
西名古屋火力発電所、発電効率世界一の金字塔
高度経済成長期の真っ只中、大阪万博が開催された1970年に運転を開始した西名古屋火力発電所は、当時、石油を燃料とした発電施設で、運転開始後40年を超えた施設ながらも、夏場の厳しい電力需要期に対応してきましたが、2013年に廃止されました。
日本を支える製造業の企業が多く存在する東海・中部地方。高品質で安定的な電力を届けることで、企業の競争力向上や経済の発展に貢献したい。そうした想いで中部電力・東芝、そしてGEによって、より高効率で、環境負荷の低いガス火力発電所の建設工事が、2013年12月からスタート。
その後、大規模な工事を経て、2017年9月に営業運転を開始した「7-1号」と、2018年3月末に運転開始された「7-2号」は、東芝エネルギーシステムズがプラントシステムの全体設計・建設を行い、最新鋭のGE製ガスタービン7HA.01 3台に対して東芝製の蒸気タービン1台を組み合わせた3 on 1のコンバインドサイクル発電方式(1188MW x 2)が採用されました。
コンバインドサイクル発電は、発電用のガスタービン運転時に発生する排熱を回収して蒸気に変え、その蒸気の力で蒸気タービンを回してさらに電力を作るシステムで、優れた発電効率を示しますが、最新鋭のHAガスタービンと東芝の優れた蒸気タービンを組み合わせることで、世界最高水準の燃焼効率に挑戦。その結果、今般、西名古屋火力発電所 7-1号が、発電効率 「63.08%」を達成し、世界最高効率のコンバインドサイクル発電所としてギネス世界記録TMに認定されました。(これまでのギネス記録はGE初のHAガスタービンを利用したコンバインドサイクである仏EDFのブシャン発電所における62.22%)
高効率であれば、使用する燃料が低減するだけではなく、発電時の排出ガスも低減できるのが特徴です。実際、中部電力は7-1,7-2号の両方が稼働した場合、LNG消費量は年間50万トンの削減、二酸化炭素排出量は年間140万トンの削減ができると試算しています。
「私たちは改めて歴史を築くことができたことを、そして中部電力や東芝エネルギーシステムズとともに業界最先端のHAガスタービンを日本で展開できたことを誇りに思います。」「GE の HA ガスタービンによって、日本の電力需要を支え、さらに高い環境面の目標に応える新たな次元の効率性と信頼性を有する、将来の発電所を形にすることができました。」とGEパワー社長兼CEO ラッセル・ストークスは今回のギネス世界記録更新の喜びを示しています。
中部電力株式会社の代表取締役社長 勝野哲様は次のように述べています。「当社は、中部地域のモノづくりを支えるため、安全・安価で安定的な電力供給を目指し、火力発電所の開発において、常に世界最高水準の高出力、高効率の発電設備の構築を追求してきました。これまでのあくなき技術面での探求が、今回のギネス世界記録認定につながったと考えております。」
日本では、安定的な電力供給が可能で、環境負荷が少なく、より効率的な発電が求められています。HAガスタービンによるコンバインドサイクル発電が電力市場に新たなスタンダードをもたらします。