
知識は力:ソフトウェア以上のもの・・・
―これは、スティーブン・マーチン GEパワーのチーフ・デジタル・オフィサー本人が8月15日にLinkedIn投稿した記事の抄訳です―
普通の人がこの文章を読む間に、36ペタバイトのIoTデータ(文書で埋められた引出し4つのキャビネット7億2000万台にほぼ相当する量)が作り出されます。この数は、2019年の終わりには2倍になることが見込まれています。皆さんが今日の昼食を食べている間に、GEパワーデジタルのソフトウェアは8億6400kWhの電力(米国アトランタ市の電力を2か月間十分供給できるだけの量)を管理するでしょう。さらに、当社の1200社を超える各顧客が、産業IoT(IIoT)のプールに何テラバイトものデータを日々追加しています。
驚くほどの量にも関わらず、これはまだIIoT革命のほんの始まりにすぎません。そして、この分野に対するGEのコミットメントは日々深まっています。電力市場の大きさと重要性によって、実質的な競争が確実に起こることとなり、映画「ウォール街」に登場する私が最も好きなキャラクター、ゴードン・ゲッコーの言葉を借りて言えば、「競争は良いことだ」となります。競争は成功へのハードルを確実に上げ、ソリューションが市場ニーズを超えることを保証するからです。
電力網のさらなる効率性確保は業界全体の重要領域であり続け、IIoTはそこで大きな役割を担います。簡単に言えば、発電効率で世界記録を更新し続けるハードウェアが、多くの人が活用する電力網においてそのハードウェアを最適化させるソフトウェアを通じて、エネルギーを支えることになります。
しかしこのようなソリューション(当社がインドの重要顧客と進めているようなもの)はまだ始まりにすぎません。著名な作家マイケル・ウェバー博士は、「見通せる限り、今日がこの産業でもっとも楽な日だ」とよく言っています。この分野で働く人の誰もが、ここ数年でどれだけの変化があったか、また今後数年でどれだけの変化がもたらされるかを知っています。
この市場で結果を出すには3つの具体的な要素が必要となります。その分野における直接的な知識、運用システム、そして拡張可能な基盤です。
電力エコシステムで使われるハードウェアに関する経験に基づいた専門知識は最も重要です。ハードウェアを設計し、最適化したエンジニアと近い位置にいればいるほど、経験として良いということです。このような知識は一般化できると主張する人もいるかもしれませんが、それはばかげています。これは病気の原因が分かっているから、医者は必要ないと主張するのと同じことです。医療では、病人を治療するには専門知識と実際に何が起こったかを診断する能力が必要です。電力業界でも一緒です。ノイズから信号を解読することが価値を生み出すことから、そのための専門家の重要性は明確です。当社は今日、そして日々60ヵ国で3億5000万人を対象とする、当社が管理する世界最大のガスタービン群に対して900,000件を超える分析を行います。このハードウェアの開発と最適化に生涯をささげた技術者により集積された膨大な量の専門知識があるため、当社はこのようなことが可能なのです。
運用システムへのアクセスも同様に重要です。発電、送電、配電を駆動するソフトウェアとその統制はエネルギー網のバックボーンです。世界の電力の4割強が発電所から家庭のコンセントまで、そのライフサイクルの何らかの時点でGEソフトウェアによって管理されているということに留意してください。例えば、分散型電源管理システム(DERMS)のような新興領域におけるリーダーとして認められるということは*GEの何十年にもわたる運用経験だけではなく、未来に対する投資へのコミットメントをも反映しています。このようなシステムは、電力網の状態について熟知しています。結果として、GEはその最適化のためのデータ供給源になりつつあります。
このソフトウェア層に直結するということは、単にシステムの状態を知るということだけではなく、「クローズド・ループ制御」を実現することで、何らかの改善対策を取ることが可能であるということです。この層の論理的延長になり得ない最適化ソリューションは、良くても、豊富さと対応能力の欠けた、ただのレコメンドエンジンでしかありません。
最上部画像:ニューヨーク州電力公社、米国最大の州立公社が25,000平方フィート(約2,300平方メートル)のデジタル「ミッションコントロール」センターを昨年12月にニューヨーク州ホワイトプレーンで供用開始。画像クレジット:NYPA。上図:エネルギー市場で結果を実際に出すには3つの非常に具体的な要素が必要となる:その分野における直接的な知識、運用システム、拡張可能な基盤。画像クレジット:GEレポート。
最適化の機会を特定できることは良いことですが、それに対して実際に何ができるかは全くの別物です。セキュア且つフェイルセーフなクローズド・ループ処理の一部として発生するよう、変化を自動化することは試験的な科学プロジェクトの領域から実際のビジネス価値を生成するソリューションにまで昇華させることです。
最後に、3番目の領域である、拡張可能な基盤はしばしば扇情的会話のネタとなっています。IIoT世界にわたる顧客はこの領域で多くの進化を目の当たりにしており、今後も進化が続きます。
現在、GEパワーデジタルの大多数の顧客はインターネットから隔離されたプライベートネットワーク内に存在するソリューションを使用しています。当社の基盤は、今までに構築された最も信頼性の高いミッションクリティカルなネットワークとしての役割を果たすため、何年にもわたって中断なく動作することが求められます。当社顧客の多くは規制による管理が理由でこの仕様を取らざるを得ませんが、これにはしかるべき理由があります。
とはいえ、機が熟せば、さらに多くのソリューションがパブリック・クラウド基盤を活用することに疑いはありません。クラウドプロバイダーはこのトレンドを明確に認識しており、このようなニーズに対処するためにPaaS(Platform as a Service)コンポーネント、SaaS(Software as a Service)コンポーネントなどのツールキット構築をますます増やしています。当社はこの進化を予測し、歓迎し、取り入れます。さらに重要なことに、当社は全ての稼働時間を要件とするソリューションのバックボーンとしてパブリック・クラウド技術を活用することを考えています。
真似することが最も誠実なお世辞であると言われますが、当社は競合他社を意識するよりも、顧客と業界のニーズに応えることに注力します。GEパワーは引き続き業界の専門家が保障するパフォーマンスを対象業務に対し提供し、財政面でも保障します。当社は、当社のプラットフォームの堅実性を保証し、クラウド、エッジ、オンプレミス展開に対するあらゆるオプションを顧客に提供することを今後も継続します。ここに明言しますが、この変化の海を顧客と一緒に航海するに当たり、当社は顧客が、最も大きな船で、安全な航海をするということを保証します。
*出典:IDC MarketScape: North America Distributed Energy Resource Management Systems 2018 Vendor Assessment, doc #US41793416, July 2018