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ゲーム・チェンジャー: 巨大な旅客機が貨物機に

ダニエル・クルーガー

ワイドボディ旅客機であるボーイング777-300ERは長距離フライトの主力機です。世界で最もパワフルなジェットエンジンとして長年の実績を持つ巨大なGE90エンジン2発を搭載することで、ロサンゼルス-ドバイ間といった遠く離れた都市を結ぶ直行便を頻繁に飛ぶことが可能となっています。

しかし、今年の夏の初め、貨物機へと劇的な変貌を遂げる予定の試作機がイスラエルの飛行場に到着しました。これは巨大旅客機15機を貨物用に改修するプロジェクトのプロトタイプで、1機につき100トンもの貨物を世界中に運ぶ能力を備えます。広く親しまれてきた4発エンジンのボーイング747(ジャンボジェット)に代わって、旅客機の777-300ERを改修することで、新生777-300ERSF(SFは「スペシャル・フレイター(special freighter)」の略)が双発エンジンの効率性を貨物運送業者にもたらすと期待されています。

最初の設計図からペイロードまで、この改修プロジェクトには200名以上が関わっており、コンセプトの定義や基本的なものから詳細な段階までの設計、実際の改修作業、規制上必要となる認可取得の障壁など数多くの手順をクリアするのに約3年3ヶ月が費やされます。例えば、新しい貨物用の扉を取り付けるべく胴体の主要部分を切断したり、最大9Gにも耐えられる強固な壁を設置したり、床をすべて強化アルミに交換するなどの作業が必要となります。

チームは、既存の乗客用ドア及び窓を改修して客室を完全な貨物室に改修する予定です。同機は、特急貨物、オンライン発注品や生鮮品、超大型貨物(馬や航空機エンジンを含む)などの多種多様な貨物輸送を可能にすることが期待されています。

この図面には、乗務員や作業員の区画である貨物監督員席も設けられています。コックピットの裏側に位置するギャレー、トイレ、乗客の座席などで構成されていた部分です。「旅客機を貨物機に改修することは単純なプロセスだと誰もが思っています。」とGEキャピタル 航空機ファイナンス事業の貨物部門であるGECAS Cargoのシニアバイスプレジデント及びマネージャーを務めるリチャード・グリーナー(Richard Greener)が語ります。「しかし、工場で新品の航空機を製造する場合と同じような規則や規制上の要件に従う必要があるのです。

「ビッグ・ツイン」と称される777-300ERSFは改修完了後、車、航空機エンジン、馬などを輸送できるようになります。最上部及び上部画像の提供:GECAS

GECASは、イスラエル・エアロスペース・インダストリーズと航空機改修プロジェクトの契約を結び、2022年後半から顧客にオペレーティングリースする予定です。

第一段階として、機体の全部分の測定を行い、パソコン上の製図板に機体の正確な図面を作成します。エンジニアは有限要素法モデリング(FEM:設計中の構造物を表現する数学的モデルを計算機システム上につくること)や、広範な地上試験及び飛行試験をとおして、改修が機体に与える影響を解析します。そして新しい床、調整可能な貨物室の配置、幅広の扉、ローディングシステム等の予定される変更に応じて機体に及ぶ負荷の変化を測定し、必要な追加変更箇所を特定します。「私達がやっている事は機体のリエンジニアリングに他ならないんですよ。」とグリーナーは話します。

目指すのは、機体重量の軽量化を図りながら、できるだけコスト効率を上げるためにペイロードを最大化することです。「ビッグ・ツイン」と称される777-300ERSFは改修完了後、GE90エンジンに匹敵する大きさの貨物から、エクスプレス貨物、Eコマース貨物までメインデッキに積載できるようになります。

グリーナーは、来年6月に大きなマイルストーンを達成できるだろうと話します。エンジニアが機体の切断を行い、貨物機のデザインが形になり始めるときだからです。「メインデッキの貨物ドアやローディングシステム等の新しい構造が機体に加わることで、旅客機が貨物機へと変貌し始めます」と同氏は語ります。

エンジニアが機体設計に変更を加える一方、イスラエル・エアロスペース・インダストリーズは、イスラエル民間航空局(Civil Aviation Authority of Israel)、米国連邦航空局(U.S. Federal Aviation Administration)、欧州連合航空安全庁(European Union Aviation Safety Agency)と密接に連携しつつ、作業の確認をして必要な承認や認可を取得します。

今後数年で貨物輸送の著しい増加が想定されることから、こうした改修作業はGECASの成長事業になるとされています。例えばGECASは昨年、改修されたボーイング737-800BCFのAmazon社へのリースを開始しました。ボーイングは、この市場セグメントは今後20年で倍増し、全世界の貨物機数は約1,870機から3,260機に増加すると予測しており、その6割以上が旅客機から貨物機に改修されたものになると見られています。

777-300ERSFの詳細情報は、 同プログラムのウェブサイト で閲覧可能です。なお、ボーイング777-300ERの機内に興味のある方への情報ですが、米国の航空機マニアのルカ・アイアコニ-スチュワート(Luca Iaconi-Stewart)が数年前に作成した同機の精密な紙製モデルが参考になります。このモデルには、ボルト、油圧配管、ヒンジ等の細部が含まれ、機内食カート、ギャレー、通常は乗客の目にふれることのない乗務員の「休憩室」等の主要なアメニティも含まれています。GE Reportsは、このモデル製作について同氏にインタビューをしています。その内容はこちらからアクセスできます(英語)。

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