
インベスターカンファレンス2023:GEの最大かつ最も画期的な12のテクノロジー
GE Reportsスタッフ
GEは3月9日にインベスターカンファレンスを開催しました。オハイオ州シンシナティにあるGE Aerospaceカスタマーテクニカルエデュケーションセンターおよび近隣の生産施設で行われたイベントでは、GE会長兼CEOおよびGE Aerospace CEOであるラリー・カルプとGE Vernova CEOスコット・ストレイジックの両名が登壇しました。
今年のインベスターカンファレンスは、2024年初頭に分社化が予定されているGEのエネルギー事業ポートフォリオであるGE Vernovaと、GE Aerospaceの両社が誇る様々なテクノロジーを紹介する機会でもありました。同時に、投資家およびメディアにとっては、世界最強のジェットエンジンや先進的な燃料、電化に関するテクノロジーやソフトウェアソリューションまで、GEのテクノロジーに触れるチャンスでもありました。それぞれを簡単にご説明するとともに、詳細はリンクからご一読いただければ幸いです。(リンク先の一部は英語になります)
CFM LEAPエンジン
2019年、GEとフランスのサフラン・エアクラフト・エンジンズが50:50で共同出資している合弁会社、CFMインターナショナルは、単独では史上最大となるジェットエンジンの契約を締結しました。その翌日、サフラン・エアクラフト・エンジンはさらに大きな契約をまとめました。2つの契約ともCFM LEAPエンジンが対象です。このエンジンはセラミックマトリックス複合材(CMC)という宇宙時代の素材と、3Dプリンティングなどの最先端の製造プロセスを活用しています。LEAPエンジンの燃費効率は従来のエンジンより15%向上し、クラス最高水準の効率性を実現しています。CFMのLEAPエンジンの経緯と見通しについては、こちらのリンクからご一読ください。
2022年、米国エネルギー省は天然ガス発電所が排出するCO2を最大95%削減しながらCO2の回収、利用および貯留 (carbon capture, utilization, and storage、以下CCUS)のコストを下げる方法を探るGE主導の研究に助成金を供与すると発表しました。この研究ではGEのエンジニアたちは、サザンカンパニー、リンデ・エンジニアリング、ビーエーエスエフ(BASF)、キーウィットなどの仲間たちとともに、アラバマ州のジェームズ・M・バリー発電所で実施されるCCUSプロジェクトのエンジニアリングやコスト計算およびそれらの整理統合を1年半かけて研究する予定です。その目的は、天候に左右される再生可能エネルギーを送配電網に接続するためには欠かせない天然ガスコンバインドサイクル発電所がもつ可能性と信頼性をどのように維持するかを探る点にあります。詳しくはこちらのリンクからご一読ください。
GE90エンジン
かつて長距離フライト向け航空機には4基のエンジンを搭載することが常識でした。しかし、1990年代にGE90エンジンが誕生し、その常識は一変しました。画期的なGE90エンジンが搭載されたことから、大型ジェット旅客機は2基のエンジンでの運航が可能となり、燃料費と保守費が削減され、ロジスティクス、経済性など、ジェット旅客機運航を取り巻く状況が一新されました。その後もGE90は世界最強の航空機用エンジンと称されてきましたが、2019年にGEの次世代エンジンであるGE9Xが導入されその座をあけ渡しました。とは言え、その偉業は今日も続いています。GE90エンジンの累積飛行時間は2020年初めに1億時間を超え、同年11月にはボーイング777ファミリーへの供給開始から25年という新たなマイルストーンを迎えました。これまで多くの航空会社で活躍してきたGE90エンジンについて、詳しくはこちらのリンクからご一読ください。
2021年5月、米国内務省海洋エネルギー管理局は、大西洋にあるマーサズ・ヴィンヤード島の砂浜から沖合15マイル(約24キロ)ほどに設置するアメリカ初の大規模洋上風力発電所であるヴィンヤード・ウィンド1に対し承認プロセスの最終決定書を付与しました。ヴィンヤード・ウィンド1の総発電容量は800MWになる見込みで、米国の数十万世帯分の消費電力を再生可能エネルギー由来の電力で賄う予定です。この計画の設計に欠かせないのがGEのHaliade-X洋上風力発電タービンです。Haliade-Xタービンはプロジェクトごとのニーズに応じ、発電量を12〜14MWから選択できるように設計されます。より効率に優れたHaliade-Xを選定したことで、この風力発電所では必要なタービンの数を従来の108基から62基にまで絞ることができました。ヴィンヤード・ウィンドについての詳細はこちらのリンクからご一読ください。
GEガスパワーのフィールドサービスビジネス部門を担うフィールドコア社(FieldCore)のオペレーションディレクター、ジェレマイア・スメドラは次のように説明します。「文章で説明しにくい場合、写真や動画はさらに効果を発揮します。」彼が言及しているのはLive Outageのことで、これは発電所の保守点検時に保守サービス担当者が品質と安全性を高め、発電所のアウテージ期間(運転休止期間)を大幅に短縮し、安全性と品質を向上させるデジタルプラットフォームです。このアプリはタッチスクリーンで使用可能であり、2021年に米国で発表され、2022年には欧州と中東でも展開されています。詳しくはこちらのリンクからご一読ください。
水素発電
2022年4月、米国初の水素専焼発電所の一つであるオハイオ州のロングリッジ・エナジー・ターミナルにおいて天然ガスと水素の混合燃料を使用した発電が実施されました。水素は燃焼時にCO2を発生しません。また、エネルギー産業界がCO2排出量の削減および脱炭素化という目標を実現する上で、ガス火力発電は重要なツールとなる可能性を秘めています。ロングリッジ発電所は米国の40万世帯に充分な電力を供給することが可能で、その心臓部とも言えるGEパワー製7HA.02ガスタービンは世界最先端のガスタービンの一つです。詳しくはこちらのリンクからご一読ください。
リーン方式を活用した生産管理
GEガスパワーがサウスカロライナ州グリーンビルで生産する超高効率のHA型ガスタービンの需要が一時的に減速したことがありました。そのとき、工場には数百万ドル相当の未使用パーツの在庫が発生しました。この在庫の問題は、さらに輪をかけて別の問題もあぶり出しました。タービン自体の製造に実は長い時間がかかっていたのです。そこでグリーンビルの経営陣は、GEの変革を後押しした継続的改善システムであるリーン方式に着目しました。工場がどのように動いているのかを包括的に把握するために、担当チームは折りたたみテーブルをいくつも並べた上に工場の縮尺模型を作りました。そして、糸を使って(タービンを乗せた)「バケット」の動線の始まりから終わりまでを追跡しました。その結果、バケットはまるでボウルの中のスパゲティのように工場の中を85日間かけて約5kmも移動していたことがわかりました。では、次に何をすべきか?このスパゲティを解きほぐすのです。すると今度は「バケット」の移動距離がわずか50mほどになり、所要時間も短縮されました。この改善により、2017年には1年半だったHAタービンの生産時間が40週未満にまで短縮することができました。在庫水準も半減させることができ、何億ドルもの経費節減を部門にもたらしました。詳しくはこちらのリンクからご一読ください。
セラミックマトリックス複合材(CMC)
炭化ケイ素、セラミックファイバー、セラミック樹脂からなるセラミックマトリックス複合材(以下CMC)は金属のような強靭さと優れた耐熱性を兼ね備えています。しかも軽量です。エンジンタービンのコンポーネントとしてGEが数十年と10億ドル以上を費やして研究開発してきたCMCは、現在ではアメリカの複数の拠点で製造されています。CMCの利点は約1,316℃の高温に耐えられることです。そのため、GEとサフラン・エアクラフト・エンジンが50:50で共同出資している合弁会社、CFMインターナショナルの製品でベストセラーのCFM LEAPエンジンの重要なタービンコンポーネント製造にも使用されています。「超音速機や極超音速機、さらに繰り返し利用可能な宇宙船が再び注目を集めているなかで、CMCが将来のエンジンの推進力確保と機体の進歩にどれほどの大きな価値をもたらすか、容易に想像ができます」とGE Aerospaceのエンジニアは語っています。詳しくはこちらのリンクからご一読ください。
高圧直流送電(HVDC)
風力や太陽光などあふれんばかりに豊富なクリーンエネルギーには固有の問題があります。再生可能エネルギーで発電された電力が送り出される場所と、それが必要とされる家庭や企業との間にある経路が複雑なのです。英国スタフォードにあるGEリニューアブルエナジーのグリッド・ソリューションズ担当研究開発リーダーは次のように説明します。「送配電網とは電力の高速道路のようなものだと考えてください。私たちの仕事は、あなたの街に電力を届けるための最も効率的な方法を見つけることです。」GEはスタフォードに複数の工場とエンジニアリング施設を備えており、高圧直流送電(以下HVDC)向けのスマートで強靭なテクノロジーを開発しています。HVDCは技術的には新しい送電方式ではありませんが、ヨーロッパの北海にある洋上風力発電所やアマゾン流域の水力発電所など、多様な電源からの電力を送配電網に取り込もうとする電力会社にとっては斬新な送電方法になる可能性を秘めています。HVDCがどのように送配電をサポートするのか、詳しくはこちらのリンクからご一読ください。
陸上風力発電
2021年初頭、GEリニューアブルエナジーの2MWクラス級陸上風力発電プラットフォームは重要なマイルストーンを迎えました。2015年末の導入以来、世界中で合計20GW以上の設備容量を生み出すという偉業を成し遂げたのです。設備容量20GWとは5年間で1億2,000万トンのCO2排出を回避し、全世界で1,290万世帯分の電力をまかなうことができる容量です。GEの2MWクラス陸上風力タービン群の最新仕様は、より強い風を安定的に捉えるためにより大型のローターを備え、タワーもより高く設計されています。また遠隔でモニタリングできるデジタル制御システムも備えています。さらに世界中で98%もの稼働率を誇り、お客様が必要とするときに確実に発電します。詳しくはこちらのリンクからご一読ください。
GE9Xエンジン
ボーイングのワイドボディ機777X用に設計されたGE9Xエンジンは、フロントファンの直径が約3.4mもありボーイング737の胴体幅に匹敵するほど大きいのが特徴です。また、エンジンの推力を測定した結果、世界で最もパワフルな旅客機向けジェットエンジンでもあります。GE9Xの推力は134,300ポンドに達しており、1961年に人類初の有人宇宙船が地球周回軌道に乗るのに使用されたロケットエンジンの推力である188,000ポンドとそれほど違わないパワーを誇ります。GE Aerospaceこの卓越したジェットエンジンの製造に至るGE Aerospaceの道のりはこちらのリンクからご一読ください。
アディティブ製造(3Dプリンティング)
ここ数十年で風力発電業界は驚異的な成長を遂げていますが、風力タービンも同様です。一般的には、地表から高く離れた方が安定した強い風を確保できるため、風力タービンもより高く設置することでより多くのエネルギーを生み出すことができます。実際、既存のタービンでもより高く設置するだけで、風力発電事業者は発電量を30%も増やすことができます。ですが、タービンタワーの高度化は簡単ではありませんでした。運搬が困難であったり、設置にさらなる費用がかかったりするためです。しかし、すべての課題はチャンスでもあります。3Dプリンティングを活用して解決策を得ようと、GEリニューアブルエナジーはイノベーションに富んだヨーロッパの企業2社と協力しています。詳しくはこちらのリンクからご一読ください。