
Heavy Lifting:カタール航空、GEエンジンを搭載するボーイングの超巨大貨物機「777-8Fフレイター」のローンチキャリアに
トーマス・ケルナー
昨年11月、ドバイ航空ショーでのお披露目のためボーイング777Xを操縦した同社のテストパイロット、ヘザー・ロス(Heather Ross)機長はこの新型機について、エンジンが極めて静かであるにもかかわらず、パワフルであることに驚嘆したとインタビューで語っています。ロス機長はGE Reportsにも次のように語りました。「搭載されているGE9Xエンジンのスラストレバーを前に倒すのはとてもエキサイティングで、そのパワーを体で感じることができます。航空機が離陸する場合、大抵は出力全開で離陸しますが、このエンジンはまさに圧倒的なパワーを生み出します。しかも、ただ力強いだけでなく、安心して頼れることにかけても「Super」が付くほどで、パイロットには大きな助けとなります。」
その圧倒的なパワーが、性能にふさわしい大型受注につながりました。カタール航空はことし1月、GE9Xエンジン搭載のボーイング777Xを転用した貨物機の777-8Fを導入する初の航空会社となることを明らかにしました。GE9Xは世界で最も強力なジェットエンジンで、134,000ポンドの推力を誇ります。カタール航空グループCEOのアクバル・アル・ベイカー(Akbar Al Baker)は次のように述べました。「世界最大の貨物機運航航空会社であるカタール航空は、これからの貨物事業についても意欲的な計画を持っています。サステナブルな未来に向けた私たちの取り組みは、高効率なGE9Xエンジンによって大いにサポートされると確信しています。」
今回のリストプライスベースの受注総額は68億ドル(約7,800億円)を上回り、GE9Xエンジン30基と予備エンジン、そして777用のGE90-115Bエンジン4基の新規受注およびそれらのエンジンのメンテナンス・修理・オーバーホール(MRO:maintenance, repair and overhaul)を担うサービス契約が含まれています。

GEアビエーションは10年をかけてGE9Xを開発してきました。高効率なターボファンエンジンで、窒素酸化物(NOx)排出量が少ないのも特徴です。ボーイングのロス機長は次のように語ります。「本当に静かなのです。ヒューンという感じの音が特徴です。つまり、パワフルだけどうるさくなく、主張し過ぎない。どう表現したらいいのかわかりませんが、このエンジンならではのサウンドがします。」
これらの特長は、GEのエンジニア陣がこのエンジンの開発のためにつぎ込んだテクノロジーの賜物です。軽量で耐熱性の高いセラミック基複合材料(Ceramic Matrix Composites、以下CMC)などの最新素材を使った部品や、3Dプリンティングなどの先進的な製造テクノロジーも応用した部品で構成されているのです。さらに、直径11フィート(約3.35メートル)のファンには第4世代の炭素繊維複合材製のファンブレードが採用されています。
「CMCを採用したことでGE9Xは60倍という高圧が実現できました。その結果、類似するGEのエンジンと比べてより巨大化してしまうことなく、効率性を上げることができました。」とGE9Xエンジンプログラムのゼネラルマネージャーを務めるマイク・ホフマイスター(Mike Hoffmeister)は説明します。

このエンジンは最新のテクノロジーと素材を採用したことで、従来機よりも最大で10%燃費が向上しています。航空会社の事業経費のうち燃料費が平均で20%も占める場合もあることを考えると、これは大きな改善と言えるでしょう。
また、すべてのGE製旅客機用エンジンと同様に、GE9XとGE90はどちらも認証を受けたSAF(Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料)の利用が可能です。
GEアビエーションCEOを務めるジョン・スラッタリー(John Slattery)は次のように述べています。「GEアビエーションには貨物機向けエンジンを支えてきた素晴らしい歴史と実績があります。今回のボーイング777-8F貨物機および(現行の)777貨物機を受注したことで、今後も引き続きカタール航空との信頼関係を維持するとともに、その成長をサポートできる大切な立場にあることを誇りに思います。」