
GEが2022年第2四半期決算を発表:受注、売上高、利益の伸びが好調、キャッシュフローもプラス、分社化も順調に進展
ステファン・フィッチ
GEは7月26日に第2四半期決算を発表しました。GEの会長兼CEOでありGE Aerospace(GEエアロスペース)CEOでもあるラリー・カルプは次のように説明を始めました。「GEの各チームとも、受注、売上、利益の伸びとプラスのフリーキャッシュフローを伴う好調な四半期を実現しました。エアロスペース事業が大きく主導した一方、各事業のサービス部門も引き続き業績面で明るい話題を提供しています。私の経験の中でも最も厳しい経営環境の真っ只中にいることに変わりはないものの、絶え間ないプレッシャーに対処するためにGEの各チームが懸命に努力している姿を誇りに思います。」
はじめに、カルプはエアロスペース事業の26%の受注増に牽引され、既存事業ベースの受注高が前年同期比で4%増加したことを指摘しました。
つぎに、売上高は4つの事業セグメントのうち3つで増加し、継続事業ベース*で5%増加しました。エアロスペース事業は市場の回復が続いているために2桁台の増加、ヘルスケア事業とパワー事業は1桁台半ばの増収となりました。その一方で、リニューアブルエナジー事業が、陸上風力発電の税額控除(PTC)失効による米国での販売数量の減少や海外での案件参入をより慎重かつ選択的に実施している結果を反映して2桁減となったため、会社全体の売上高増を部分的に相殺する形になっています。
そして今回のGEの調整後利益率は、既存事業ベース*で380ベーシスポイント拡大しました。カルプは次のように説明しました。「この改善は、エアロスペース事業とパワー事業がその源泉であり、サービス部門の伸びと価格設定への注力によってもたらされたものです。その一方で、ヘルスケア事業は安定しつつあるものの依然としてサプライチェーンの制約による圧力に直面しており、リニューアブルエナジー事業は依然として厳しい状況にあります。」
調整後1株当たり利益*は、主にエアロスペース事業が牽引し、大幅に増加しました。
フリーキャッシュフロー*は2億ドルで、前年同期からわずかの増加となりました。カルプはまた次のように説明します。「これは調整後利益ベースの数字です。ただしこれは、今年下半期の売り上げの拡大を見込んだ在庫積み増しやサプライチェーンの課題に伴う運転資本の増加による影響を受けて押し下げられています。」
全体として、今四半期はGEにとって好調であり、受注、売上、利益、そしてキャッシュのすべてが改善しました。
これらの業績と改善にもかかわらず、カルプは「現在直面している外部からの圧力については、まだ多くのことが不確実である」との懸念も共有しました。
というのも、GEはキャッシュを除くすべての指標で、2022年の通期予想レンジの下限に向かう傾向が続いている、とカルプが説明したからです。サプライチェーンの課題による影響からお客様を守るため、またリニューアブルエナジー関連の受注のタイミングにより運転資本は圧迫され、今後合わせて約10億ドルのフリーキャッシュフローが減少見込みです。つまり、タイミングがポイントとなっています。
次いで2023年に目を向け、カルプは次のように話しました。「私たちは2023年に向けた年次戦略・予算計画策定に取り組み始めました。前年と比べて利益とキャッシュの両面で大幅な改善を見込んでいるものの、当初の見通しを下回るでしょう。世界が急速に変化する中、今後6か月間の展開を見極める必要があります。」なおGEは、第4四半期決算の際に例年通り2023年の見通しを提示する予定です。
一方カルプは、マクロダイナミクスにもかかわらずGEが堅調な業績を上げているのは、リーン方式を重視した全社的な取り組みの成果だとして次のように説明します。「納期、価格、そしてコストパフォーマンスを改善するための努力により、より強固で価値の高いビジネスが構築されつつあります。また、計画されている分社化も順調に進んでいます。」
カルプはGEの各事業についてさらに説明を続けました。まず取り上げたのはGEエアロスペースで、お客様からの需要は旺盛なものの、サプライチェーンの問題に直面し、エンジンを期日通りに納入することが困難になっています。そこでGEエアロスペースは対応策を取りました。「私たちはサプライヤーと協力し、彼らの工場でインパクトのあるカイゼンを数か所で実施し、セットアップ時間の短縮、制約の排除、輸送の最適化、そしてGEへの全体的な業務フローの向上が実施されるよう支援しています」と説明しました。こうした作業はサプライヤーの能力向上につながることから、エンジンの出荷も順次向上しており、全体的に改善の兆しが現れています。
つぎに、同じくサプライチェーンの課題に直面しているGEヘルスケアでは上海のプレシジョン・ダイアグノスティックス(Precision Diagnostics、PDx)事業が新型コロナウイルス感染症により工場停止を余儀なくされた際に「PDxチームが迅速に対応し、10週間以内にフル稼働に戻すことができました」とカルプは説明します。その間にも、アイルランドのコーク工場のPDxチームはリーン方式を活用して、年間約500万回分の造影剤を増産しています。
そして、GEの各エネルギー事業を結集する部門はGE Vernova(GEベルノバ)と命名されたブランド名で統合されることになりました。カルプは、このなかのリニューアブルエナジーが「過去3年間に収益性の改善とキャッシュの増加を実現したパワーの成功事例」を活用しており、「時間をかけて収益性の高い成長に戻る」見込みであると紹介しました。さらにGEパワーの推進力、収益性、そしてキャッシュの向上と合わせ、「GE Vernovaの計画されている今後の展開に胸を躍らせています」とも説明しました。
それぞれ業界のリーディングカンパニーとなる3社の分社化計画も順調に進展
カルプはまた、GEは、エアロスペース、ヘルスケア、そしてエネルギーのそれぞれ分野で主導的な立場を目指す3社を設立する計画が順調に進んでいることも説明しました。今月初め、GEは、今後計画されている3社の上場企業となるGE Aerospace、GE HealthCare、そしてGE Vernovaという新しいブランド名を発表しました。そのうち、GE HealthCareは、計画された分社化計画においていくつかの重要なマイルストーンを迎えました。一連の分社化計画の先陣を切るGE HealthCareは、2023年初頭に現在のGEから分社化する最初の企業となる計画です。GE HealthCareは銘柄コード(ティッカーシンボル)としてGEHCを使用し、ナスダック市場に上場する予定です。
カルプは次のように話しています。「要するに、話はシンプルなのです。私たちは、世界が必要とする有望な成長分野で加速する態勢を整えた、それぞれ業界のリーディングカンパニーとなる、イノベーションに富んだ企業群を展開していきます。それぞれがより機動性に富み、よりフォーカスを絞り、今後の成長機会にも恵まれた3つの会社を立ち上げるという計画を順調に進められるのは、私たちの強固な財務およびオペレーション基盤のおかげに他なりません。今後の展望に胸を躍らせていますし、GEが更なるバリューを創出する確固たる立場にあると確信しています。」
* GAAPベースではない財務指標。 これらのGAAPベースではない財務指標を使用する理由および最も直接的に比較できるGAAP財務指標との調整は、ge.com/investorに掲載されているGEの2022年第2四半期決算資料の中に記載されています。
画像提供:ボーイング