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LED電球が変える「電球」のカタチ

トーマス・エジソンが特許を取得して以来、変わることのなかった電球のカタチ。
しかしLED電球なら、伝統的な白熱電球の形にこだわる必要はないかもしれません 。

白熱電球の特徴的な形状は、135年前にトーマス・エジソンが特許を取得して以来、一貫して変わることがありませんでした。電球と言えば、優れたひらめきやアイディアの象徴として、「ひらめきのマーク」であるかのごとく世界中で愛されてきました。でも、次世代にそんなピクトグラムはもう通じないかもしれません。

「法律が変わって いよいよ白熱電球の使用が昨年から段階的に廃止され、電球型蛍光灯(CFL)もいまやより効率の高い発光ダイオード(LED)に替えられようとしています。LEDなら、伝統的な白熱電球の形状にこだわる必要がありませんからね」と、GEライティングの家電照明担当チーフ・イノベーション・マネージャーのトム・ボイルは説明します。

GE製LED 「Bright Stick」

さまざまな形状で製造可能なLED電球。
“筒型”のGE製LED 「Bright Stick」は日本でも2015年中に発売予定。
(画像:共にGEライティング)

ボイルによると、白熱電球の伝統的な洋梨型(Aライン)は、透明容器を作るための吹きガラス技法に起因していました。「私たちが最初に作ったLED電球も洋梨型でしたが、それは単に心理的な理由で、誰もがその形状に慣れ親しんでいたからなんです。洋梨型に代わるよりよい形状がなかったということじゃないんですよ」

その証拠に、GEが最近発売した新しいLED、60ワットのCFLに替わる「Bright Stick」は、巨大な白いリップスティックのようなスレンダーな形状の底に、銀色のエジソン・スクリューベース(ネジ式口金)が付いています。価格は、米ホームセンター大手のホーム・デポで買うと、3個セットが10ドル未満という低価格。「米国には約40億個のソケットが存在していますが、LED装着率は10分の1にも達していません。私たちは、この割合が10年後には50%に到達すると確信しています」とボイルはLED普及に期待を寄せます。

初期の白熱電球を作る吹きガラス職人

初期の白熱電球を作る吹きガラス職人(画像:GEライティング)

GEの研究所で働いていたエンジニアのニック・ホロニアック(下の動画参照)が可視光を放射するLEDを発明したのは1963年。その後も世界中で研究が行われてきたLED技術は、この5年間で大きな進化を遂げました。ボイルによると、LEDの効率はここ数年、毎年7%近くも向上しており、デザイナーたちは電球を小型化したり、ヒートシンクや冷却フィンをサイズダウンすることも可能になりました。また、価格も2011年以降10分の1まで低下し、60ワット相当のLEDは当初50ドルだったものが今では5ドルを切るまでになりました。

GEのテストでは「Bright Stick」の寿命は15,000時間、1日3時間の使用で14年間使用可能です。しかも、CFLに比べて80%もエネルギーを節約できる上、スイッチを入れれば瞬時に点灯。特別なリサイクル技術を必要とする水銀などの有毒重金属を一切含まないメリットもあります。

そんな“イマドキ“のLED電球。形状をスティック型に決定するまでに、GEでは5種類のデザインを試しました。「Aラインに固執する理由がないなら、上品でシンプルなデザインにしたいと思いました。どちらのデザインでも光の広がり方は基本的に同じですが、スティック型の方が発送や保管の利便性に優れていますからね」

1880年に特許を取得したエジソンの白熱電球

エジソンは1879年に白熱電球の特許を出願し、1880年1月に特許を取得した
(画像:GEライティング)

LED電球の形が変わっても、変わらないモノもあります。それは電球の底に付いているエジソン・スクリューベース。エジソンは白熱電球のビジネスを成長させるには電球を交換するシンプルで経済的な方法が必要だと考え、ニュージャージー州メンローパークにある自分の研究所でこのスクリューベースを発案しました。1900年のある日の夕方、幾度も失敗を重ねていたエジソンにインスピレーションを与えたのは、オフィスにあった灯油缶のふたの内側のデザインでした。この時エジソンは「これは間違いなく、電球にもソケットベースにも最高だ」と話した、と伝えられています。

1世紀前に世界中の生活様式を一変させたエジソンの白熱電球時代の名残は、もうすぐこの「ソケット」のみになるに違いありません。

さまざまな発明を手掛けたトーマス・エジソン

さまざまな発明を手掛けたトーマス・エジソン(右)
(画像:GEライティング)

※最上部の画像:約1世紀にわたり保たれてきた一般的な電球の形状(画像:GEライティング)

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