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ハイタッチ!: GE と NASA が初めて高高度条件で航空機用ハイブリッド電気推進システムをテスト

トーマス・ケルナー

ダイアナ・デリング

いまや電気自動車はごく普通の“電気で動く乗り物”になりましたが、民間航空機向けの電気飛行機を開発するとなると話は大きく違ってきます。その理由をGEエアロスペースのエンジニアリング担当バイスプレジデントを務めるモハメド・アリ(Mohamed Ali)に聞いてみました。「電気モーターは、高度1万フィート(約3,050m)以上の高空ではまったく異なる挙動を示します。例えば、プラズマアーク放電(※)の影響を受けやすくなるなど、低高度での飛行と比べ運用が非常に難しくなるのです。」

※プラズマアーク放電:電極の間にプラズマが生じ、ふつうなら電気を通さない気体中に電気が流れる(放電)こと。

その一方で業界にとって良いニュースもあるとアリは話します。7月にイギリスで開催されたファンボロー国際航空ショーでGEはNASAと共同で会見を行い、高出力・高電圧のハイブリッド航空機エンジン向けコンポーネントの高高度条件下によるテストを行い、初めて成功したことを発表しました。GEが推進するこのテクノロジーについてアリは次のように説明します。「開発中のハイブリッド電気推進システムは日常的な民間機フライトでの利用を可能にするとともに、フライトに伴うCO2排出量の削減に現実的かつ不可欠な対策になるでしょう。」

今回成功したテストは、GEとNASAによるメガワット級、マルチキロボルト対応ハイブリッド電気推進システムを高度45,000フィート(約13,700m)までをシミュレートした条件下で動作させるものでした。1メガワットとは米国の一般家庭600世帯分以上を賄う電力量に相当します。「今回のテストに成功したことで、私たちが高高度に対応できることが証明されました。次のステップは、実際のフライト準備が整っていることを証明することです」とアリは語ります。

今回のテストは「NASA電気航空機テストベッド(NASA’s Electric Aircraft Testbed、以下NEAT)」で実施されました。この施設は、高電圧かつ高高度の条件でシミュレートできる上に電動パワートレインを搭載してテストするのに十分な大きさも備えている現存する唯一の施設です。オハイオ州クリーブランドにあるNASAのグレン研究センター(Glenn Research Center)のティム・マッカートニー(Tim McCartney)航空宇宙部長は「NEATは、実際の電動パワートレイン全体を搭載できるサイズと、高電圧かつ高高度の条件を同時に可能にする唯一の試験施設であり、まさに世界でも類を見ないものです」と述べています。

GEは、電気モーターや発電機、コンバーター、トランスミッション、および電力制御システムなどの専門知識をもとに、何年もかけてこのテストベッドの電力システムを開発してきました。

今回実施されたGEのハイブリッド電気推進システムのテストは、引き続き今後もNASAの電動パワートレイン飛行実証(EPFD: Electrified Powertrain Flight Demonstration)プロジェクトの一翼となります。

次の段階として、GEは、ボーイングの子会社であるオーロラ・フライト・サイエンス社(Aurora Flight Sciences)と協力し、GE製CT7エンジンを搭載したターボプロップ機「サーブ340B」で今回のシステムのテスト飛行を実施する予定になっています。ボーイングのブライアン・ユトコ(Bryan Yutko)サステナビリティおよびフューチャーモビリティ担当バイスプレジデント兼チーフエンジニアは、今回のテストが完了したことは「出発点となる重要な成果」と評価しています。

近い将来、世界的に急成長している民間航空機フリートの70%をナローボディ機が占めるようになる可能性があります。一方、世界のCO2排出量のうち、航空産業が占める割合はおよそ2.5%とされています。ハイブリッド電気推進テクノロジーを活用することはこの比率を低減することができると見込まれています。

さらに、ハイブリッド電気推進テクノロジーは持続可能な航空燃料(Sustainable Aviation Fuel:SAF)や水素、そしてオープンローター方式エンジンのような新しく設計された高効率エンジンとも相性が良いとされています。

画像提供:GEアビエーション

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