
GEが2022年第1四半期決算を報告:難題に対処しつつサービス、受注、キャッシュを改善
トーマス・ケルナー
4月26日に行われた第1四半期の決算報告でGEのラリー・カルプ会長兼CEOは次のように説明を始めました。「GEの各チームともサービス、受注およびキャッシュフローが改善するとともに、すべての事業でリーン方式をさらに浸透させ、利益率の改善を達成しました。また、オペレーションの継続的な強化により、社内横断的にイノベーションに再投資できる体制が整いました。とりわけアビエーション事業での継続的な回復とヘルスケア事業での強い需要に支えられ、GEのビジネスは引き続き成長に重点を置くことができています。」
カルプによると、受注高がサービス部門と機器関係で共に好調に推移し、既存事業ベースで前年同期比13%増加しました。GEのアビエーション事業とパワー事業は2桁の伸びを記録し、またGEの全事業において利益率の高いサービス部門が伸びたことにより、売上高が小幅ながら増加したとも述べました。GEアビエーションは2桁の増収となり、勢いが維持されていることを示しました。
GEの調整後利益率*は、サービス部門の伸びと全社的なコスト削減努力の継続により、既存事業ベースで110ベーシスポイント改善しました。GEのアビエーション事業とパワー事業では利益率が「大幅に改善」しましたが、GEヘルスケア事業とGEリニューアブルエナジー事業では「インフレとサプライチェーンの制約の双方による圧力の影響を受けました」とカルプは述べました。
また、サービス部門の伸びと利益率の拡大により、調整後1株当たり利益*は前年同期比85%増の0.24ドルとなりました。
なお、フリーキャッシュフロー*は8億8,000万ドルのマイナスとなりました。これは、今年下半期に必要な在庫の積み増しを考慮すると、第1四半期としては典型的なものです。中止したファクタリング*を除くと、この数字は前年同期から17億ドル増加しました。
カルプは「全体的にはすべてのビジネスにおいてサービス部門が回復しつつあります。総受注高は堅調であり、キャッシュの創出力も引き続き改善している」と述べています。

3月に実施されたGE Investor Day 2022ミーティングでは、GEの経営陣が2022年の通期予想レンジの幅を広くせざるを得なかったリスク変動要因について説明しました。カルプは今回の決算報告で次のように話しました。「1月に発表した予想レンジはそのまま変えず足かせの要因に対処しているところです。…しかし、このような圧力がどれくらい続くのか、またその影響力の大きさがどの程度なのかが流動的であることを考慮すると、予想レンジの下限に向かうのではと考えています」と述べました。
このように難題山積なダイナミクスのただ中にありながらカルプは次のように語ります。「GEは『自分たちでコントロールできること』にフォーカスしています。すべてのビジネスにおいてGEはさらなる成長、価格の調整、そしてコスト削減を推進しているのです。」
さらに、GEはお客様に沿ったサービス、無駄の排除、そして厳密な優先順位付けなど、各ビジネス横断的にリーン方式を浸透させることを継続しています。例えば、GEアビエーションの軍事部門ではリーン方式を活用して、ヘリコプター向けとして高く評価されているT700エンジンの製造主要ラインでの初回歩留まりを約40%改善し、出荷量を前四半期比で35%以上増加させました。また、GEヘルスケアの超音波診断装置チームは在庫を「見込み生産」に切り替えることで、事業計画とその実行をシンプルにしてインフラコストの最適化を実現し、リードタイムを30%短縮しました。
さらに、GEリニューアブルエナジー事業についてカルプは次のように説明します。「同ビジネスではさらに権限委譲が進んだ結果、お客様との距離がより近くなると同時に、ビジネス自体の事業計画の実行が改善されています。特にリニューアブルエナジー事業は、海外での案件参入をより慎重かつ選択的に実施しています。その地域に適合する製品やサービスを見極め、事業計画を実行できるかを判断し、価格決定やマーケットにフォーカスを絞っているからです。幸いなことに成果はすでに現れており、オンショア・ウィンド・インターナショナル部門では、今期1桁台後半の受注価格上昇率を実現することができたのです。」
そしてGEアビエーションは、ボーイングとの提携を発表しハイブリッド推進飛行の実証実験プログラムに取り組んでいます。また、昨年10月、NASAとGEアビエーションは新たなパートナーシップを締結し、ナローボディ機に搭載可能なメガワット級ハイブリッド推進エンジン技術の成熟を目指しています。ここでもGEアビエーションはボーイング社と協力して、飛行テストするための試験機への改修に取り掛かっています。
GEヘルスケアはAIを用いたデータ集約型次世代インテリジェンス・プラットフォーム「Edison(エジソン)」の開発を発表しました。このプラットフォームを利用することは患者ケアにも影響を及ぼす根本的な課題解決につながります。ワークフローにAIを組み込むことで医師がデータをインサイトとして活用できるようになるため、電子カルテ(Electronic Medical Records、EMR)の入力時間が減り、患者と向き合う時間が増えることにつながるのです。
GEグリッドソリューションズとニューヨーク州を本拠地とするボンド シビル&ユーティリティ コンストラクション社(BOND Civil & Utility Construction)が組んだコンソーシアムは、ニューヨーク州の発電容量816MWのエンパイア ウィンド 1(Empire Wind 1)洋上風力発電プロジェクトに、陸上および洋上風力発電用の高圧電力機器を提供・統合することで、再生可能エネルギー由来の電力をニューヨーク州の送配電網に供給する契約を行いました。この運用が開始されると、エンパイア ウィンド 1プロジェクトから送出される電力がニューヨーク州の50万戸以上の家庭を賄うことになります。
業務執行力、テクノロジーのイノベーション、そしてオペレーションの改善は、「新しい空の旅」「プレシジョン・ヘルス」そして「エネルギー転換」の実現を担う3つの独立した企業を作るというGEの計画が順調であることの証となります。
カルプは「GEの主要事業における深い専門知識をもたらす」3人の新役員を任命したことも明らかにしました。また、GEのグローバル エネルギー ポートフォリオの一部を担うGEデジタルのCEOとしてスコット・リース(Scott Reese)を迎えました。GEヘルスケアには最高人事責任者(CPO:Chief People Officer)としてベティ・ラーソン(Betty Larson)および相談役としてフランク・ヒメネス(Frank Jimenez)が加わり、同事業は2023年初頭のスピンオフに向けて順調に進んでいます。「GEでは1,000人以上の社員が分社化プロセスに従事しています。私たちは重点分野でパーパスに向けて前進しています」とカルプは語りました。
最後に、カルプは決算報告を次のように結びました。「一言でいうと、GEはこの困難な環境の中で現在のお客様にサービスを提供する一方で未来へのイノベーションにも投資を行っている、ということになります。そして、GEはリーンの原則を活用し、業績と企業文化をさらに向上させています。これにより、各事業と財務基盤がより堅固になり、グローバルな競争力も強化され、最終的にはGE全体の可能性がさらに大きなものになると確信しています。」
* GAAPベースではない財務指標。
この日本語版は以下の英語版の仮訳です。詳しくはこちらをご覧ください。