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GE in 2017:デジタル・インダストリアル戦略でゲームチェンジへ

幕を明けた2017年、世界は今年も激動の1年になりそうですね。本記事ではGEの2017年のゲームプランをご説明させていただきます。

2016年、GEは本気で「世界最大のデジタル・インダストリアル・カンパニーへの変革」を進めてきました。GEの会長兼CEO、ジェフ・イメルトが描く2017年のプランの要は、産業界のデジタル化を牽引すること、そして、3Dプリントやその他の積層造形技術で“ものづくり”の方法や働き方を変革することにあります。

ベーカー・ヒューズとGEの石油・ガス事業の統合を決定したことは2016年の大きな成果でした。今年GEはベーカー・ヒューズとの統合によって、新会社「Baker Hughes, a GE Company」を設立する計画です。これによりGEは、石油・ガス事業者として世界三大企業の仲間入りをすることに。世界120ヶ国以上で展開する320億ドル規模(2015年度の収益ベース)の石油サービス事業の誕生です。また、GE史上最大のM&Aとなったアルストムの発電・送配電事業の統合から1年が経過し、GEのエネルギー事業との融合はポートフォリオ全体にわたった成長とシナジー効果を生み出しており、利益予測と成長目標の軌道上にあります。イメルトは「アルストムとベーカー・ヒューズの統合はともに非常に意義があり、その両者ともGEに戦略的、財務的に大きなメリットをもたらしてくれるものです」と話しています。

また、GEはデジタル技術と積層造形(3Dプリンティング)技術の活用・提供能力を発展させ続けています。GE自身が活用しているこの2つのテクノロジーは、顧客企業やサプライヤーとの“仕事のしかた”を刷新する鍵となります。

「Predix」で産業のデジタル化を推進

GEは2016年初頭、産業向けIoT(IIoT)のオペレーションシステムである「Predix」を公開し、一般の企業やパートナー企業が各社の業務や顧客のニーズに応じたソフトウェア・ソリューションを開発できるようにしました。昨年12月に開催した投資家向け説明会で、イメルトは、このプラットフォームがサービス関連や製造部門の生産性を向上し、GE全体でおよそ5億ドルの削減を生み出したことを説明。すでに、エクセロン社、カリフォルニア大学サンフランシスコ校、BP社やプロクター・アンド・ギャンブル社、日本ではLIXILトータルサービス社が、効率性や生産性を向上させるため、Predixのアプリが提供するデータ・インサイトを活用し始めています。

いまPredix上でソフトウェアやアプリを開発しているソフトウェア開発者は世界に20,000人を数えます。GEはこれを今年35,000人にまで拡張し、デジタル技術力をさらに高めていきます。また、メリディウム社やサービスマックス社ワイズ・アイオー社などのソフトウェア企業を傘下に収めることで、GEはセンサーとクラウドベースのアルゴリズム、進化したフィールドテクノロジーを統合し、エンジニアとプログラマーが連携して作業できるよう、変革を進めます。

10億ドル規模の3Dプリント事業の創造へ

近年、3Dプリント(積層造形)技術によって、ものづくりは変化を遂げつつあります。3Dプリンティングは小さなプロトタイプ(試作品)だけでなく、産業レベルの最終製品を作れるようになりました。GEではすでに世界中の工場で3Dプリント技術を展開しており、GEアビエーションはジェットエンジン、GEパワーはタービン、GEオイル&ガスは各種機器のパーツを製造しています。さらにGEの研究開発所であるグローバル・リサーチ・センターは15億ドルを投じて新しい技術開発を続けています。

3DプリントはGEの事業ポートフォリオを通じて専門知識と技術を共有する仕組み『GEストア』の好例です。というのも、3Dプリントに特化して米国ピッツバーグに開設した「アディティブ・テクノロジー・アドバンスメント・センター」では、GEの様々な事業部門が必要とする多種多様なパーツの製造を同一拠点で行っているため、各プロセスからの学びを他に活かすことができるからです。

GEは新事業部門として「GEアディティブ」を立ち上げ、GE自身や顧客企業における3Dプリント技術の活用を加速していきます。12月半ばには、この分野で業界をリードする2つの企業、コンセプト・レーザーGmbHとアーカムABの株式の過半数を取得したことを発表。この2社との経営統合に伴い、GEは2020年までに3Dプリント事業で10億ドルの収益をあげ、関連する機器、原材料、ソフトウェアのトップサプライヤ―になる計画を立てています。この新規事業はGEのビジネスだけではなく、航空宇宙産業や機械類、自動車など他業種におけるGEの顧客にとってもプラスになるものです。

GEのアディティブ・テクノロジー・アドバンスメント・センターにあるサンドバインダー噴射機。
ケミカルバインダーを使用して厚さ280ミクロンの細かい砂の層の重なりから型を成型する
(写真:クリス・ニュー, GE Reports)

最上部の写真:「LEAP」は3Dプリンターで出力した燃料ノズルを搭載した
世界初のジェットエンジンで産業用IoTとも接続が可能
(写真:アダム・セナトリ, GE Reports)

デジタル・インダストリアル・トランスフォーメーション(産業のデジタル化)へのフォーカス

GEは引き続き“デジタル・インダストリアル“の確立に注力するため、世界のGEキャピタルの資産売却を継続していきます。2015年4月にGEキャピタルの大半を売却すると発表して以来、この計画は予定を前倒して進展しており、今日までにGEキャピタルの資産のうち1,950億ドル分の契約が締結され、1,880億ドル分の取引はすでに完了しました。新しい存在となったGEキャピタルはすでに米国の「SIFIs(システム上重要なノンバンク)」指定から外れており、2017年には欧州の規制からも外される予定です。

GEのネクストステップ

2016年の経営上の枠組みを再確認したうえで、イメルトは「2017年は3%から5%という業界他社を超える自律成長を見込んでいます」と語っています。GEは2017年の一株当たり利益(EPS)目標を1ドル60セントから1ドル70セントに設定し、営業活動によるキャッシュフローは160億ドルから200億ドルを目標に。また、配当や自社株の買い戻しによって一年を通じて190億ドルから210億ドルを株主に還元できると予測しています。

そして、2018年には一株当たり2ドルの利益達成というEPS目標があります。石油・ガス関連市場が混迷を極めるなか、GEは新規のM&A案件、自社株買い戻しの追加、新たな経費削減計画などを今後2年かけて推し進めることで利益成長を生み出し、この目標を達成していきます。

2017年GEの戦略について詳細はこちら(英語)

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