ロゴ

離れていても目の前に:巨大タービンをソーシャルディスタンスを保ちながら遠隔検査

カーステン・ストラウス

「必要は発明の母」と言われます。世界的なパンデミックは、この格言の正しさを証明しています。例えば通常なら、水力発電所用の巨大タービンを購入するお客様は、組み立てられる工場に実際に足を運んで、出荷前検査(FAT:Factory Acceptance Test)を実施します。これは、すべて想定通りに機能することを証明するための実地検査です。

とはいえ、今は平常時ではありません。

ロックダウン中にどうすれば小さな家ほどの大きさの鋼鉄製ホイールのテストを実行し、工兵隊が求める詳細なデータを提供できるでしょう?

検査では、ランナーを何度か過酷な条件で稼働させ、部品が設計通りに機能し、オイル漏れや圧力による破損が生じないことなどを確認します。さらに、数千マイル離れた場所にいる工兵隊を満足させる方法で実施し、わずか2週間で完了させる必要がありました。

テストをライブ配信するだけでは不十分でした。GEリニューアブルエナジーのグローバルサプライチェーン担当CIOを務めるパスカル・ルヌーヴァン(Pascal Renouvin)は、次のように述べています。「お客様は現地にいれば、すぐそばまで近づいて測定を行います。場合に応じて、間近で見たり、少し離れて見たりする必要があるのです。」

トップ画像および上記画像: 3月半ば、ハイドロデジタルチームは米陸軍工兵隊と共に、初めてオンラインで出荷前検査を実施しました。iPhone、三脚、スタビライザーを使って、実施中のテストを細部まで確認できる安定した映像を撮影しました。 画像提供:GEリニューアブルエナジー

結果的に、解決策はチームメンバーのポケットの中にありました。問題が複雑だからといって、解決法も複雑とは限らなかったのです。iPhoneと三脚とスタビライザーを使って、実施中のテストを細部まで確認できる安定した映像を撮影することができました。

現地でテストに立ち会ったGEリニューアブルエナジーハイドロノースアメリカのシニアプロジェクトマネージャーを務めるダニー・デスマラス(Dany Desmarais)によると、サッカー場の半分ほどもある広大な工場では、無線接続が心配だったといいます。「工場内の接続能力で完全に対応でき、お客様が見たいものをきちんと見られる画質かどうか確認する必要がありました」と彼は語ります。

実際のテスト日までに、チームは3回リハーサルを実施し、音声と映像が求められる水準に達しているか確かめました――1回目はハイドロチーム、2回目は工場外のサプライヤー、3回目は米国内にいる陸軍工兵隊とオンラインでリハーサルを行いました。「テストは全員が満足するまで何度も繰り返しました。思わぬ事態は避けたかったからです」とルヌーヴァンは説明します。

ルヌーヴァンによると、全体としてバーチャル出荷前検査は、問題なく進んだといいます。3月24日の出荷前検査の後も、ハイドロチームは同じ遠隔方式でさらに2回の検査を実施し――いずれも成功しました。現在は、北米全土で使用されている製品のトラブルシューティングにこの方式を使えないか検討中です。

「コロナ前は、バーチャル検査など誰も認めなかったでしょう」と彼は語り、今後はこうしたリモートテストが一般的になるのではと想定しています。「今後も間違いなく、一部の出荷前検査を現地で行うでしょう。しかし、検査の大部分はオンラインで行うことになると確信しています」

メール配信メール配信