式は、米国企業に劇的な変化をもたらしました。数多くの経営手法と同じく、この方式にも独自の用語集やアイデアが含まれていますが、日本語で継続的な改善を意味する「カイゼン」という一つの単語に要約することができます。「カイゼン」とは日常的な作業の改善に努めることを意味し、発電機の製造工場や会計事務所、家庭にさえも適用することが可能です。リーンは「複数のツールのセットではなく、もはや生き方そのものなのです」とカルプは語っています。

同様に、エジソンに所有が移ってからのスケネクタディ工場では発電機の製造が生き方そのものとなりました。発電機の仕組みは、1800年代中期にマイケル・ファラデーがロンドンの王立研究所の地下実験室で最初に製作した発電装置から基本的に変わっていません。発電装置は、1分間に数千回の速度で回転する電磁石を使用したもので、銅線をはめ込んだ大きな鉄管(固定子と呼ばれます)に麺棒を差し込んだような形状をしています。ファラデーの友人かつ同年代のジェームズ・クラーク・マクスウェルが考案した原則に基づき、回転磁場で銅線に誘導した電気を配電線で伝送することにより、私たちは現在、スマートフォンを充電したり、コーヒーメーカーを使ったりすることができるのです。

とは言え、ファラデーが現代の発電機を見たら驚愕することでしょう。スケネクタディで製造される発電機は重量が数トンの最先端マシンで、自動車で言うとフォード・モーター社のT型フォードからテスラ社のセダンへと、その原型から驚くべき進化を遂げています。

最上部:10年以上GEに勤務してきたタッカー・アームストロングは数年前、エンジニアを複数の工場にローテーションで異動させる「製造リーダーシップ・トレーニング・プログラム」への参加をきっかけにリーン生産方式に傾倒するようになりました。画像提供:アンドルー・ロバートソン(GEレポート)。上部:トーマス・エジソンが1886年に購入したスケネクタディの土地でGEは現在も発電機を製造しています。1922年、エジソン(右から3番目)は工場の視察に訪れました。画像提供:Museum of Innovation and Science Schenectady

近代的な発電機の主要部品の一つは固定子バーです。これは銅線と絶縁体からできており、 重さが300ポンド(約136kg)あり、長さ30フィート(約9m)のホッケースティックのような形状で両端の拡張部では膨大な電子が流れています。複雑な3Dパズルのように120本以上の固定子バーを組み合わせることで固定子の内壁を形成しています。単純な構造に見えるかもしれませんが、すべての湾曲は効率を最大にするために精密に設計されています。

発電機の構造が複雑になればなるほど、その製造も複雑な工程が増え、製造上の問題やコストが発生する遅延の原因となることで、最終的にはカスタマーエクスペリエンスに支障をきたす恐れがあります。そこで登場するのがリーン生産方式です。

マインドセットを変える

長年にわたり実績と信頼性を備えた発電機の製造を続けるスケネクタディ工場において、従来のやり方を変える必要性があることは明白でした。スケネクタディでシニアリーン製造スタッフマネージャーを務めるタッカー・アームストロング(Tucker Armstrong)は、生産性の改善に向けて数年前に経営陣が最新鋭機器4台を購入したときのことを振り返ります。この最新鋭機器が投入された工程では改善がみられ生産量が増加しましたが、それは問題をさらに下流に押しやるだけでした。「技術を有効利用したことで新たな問題が生まれました。バーの生産は増えても放置されていたので、リードタイムや在庫の問題解決にはならなかったんです」とアームストロングが説明します。事実、トヨタ生産方式を実現したリーン創始者の一人である大野耐一は、こうした「量産の無駄」を製造における「最大の罪」と表現しています。

10年以上GEに勤務してきたタッカー・アームストロングは数年前、エンジニアを複数の工場にローテーションで異動させる「製造リーダーシップ・トレーニング・プログラム」に参加したことをきっかけにリーン生産方式に傾倒するようになりました。この制度でスケネクタディ工場に配置されたときには固定子バーの生産ラインを担当しました。「毎日、集計・追跡をしていたバーの数は1,000本を超えます」と彼は言います。「プログラム修了後に現場に戻ったとき、生産ラインを改善することが自分の中での使命となっていました。現在、生産リーダーが担当するのは120本なので負担が大幅に軽減されたと思っています。」

これまで、スケネクタディ工場では断続的に新たなリーンの試みがなされてきましたが、2003年に遡る当初の試みは徐々に失速するか、誤った指標に焦点が当てられていました。今回のリーン変革が生じた2018年初旬まで、固定子バーの生産ラインでは「昨日の生産高は何本だった?」という声が聞こえていたとアームストロングは振り返ります。「重視していたのは生産量のみ。ラインの一部では4台の機械を稼働して生産量を増やしていましたが、発電機の出荷量の増大にはまるで立っていませんでした。完成品である発電機やお客様と生産工程との繋がりがなかったんです。」

ニューヨーク州スケネクタディにあるGEガスパワーの工場は、GEの変革の中核的なツールである「リーンマネジメント」が持つ力を顕著に示す一例となりました。画像提供:GE レポート

エンジニアが現場視察

変化があったのは2018年初旬のことです。ガスパワー事業部の活性化に大急ぎで取り組んでいたGEでは、スケネクタディを含む全社員がリーン方式をもう一度意識し始めていました。なかでもリーン方式がもたらす変革の可能性を確信していたのは、当初2年間プラントマネージャーを務めていたスタン・ジェネガ(Stan Genega)です。現在は世界各地の工場を対象としたリーンエグゼクティブとして活躍しながら、スケネクタディ工場のリーンプロジェクトにも携わり、アームストロング率いるチームの取り組みも支援しています。

現地の労働組合との協力で、製造従業員とプロフェッショナル・サポート・チームの双方をリーン研修に参加させ、リーダーはリーン生産方式の主要なツールである工場の「現場視察(ゲンバ・ウォーク)」を開始しました。この観察に基づいて、GEの主力製品であるH53発電機の具体的な「バリューストリームマップ」が作成されました。このマップは、全体的な製造プロセスを個々の生産工程にまで分解したもので、従業員とマネージャーがどの部分に価値を加え、どこにムダがあるかを特定することに役立ちます。「重要なのは、お客様がリードタイムの短縮や品質の改善、商品の値下げを求めているという点です」と、今年8月にスケネクタディ工場のマネージャー、そして発電機のバリューストリームリーダーに就任したエリック・アンダーソン(Eric Anderson)が話します。「もちろん、在庫を蓄積すればミスは目立ちませんがコストは高くつきます。一方、リーンはプロセスの簡素化と集中を図るもので、部品の欠陥などの問題が起きたら生産がすべて停止します。機械を複数使って埋め合わせることはしないため、即座に対応して問題を解決しなければならないという緊張感があります。」

現場の問題が浮き彫りとなったのは、かつて社員のデスクが並んでいたオフィス空間の長い壁にチームがマップを広げて掲示したときです。発電機1台の製造に約1年を要していたのはすでに共有されていましたが、マップのおかげでリーン用語では問題の「根本原因」と呼ばれる最大の元凶を素早く特定することができました。労働力の4分の1、そして製造時間の4分の1を費やしていた固定子バーの生産現場において、発電機に組み込むための完成したバーの納入遅延が頻繁に生じていたのです。さらに再加工や廃棄の対象となる欠陥品も数多く生産されていました。

「作業中の仕掛品が常に800本ほどあったことが現場の問題でした」と、顧客に納品されていない作業中の部品についてアームストロングは指摘しました。この形態の在庫は現金に換算すると合計で数百万ドルに上る場合もあります。「5本の生産ラインでそれぞれ20~30本のバーをバッチ生産していましたが、機械に不具合があってもラインを停止しないため、製造上の問題が20~30本のバーに生じる可能性がありました。一度にたくさんの固定子バーを廃棄する事態に陥ることもあり、そうなると1本数千ドルもの材料費と人件費をかけたものがムダになったことになります。」

さらに悪いことに、バー1本あたりの納期には約11週間が費やされていました。作業の半分がサービス注文、つまり運転を停止した発電機を再起動するためのバーの製造で占められることを考慮すれば時間がかかり過ぎです。「発電所の定期点検のため発電機を停止し、その固定子バーの納品に11週間かかるという事態を想像してみてください!」とアームストロングは言います。

アームストロングは、リーンの中核的な目的である「ムダの排除」に関しては、固定子バーの製造現場が「最大の山場」だったと語っています。「最大の困難を伴いますが上手く行けば最高の影響を生み出せます。ホームランを狙ってフルスイングしたわけです」

工場の模型の隣に立つタッカー・アームストロング(左)と工場リーダーのエリック・アンダーソン 画像提供:アンドルー・ロバートソン(GEレポート)
 写真の中の青い看板『模型を使おう 実際の工場に持ち込む前に模型で試そう』

いらないマシンの島

壁に貼られたマップやそこにたくさん貼られた付箋を眺めることと、その着手に向けて社員を説得することは別の話です。「リーンを円滑に導入するには、その利益を証明する必要があります」とアームストロングは言います。「ここのチームは素晴らしく、イニシアチブにも理解を示してくれたのですが、リーンに対する熱意が明らかになったのは出荷までの所要時間が半減したときでした。」

この取り組みは、バリューストリームマップを壁に貼りだしたあの大部屋で始まりました。チームは、大きなベニヤ板を折りたたみテーブルの上に並べ、発泡プラスチック材、プラスチック製や木製のスティックを使用して1/20サイズの固定子バーの模型を作成しました。さらに、糸を使って固定子バー1本が工場内をどのように移動しているかを追跡しました。その上で、現状のレイアウト、そして作業の簡易化に向けて自らのワークステーションに加えるべき変更について従業員に意見を求めました。

「何かを説明するとき、自分が思い描くイメージが相手のそれと異なる場合があります」とプラントリーダーのアンダーソンは話します。「ですが、模型やモデルを作れば全員の理解を一致させることが可能です。目的地にたどり着く方法はたくさんありますが、最も効果的かつ効率的な方法で達成できるよう努力しています。そうなると後は実践あるのみです。」

従業員は最初、ほぼ自分の作業にしか目を向けていませんでした。アームストロングは言います。「生産ラインの模型を作って、自分のワークステーションの配置を考えるとなったとき、彼らが重視していたのは物理的なことです。『自分にとって物理的にどうすることが最適か?最も多くのバーを生産するためには何が自分にとって最適なのか?』そこで彼らに初めてこう指摘しました。『いや、そうじゃない。一部ではなく注文が来てから完成品が工場から出荷されるまでが最も重要だということを念頭に置いて設計して欲しい』と。その後は従業員に任せて、現場のレイアウト方法の絞り込みや順位付けを行ってもらいました。」

間もなく、重さ200トン・60年使用されているプレス機の模型(発泡プラスチック製)はベニヤ板から外され、「いらないマシンの島」と入り口の横に貼られた部屋の専用棚に置かれました。その数週間後、12万平方フィート(約1万1000㎡:東京ドームの約5分の1)に相当する工場スペース(固定子バーの生産ラインが最初に占有していたスペースの半分)が空き状態となり、各バーの移動距離が2.5マイルから0.3マイル(約4㎞から480m)に削減されました。

スピードアップに向けた減速

これを実現可能にしたのは、チームが採用した2つの主要なリーン戦略です。第一に、バーをバッチで大量に流していた方式から一個流しの方式に変更しました。直感的に違和感があり、未だに「一個ずつ流したら生産性が下がるのでは?」と思ってしまうかもしれません。しかし、安全性、品質又はプロセスの問題が発生したら、すぐさま目視してラインを停止することができるという正反対の効果が生まれています。「スピードアップするには減速することも必要なのです」とアンダーソンは述べています。

第二に、従業員に全体像(big picture)を意識してもらうように変化を促しました。作業場を超えて隣の同僚が何をしているのか観察するよう従業員に促しました。一つの業務の専門家としてではなく、生産ラインを理解し、バーの屈曲から絶縁まで様々な作業に対応して、各工程が最終的な結果にどのような影響を与えるかを把握することのできる包括的な専門家となるための研修を提供したのです。

そうすることで従業員は、先の多様な生産工程を踏まえて作業を行うことができ、各工程で問題がなかったかどうかの確認もできるようになりました。「従業員は、他の作業場に対する自らの影響について、さらにお客様や他のバリューストリームに対する私たちの影響について目を背けているところがありました」とアームストロングは言います。「この模型は、現場のレイアウトを把握して、ラインの作業がお客様に及ぼす影響について理解することに役立ちました。一定期間に数百本ものバーを処理したところでお客様には関係ありません。彼らにとって重要なのは『注文したバーが発電機に届くのはいつなのか』ということなのです。」

リーンプロジェクト前(上部)と後(下部)の固定子バーの生産ライン。画像提供:GEガスパワー

現場の整理整頓

「多くの人はチャンスを逃している。なぜならば、チャンスは作業服を着てちゃんと仕事をしなければ訪れないからだ。」というのはトーマス・エジソンの格言です。実際、リーンプロジェクトに取り組んでいるスケネクタディのチームは現在、過酷な段階を迎えています。

チームは2019年前半、模型からの教訓を工場フロアに適用するため、全長60フィート(約16m)ほどの設備を含む30台以上の機械の撤去、廃棄又は競売を行いました。「床には穴がたくさん空いていて、内装をすべて取り外した状況でした」とアームストロングは言います。次に、手持ちの機械で生産ラインの組み立てを行いました。「新しいマシンは一つも購入していません。必要なものはすべて揃っていましたから。」

作業場の設備を撤去することで、「5S」(整理・整頓・清掃・清潔・躾)として知られるもう一つのリーン原則に焦点を当てることが可能となりました。「まずは現場の掃除からです」とアームストロングは説明します。「現場が整理されていないと、人間工学的にも安全性の面でも問題が生じるだけでなく、その日に必要となる銅線が十分にあるかどうかも分かりません。すべてを整理整頓することで、日々の業務に必要となる工具や材料を目視して確認することができました。」さらに、生産ラインからは個人用ロッカーも撤去することで、従業員がロッカーから自分の工具を取り出す手間を省くことができました。「これには反論もありました」とアームストロングは認めます。「現在はワークステーションのシャドウボード(工具の形を描いた壁)に必要な工具が完備されています。すべて共用可能で、現在の新型コロナウイルス・パンデミックに対応した安全・衛生措置も強化されました。」

これらのシャドウボードは、ジェネガとアームストロングが考案した7人構成のリーン専属SWATチームが制作したもので、彼らが最初に配備したものの一つです。ジェネガによれば、バーの製造現場でリーンプロジェクトを早急に成功させるための鍵は、フロアにいる従業員の意見を聞き入れ、工場内で起こる変化の一つ一つに彼らを関与させるという文化を構築することでした。そして、工場内のさまざまな製造オペレーションを把握し、高度なスキルを習得した従業員で構成されるSWATチーム(リーン用語では「ムーンシャイン」チーム)の編成もその一例でした。

現場にはSWATチーム専用のスペース(ムーンシャイン・ルーム)が確保されており、工場内の問題を解決するため再利用された工具類(フライス加工、溶接、木工など)が設置されています。ここでSWATチームは、新しいアイデアの試作品を迅速に作成し、既存の生産ツールやプロセスに改善を加え、新しいリソースを追加していきます。

SWATチームは、生産ラインで生まれたアイデアを聞き入れるなどして、より使い易く現場の用途にカスタマイズされたカートやツールを制作し、移動装置や床材の大部分を設置するためワークステーションの配置換えを実施しました。「何かを探し回る必要はありません」とSWATチームの一員であるジョン・フェルト(Jon Felt)は言います。「すべてがここに揃っていて、常に準備万端であるべきです。出勤して、手袋をはめたら、すぐに作業を開始できます」。これまで、こうした業務はセントラル・ワークショップに委託されており、対応に遅延が生じることもありました。「いまは私たちがそのギャップを埋めています」とフェルトは語っています。

さらにフェルトは、ムダをなくすため「実践から学ぶ」アプローチを採用したとも付け加えました。「みんなが必要としていることは大体把握できましたから、後は工場全体を改善していくだけです」と彼は語ります。

「個人的には早く退職したいです。私も解決策の一部になりたいですから(笑)」

今すぐ、ここで

チームが導入した変化の全貌は、新しい生産ラインの稼働ですぐさま明らかとなりました。2019年4月、固定子バー1本の平均的な製造所要時間は10.8週間でしたが、その半年後、新しい生産ラインと一個流し生産方式の導入によって同じ仕事量を4.5週間で終えることが可能になりました。「以前のやり方は私たちにとってやり易いものではありました。余分な在庫やバッチは緩衝材の役割を果たしますから」と、固定子バーの作業場でセルリーダーを務めるブライアン・マルヴェイ(Brian Mulvey)が話します。「しかし、それは私たちがどれだけコストを無駄にしているか、バーの製造にかかる時間がどのくらいなのかを解決する方法ではありませんでした。マインドセットを変える必要があったんです。」

そして変革が遂行されました。「かつては巨大な容器に50~60本の固定子バーを並べて同時に作業するという手法でした」とバーの生産現場で従業員を務めるブルース・ウィア(Bruce Weir)が話します。「リーンでは、全工程を通して1本ずつの対応となります。在庫やバーがフロアに散乱することもありません。カート数やその交通量も大幅に減少しました。作業に必要なものはすべて、まさに今、ここに用意されているのです。」

チームの作業も効率化されました。新しい生産ラインに必要な従業員の人数も減ったため、マネージャーは別の作業場に従業員を配置することができます。「固定子バーの生産ラインの作業量が増えた場合、従業員を必要な時に必要なラインに投入できるというメリットがあります」とアームストロングは言います。

リーンな工場でのスローガン

リーンプロジェクト開始から18ヶ月後、チームはリードタイムの半減に成功したのみならず、在庫量の84%減も達成。バーの移動に必要だったクレーンの動作を22回から8回に削減できたこともあり、負傷件数も45%減となりました。12万平方フィート(約1万1千㎡)の空きスペースはGEの別部門にリースされています。

これで終わり?そんなことはありません。リーンとは継続的な改善を意味します。従業員は、作業場に立てたホワイトボードの前で、各シフトの前後に運転状況や進捗、停滞に関するミーティングを行い、変更を加えたいときには今でも模型を使用します。「フロアで実践する前に模型で実験しよう、と言っています」とアームストロング。「それが現場のスローガンになりました。」

現在、スケネクタディ工場の4つの作業場にて11のリーンな生産ラインが稼働しており、チームはコロナ禍においてもソーシャルディスタンスの確保とマスク着用、フラットスクリーンを利用してリーンアクションワークアウト(LAW)を実施してきました。「状況に順応する必要はありましたが、活動は停止しませんでした」とアンダーソンは言います。このワークアウト(リーン用語での「カイゼン」)を利用することで、生産プロセスをより深く検証し、工場に搬入される原材料の品質等の側面にも焦点を当てることが可能です。「私たちはますますきめ細かな対応ができるようになっています」とアームストロングは述べています。「すべてのワークステーションにおいて、機械の停滞を引き起こしている工程を調べ上げますからとても良い勉強になります。」

アームストロングは、スケネクタディ工場におけるリーンプロジェクトの進展の鍵は、従業員の関与を促して、彼らをプロセスの最重要な要素に据えたことだと話します。「リーンにおいては、経営陣から従業員までチーム全員が企業文化を変えることにコミットし、継続的な改善に集中する必要があります。私たちは最初から彼らの賛同を得る必要がありましたが、それを可能にする唯一の方法は自らが模範を示すことでした。」

彼の手法はすでに成功したといっても過言ではありません。

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