
GEのデジタル事業に対する長期的な強いコミットメント
―これは、ジョン・フラナリー GE会長兼CEO本人が記し、8月1日 に投稿した記事の抄訳です―
GEは6月26日に、会社の経営に関する大幅な変更を発表しました。ビジネス(事業部)による意思決定を重視し、ビジネスのリーダーにツールや責任を持たせて、本社コーポレート部門からの指示ではなくビジネスの現場に近いところから成長やイノベーションを推進してもらうようにしました。
GEデジタルについても同様で、この戦略がほぼそのまま当てはまります。GEは産業向けIoT(IIoT)のリーダーであり、GEデジタルは、発電所、航空会社、病院などのお客さま向けにソフトウエアその他のデジタルツールを構築するなど、お客さまの事業運営上の問題を解決するにあたり重要な役割を担っています。
GEのテクノロジーをお客さまや取引先にお使いいただく前には、まずはGEの自社工場で導入しました。エンジニアがGE機器から発せられるデータをスマートアルゴリズムに送り、そこで得られた結果を生産性向上、運用の改善につなげました。今日では、世界各国のGE工場において、ソフトウエアの活用により電気料金の節約、生産の最適化、在庫の削減その他の効果が上がっています。
よりスリムで敏捷な組織をめざす一環として、GEデジタルについては、技術、市場開拓および投資の要素が含まれる提携関係を模索することとしました。最近発表されたマイクロソフト社との提携がその例です。この戦略転換には異論もあるかもしれませんが、これは当社の経営方針に完全に沿ったものです。デジタル事業部が中心となって、デジタル戦略を含め成長のための計画を自ら決定し、ソフトウエアを活用して事業の効率化を図ります。この体制により、GEはお客さまとの距離を縮め、チームはより一丸となって、変化に適応しやくなります。GEはデジタル事業にコミットしており、お客さまのデジタルアプリケーション導入を支援することは、引き続きGEの最優先事項です。
「将来はデジタルの時代です。そしてGEはその主要なプレーヤーとなります」とGE会長兼CEOのジョン・フラナリーは言います。最上部画像提供:ゲッティイメージズ 上部画像:GEパワー
IIoTについては、当社は強気の姿勢を維持しており、新たなアプリケーションの開発も続けています。今日、数多くのGEビジネス、そのお客さまおよび社外の提携先がGEの「Predix」ソフトウエアおよび機械学習ツールを活用して、事業の生産性向上と効率化を実現しています。その中には、エクセロン社、インベナジー社、ニューヨーク州電力公社(NYPA)などの米国大手電力会社、オーストラリアのフラッグ・キャリアであるカンタス航空、エレベーターその他の機器を製造するスイスのシンドラー・グループおよびブラジルの鉄鋼メーカーであるジェルダウ社が含まれます。
例えば、GEとカンタス航空とのコラボレーションとして始まったFlightPulseというアプリでは、燃料節約や燃費を改善できる部分など、カンタス航空のすべてのフライトのパイロットデータが見られます。「FlightPulseは、パイロットのために、パイロットによって設計されました」とカンタス航空の航空機事業を統括するマイク・ギャルビン機長はGEレポーツに話しました。「フライトデータがとても見やすく表示されます。パイロットは、フライトのそれぞれの段階における燃料消費量や、CO2排出を削減するにはどうすればよいかを直に確認することができます。」
また、3Dプリンティングを含む技術の集合体であるアディティブ・マニュファクチャリング(アディティブ製造)を大量生産に応用する際にも、ソフトウエアは重要です。エンジニアは、ソフトウエアを使って部品を完成させるシミュレーションを行います。ソフトウエアは明らかにGEの将来に欠かせないものです。
もう一つの例として、「Predix」のポートフォリオの一環であるアセット・パフォーマンス・マネジメント(APM)は、世界各国の電力会社や航空会社がタービンや航空機エンジンの健全性および効率を監視し、運用を最適化し、より長く稼働させるために役立っています。スイス食品包装機械メーカーのSIG社は、「Predix」のプラットフォームに「Predix」のAPMとServiceMaxのアプリケーションを組み合わせて、機器のパフォーマンスを確認し、最適な保守戦略を導き出しています。
明確にしておきたいのは、GEデジタルが今後も、GE社内向けおよび社外のお客さま向けの事業を拡大していくということです。当社の中核事業は長期的な成長が見込まれます。またGEの中核事業以外でも、提携先との連携を深めてデジタル事業の成長機会を追求していきます。将来はデジタルの時代です。そしてGEはその主要なプレーヤーとなります。