
風力タービンの騒音レベルって、どのくらい?
風力発電はクリーンで再生可能なエネルギーの供給源。国土面積などの問題もあって日本での普及は他国にくらべ緩やかですが、世界では風力発電による発電量は50GWを超えており、水力発電や太陽光発電を上回っています。しかも、再生可能エネルギーはいまや世界では石炭に次ぐ第2位のエネルギー源。化石燃料をもたない日本は、今後のエネルギー保障のためにも、風力発電をはじめとする自然エネルギーを活用したいところです。
風力発電の導入を考えるとき、充分に考慮すべきもののひとつに「騒音」があります。風力発電機の建設にあたっては周辺住宅地との距離を充分に確保する必要があるのですが、さて、風力タービンの回転音の音量レベルとは一体どのくらいなのでしょう?ここでは、風力タービンの音量レベルをご紹介し、周辺住宅地と保つべき距離についてご説明します。
日本では通常、風力タービンは住宅から最低でも500メートル以上離れた場所に設置します。風力タービンの設置地点においては芝刈り機と同程度、105デシベルの回転音がありますが、500メートル離れた場所では38デシベル程に減衰します。比較材料として、平均的なエアコンの発生音は50デシベル、大抵の冷蔵庫の発生音は40デシベル程度です。
環境被害になり得る「騒音」というものを考察するとき、“騒音の音源“以外に、その場にもともと存在する環境音のことを『暗騒音』と呼びます。この分野に詳しいGE リニューアル・エナジ―のキース・ロンティンによれば「私たちが暮らす現代では、ほとんどの場所において、40から45デシベル程度の何らかの環境音が発生しているんですよ」とのこと。つまりほとんどの場合、風力発電機から500メートル程度離れた場所であれば、タービンが発する回転音は暗騒音のなかに埋もれて聴こえなくなってしまう程度です。――風力発電に伴う音の問題。皆さんが想像していた音量レベルと比べ、上でご紹介した実際の音量データはいかがでしたでしょうか。
風力発電の普及にむけた課題には、騒音のほかに「コスト」や「安全性」も挙げられます。この点においては、ハードウェア面のアプローチだけでなく、IoT技術を活用したアプローチにも大いに期待できます。GEがいち早く開発したソフトウェア「デジタル・ウィンドファーム」は、データ解析技術を用いて発電効率やメンテナンス効率、信頼性を高めます。一概に風力発電所といっても、その立地条件や風の性質はそれぞれ全く異なるもの。そうした環境条件の客観データを取りながら、発電所内の個々のタービンが最も効率よく稼働するように設計や運用をサポートするのが、デジタル・ウィンドファームです。詳細にご興味をお持ちの方は、ぜひこちらの記事もご覧ください。
デジタル・ウィンド・ファームでは、クラウド上に仮想的に構築する
『デジタル・ツイン』モデル(上図)を用いて
現実の風力発電所の設計と運用を最適化する
画像: GEリニューアブル・エナジー