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アジア諸国のエネルギー転換を支える修理センターがシンガポールで稼働開始

ダスティン・ローマン

GEはこれまでに世界各国で7,000基以上のガスタービンを設置し、多くの電力を生み出し続けています。ですが、そのグローバルな展開を支えるためには、お客様のガスタービンの稼働を止めないようサポートする優れたメンテナンスシステムが欠かせません。

そのため、GEは2019年にグローバル・リペア・ソリューションズ・シンガポール・センター(Global Repair Solutions Singapore Center、以下GRSS)に6,000万ドルを投資する計画を発表しました。さらに今回、GRSSにアドバンスド・マニュファクチャリング&リペア・テクノロジー(Advanced Manufacturing and Repair Technology、以下AMRT)センターと呼ばれる修理とエンジニアリング及び開発を担う施設が新たに開設されました。これまで、アジア太平洋地域のお客様は修理が必要な機器の移送に地球を半周する必要がありましたが、今後はシンガポールへの移送で済むため、修理期間の短縮が可能になりました。

今年11月に新設されたAMRTセンターは、HAガスタービン内の冷却プロセスを担うニア・フローパス・シールに調整を施す作業を最初の修理案件として受注し、先日完了しました。修理自体は比較的単純なものでしたが、その成功は重要なマイルストーンとなりました。2年間の準備期間を経て完成したAMRTセンターは、環境負荷のさらなる低減を実現しながら、お客様の未来もサポートする施設に生まれ変わったのです。

「ここはもはや単なる修理センターではありません。2年かけて念入りに磨き上げた計画の集大成なのです。シンガポールの従来の施設から古い設備を撤去することから始め、敷地を整備し直したうえで、この新しいR&Dセンターを建設し、新たな人材も引き入れて研修を実施しました。さらに新たな修理プロセスを導入し、その手順をマニュアル化しました。これらが一つにまとまって機能する施設がAMRTセンターなのです」とGEのアドバンスド・マニュファクチャリング&リペア・テクノロジー部門のジェネラルマネージャーを務めるブレット・バロン(Bret Barron)は説明します。

GEが同センターを開設するにあたっては、シンガポール経済開発庁(Singapore Economic Development Board、以下EDB)の協力が得られたこともプロジェクト完成において不可欠な要素でした。「EDBのサポートがなければ、私たちはこれほどのプロジェクトを成し遂げることができなかったでしょう」とバロンは語り、実際に今回の改修によりAMRTがシンガポールで初めて実施できるようになった技術として次の2つを挙げています。1つ目の「レーザーアブレーション」は、摩耗した部分を除去するために強いレーザー光を照射する技術であり、2つ目の「フッ化物イオン洗浄方法」は、時間の経過とともにタービンの原動機部にどうしても堆積してしまう腐食性酸化物を除去する技法です。

「AMRTで手掛けた初めての修理案件には多くの新技術が投入されています。EDBとの信頼関係が得られたことで、修理ソリューションの開発を行う新たな作業環境が整備されました」とバロンは語ります。

実際にAMRTの各チームが手始めに取り組んだソリューションの一つがシステムの合理化でした。リーン方式の社内スペシャリストを招き、各チームは修理プロセスを細かく分解したうえで見直しを行い、センター内をどのように部品が流れれば最も効率良く修理ができるか検討が重ねられたのです。

その一例を紹介しましょう。GEのHAガスタービン内のブレードはタービンのホットガスパスの4つのステージに対応していますが、GRSSでは従来、各ステージに1本ずつ、計4本の修理ラインを設けていました。ですが、リーン方式で用いられるバリューストリームマッピングを作成したうえで無駄、つまり付加価値を生まない要素をすべて排除した結果、これまで別個だった4つのステージを1本の修理ラインで修理されるよう改修が行われました。「これにより修理センターの能力を最大限に有効活用することができ、本来あるべき流れに沿って部品が工場内を流れるようになりました」とバロンは説明します。

こうして、AMRTセンターは、多くの電化されていない地域に電力を届けるというGEが掲げる大きなビジョンを達成するために不可欠な拠点へと発展しました。GEがAMRTセンター開発プロジェクトを発表した2019年時点で、アジアでは5,000万人以上の人々が電力を利用できない環境下にありました。すでに広く知られている通り、電力へのアクセスと経済発展は高い相関関係にあることから、発展途上国・地域がいまの経済情勢の中でその競争力を確保し続けるためには手頃な価格で電力が提供されることが欠かせません。また。気候変動の影響がますます激化する近年において、いずれのエネルギーソリューションもよりサステナブルであることが求められます。世界のエネルギーミックスに占める再生可能エネルギーの割合は着実に高まっているものの、脱炭素化へ社会が転換していく道のりにおいて、天然ガスは依然として重要な役割を担っています。

バロンは次のように言います。「地球を救うためには、再生可能エネルギーの利用をさらに高める必要があることに議論の余地はありません。ですが、現在利用できる再生可能エネルギーだけでは不十分であることも事実です。その一方で、エネルギー源を石炭からガスに転換することでCO2排出量を50%から60%以上削減することができます。とくに人口が密集した都市部では、再生可能エネルギーの利用が期待されているペースに必ずしも追いついていないのが現状です。こうしてみると、ガスを賢く利用する技術が非常に重要な役割を担うことがよくわかります。」

こうした背景からも、GEのHAガスタービンが担う役割は明確です。HAの「H」は高効率(high-efficiency)、「A」は空冷式(air-cooled)を意味します。同タービンには2種類の仕様が用意されています。米国、日本、韓国、フィリピン、台湾などで運用される60ヘルツの送電網で使用される7HA製品群と、欧州、中国、インドなどの50ヘルツの国々で使用される9HA製品群の2種類です。9HAと7HAの両製品群とも、1立方フィートの天然ガスを燃焼した熱エネルギーから取り出すことができる電気エネルギーの割合における発電効率記録を樹立しています。実際に9HAと7HAの両製品群とも、2014年に天然ガス1立方フィートの電気エネルギーへの変換効率で60%を突破し、当時その偉業は航空機の速度における「音速の壁」突破や、陸上競技における「1マイル(約1.61㎞)4分の壁」突破に並ぶものと評価されました。

同センターは今後も発展を続け、GEの新たな効率的で基準となるセンターを目指し、シンガポールとの関係をより深めていきたいと考えています。AMRTの各チームは、多岐にわたる項目への対応が求められるHAタービンの修理に万全を期すため、すでに多くの専門職を配置しており、センター全体で350人の従業員を擁しています。今後2年間でGEはさらに人員を増やし、AMRTセンター全体の陣容も拡大する意向です。

バロンはまた次のようにも述べています。「開発拠点とエンジニアリングという双方の知見の蓄積を担うこのAMRTセンターは、次世代のソリューションに向けた修理技術を生み出す新たな道を切り開くでしょう。」

トップ画像:GE製HAガスタービン。画像提供:GEガスパワー

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