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ワイルド・スピード:より安価で環境に優しい高速飛行を実現する次世代ヘリコプターハイブリッド「RACER」

新しい超音速旅客機から、飛行機のように飛ぶハイブリッドヘリコプターのような飛行船まで、未来の飛行についての話題がますます盛り上がっています。

エアバスのRACERは、そういった最新飛行装置の一例です。「Rapid and Cost-effective Rotorcraft(費用効果のある高速回転翼機)」の頭文字を表すRACERは、ヘリコプターの汎用性(停空飛翔や垂直離着陸が可能)と、飛行機並みの飛行速度と長距離飛行能力を兼ね備えています。 エアバスによると、RACERは最大時速400キロメートルの巡航速度を実現し、世界最速ヘリコプターの1つとなります。

RACERは、航空業界が環境に与える影響の低減を目指す欧州連合のプロジェクト、「クリーンスカイ2」にとって、最も重要なコンセプトを持つ飛行機です。航空業界のスローガン「クリーンスカイ」のもと、27カ国・600以上の組織が一緒になって「環境に優しい」航空技術の開発に取り組んでおり、2000年の数値と比較して、燃料消費と二酸化炭素排出量の50パーセント削減、亜酸化窒素排出量の80パーセント削減、外部ノイズの50パーセント削減を目標に掲げています。

これらは、従来型飛行機の地上滑走や離着陸時間を微調整することで一部実現可能ですが、「クリーンスカイ」は、さらに高い目標を定め、翼部の航空力学的な改善やその他の最新技術に焦点を当てることによって、持続可能で環境に配慮した変化を現実にもたらそうとしています。

ここでRACERの出番です。航空技術者たちは長年、コスト効率が良く、高速でかつ敏捷性を持つ「夢の飛行機」を求めてきました。そして、RACERはこれらの基準全てを満たしています。「RACERは従来のヘリコプターと比較して1.5倍高速でありながら低コストで、新技術をいくつも組み合わせています」とエアバス・ヘリコプターズの研究・イノベーション部門長であるトマシュ・クリシンスキーは言います。

航空技術者たちは長年、コスト効率が良く高速でかつ敏捷性を持つ「夢の飛行機」を求めてきた。そして、RACERはこれらの基準全てを満たしている。最上部と上部の画像提供:エアバス

飛行機の胴体はヘリコプターのような形をしています。ヘリコプターと同様、頂上部に大型ローターを備えていますが、テールローターはありません。代わりに、骨組みだけの2つの「翼」それぞれに後ろ向きのプロペラがあり、1つは時計回り、もう1つは反時計回りに動作します。この低抵抗な翼とプロペラによって、RACERは加速中にも浮揚が維持可能なのです。

RACERを成功させるために必要な技術的専門知識は、英ハンブルにあるGEアビエーション・インテグレーティド・システムズと、伊トリノにあるGEアビエーションの関連企業アビオ・エアロの支援を得ています。彼らは、ローターと翼のプロペラ両方に使用する伝送システムなど、RACERのサブシステムや部品の開発に取り組んでいます。例えばハンブルの技術者は、飛行機の翼をギアボックスにつなぐ部品であるクレイドルを徹底的に再設計しました。以前、これらのクレイドルはあらかじめ製造された複数の部品を使って組み立てられていたため、重量やコストの点であまり効率的ではありませんでした。

これに対してRACERのクレイドルは、3Dプリントされた鋳型を用いて軽量素材で製造されるため、重量、部品点数、コストを削減できます。「これだけ複雑な鋳造部品を設計したのはこれが初めてです」とGEアビエーションの工学プログラムリーダーであるポール・マンドリーは言います。製造資金を節約できるだけでなく、RACERの軽量化は飛行機の耐用期間中、燃料コストを大幅に削減(そして環境への影響を大幅に軽減)します。

RACERは他にも、アビオ・エアロとエアバス・ヘリコプターズが共同で設計し、3Dプリンティングを使用したものを一部含む、新しい部品をいくつか組み込んでいます。超高温と物理的ストレスに耐えなければならないRACERのトランスミッションの熱交換器もその一例です。技術者たちは、GEのエンジン「Catalyst」の開発で得た経験を活かして設計プロセスに挑みました。このエンジンでは、3Dプリンティングを使って800個以上の部品をおよそ12個に削減しました。また、アディティブ製造を利用すれば、技術者たちは従来の方法よりもさらに複雑な部品を自由に設計することができるのです。

今年エアバスは、初めてのRACERの試作模型の組立てを開始する予定です。初飛行は2020年になるでしょう。

この記事はGEアビエーションのブログThe Bike Shopで最初に公開されました。

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