ロゴ

Generation Next:カリフォルニア州の電力をさらにサステナブルにするGEガスタービンの高い機動性

トーマス・ケルナー

カリフォルニア州ほど米国で気候変動の試練を受け続けている州はありません。暑さ、干ばつ、山火事とその煙などに地域住民や州内の電力会社は悩まされてきました。こうした気候変動がもたらす影響に対処するためにも、米国で最も人口の多い州でもある同州はCO2排出量の削減を目的に再生可能エネルギーの導入を積極的に進めています。とはいうものの、太陽が雲に隠れ、風が止み、貯水量が不足する場合、ベースロード電源を確保するためには「ほかのエネルギー源」が必要になってきます。

この問題への解決策として、GEガスパワーの「航空機エンジン転用型」ガスタービンが挙げられます。同タービンはその名が示す通り「空を飛ばないジェットエンジン」と言えます。つまりジェットエンジン用の部品を用い、天然ガスを燃料として発電できるようにジェットエンジンの技術を転用したものです。サイズと重量の点でもこのタービンはトレーラートラックに積載して移動することが可能で、送電網に迅速に接続することができます。実際にカリフォルニア州のプロジェクトでもGEと地元のパートナー企業が協働し、受注から運転開始まで、わずか42日間で作業を完了しました。

このプロジェクトに参加したのは、州内の水資源を管理する州政府機関であるカリフォルニア州水資源局(The State of California’s Department of Water Resources)、エンジニアリング会社のキーウィット・パワー・コンストラクターズ社(Kiewit Power Constructors)、発電所の敷地所有者、GEなどで、サクラメント市の北に位置するローズヴィル(Roseville)発電所とユバシティ(Yuba City)発電所に、合計120MWの発電容量になるGE製TM2500タービン4基を設置しました。これは計算上、米国の12万世帯に電力を充分供給できる発電量です。「このプロジェクトによって私たちはカリフォルニア州がかかげる目標である再生可能エネルギー利用とCO2削減のふたつとも達成することをお手伝いすると同時に、再生可能エネルギーだけでは電力需要に不十分である場合でも、州の電力システムが高い信頼性を保てるよう電力を提供できるのです」とGEガスパワーの南北アメリカCEOを務めるエリック・グレイ(Eric Gray)は述べています。

GE製TM2500ガスタービンユニットは、世界27か国で累計600万時間を超える連続運転時間を記録しています。画像提供:GEガスパワー。トップ画像提供:ゲッティ・イメージズ。

このTM2500ガスタービンが「航空機エンジン転用型」と呼ばれるのは、タービンの心臓部を担う技術がもともとGEアビエーションがCF6ジェットエンジンのために開発したものであることに由来します。CF6エンジンを4基搭載した大統領専用機エアフォース・ワンが極めて短時間で離陸できるのを見てわかるように、同エンジン由来のこのガスタービンも非常に速い立ち上がりが可能で、かつ急速なパワーダウンも可能です。このように、GEのエアロデリバティブタービンは電力需要に応じて数分以内の発電開始が可能であるため、石炭によるベースロード電力からの脱却や、風力・太陽光発電の利用拡大を目指す電力会社にとって効果的な「橋渡し」となります。これは、ガス火力発電と再生可能エネルギーを相互補完的に活用するGEのサステナビリティ戦略の一環にも沿うものです。

エアロデリバティブガスタービンが発電所に導入されたのは今回が初めてではありません。今年初め、コロラドスプリングス(Colorado Springs)の老朽化した石炭火力発電所の設備を更新する場面で、GEはコロラド州の電力会社から同タービン6基を受注しました。運用事業者のコロラドスプリングス・ユーティリティティーズ社(Colorado Springs Utilities)は、このエアロデリバティブガスタービンを運転することによって2030年までにCO2排出量を80%削減できると見込んでおり、地域にとっても大きなメリットとなります。

また同タービンには大型貨物機に積載可能な仕様も用意されており、GEは早急に電力供給が求められこのタービンを必要とする世界の各地にも空輸してきました。たとえば、インドネシアのバリ島に隣接するロンボク島(Lombok)ではこの強力なガスタービンが地元の観光産業や真珠産業に電力を供給してきただけでなく、2018年にこの地域を襲ったインドネシア・スラウェシ島地震の際にも地元の人々に電力を供給し続けることができました。メキシコでも、2014年にバハ・カリフォルニア(Baja California)半島がハリケーン「オディール」による被害を受けた際、同国政府と協力し、TM2500ガスタービンをすばやく配備することで寸断された送電網を補強しました。日本では、2011年3月の東日本大震災の際に電力不足を補うために12基のTM2500が緊急用電源として配備されています。

メール配信メール配信