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GEとNEC、IoTに関する包括的な提携で日本のデジタル・トランスフォーメーションを加速

ハードウェアの性能や従来のビジネスモデルだけで競争に勝てる時代は終わったーー今、そう感じている企業は決して少なくないはず。世界ではソフトウェア技術をいかに活用するかが新たな競争の軸になりつつあり、ソフトウェアによってハードウェアの能力を引き出したり、データ解析から得る発見をもとに新たな収益モデルを創出する、といった企業の挑戦が拡がりを見せています。これが、世界で地響きをあげる「デジタル・トランスフォーメーション」。IoTやAIを活用した大変革です。

1991年から20年間、世界の産業界の生産性は年平均4%のペースで向上し続けました。しかし今やそのペースはわずか年1%に鈍化。生産性が向上しない場所に、経済成長はありません。特に、労働人口が減る日本において生産性向上は必須課題であり、日本の将来は産業界のデジタル・トランスフォーメーションにかかっているといっても過言ではありません。

GEとNECの相互補完的な提携で、企業の生産性向上を支援
こうしたなか、GEとNECはIoT分野における包括的な提携を締結し、日本企業へ産業用IoTソリューションを共に提供する計画を発表しました。この包括提携により、PREDIXを中心としたIoTソリューションの開発・導入・保守サポートに至るまで一貫した顧客支援体制が構築されます。

この提携にあたって、NECは自社のグローバルサプライチェーン革新プロジェクトにGEが開発した産業向けソフトウェアのためのクラウドプラットフォーム「PREDIX」を導入することを決定。海外における大規模なプロジェクト管理にPREDIXを活用し、サプライチェーン全体の効率化とコスト削減を図るとともに、PREDIXの運用ノウハウの蓄積に取り組みます。NEC自身がPREDIXユーザーとして得る知見やノウハウは、ソリューション・プロバイダーとして顧客企業に提供する価値として活かされることになります。

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NEC創設者の岩垂氏は、GEの創始者であるトーマス・エジソンのもとで電気・電信技術を
習得し、帰国した。日本電気(NEC)を設立する前はGE(ゼネラル・エレクトリック)製品の
販売代理業を営み、日本の近代化と電機産業の発展を支えた。
写真は岩垂邦彦氏(最左)と、同僚であったエジソン・マシン・ワークス社のテストエンジニア達。
(画像:1887年3月撮影、Museum of Innovation & Science提供)

両社が日本の企業へIoTソリューションを提供するうえでは、NECの強みが存分に発揮されることになるでしょう。例えばネットワーク技術。産業領域におけるIoTに欠かせない、M2M(マシン・ツー・マシン)ネットワークやクラウドへと繋げる広域ネットワーク技術において、同社は比類ない品質を誇ります。また、IoT活用の要になるのがAIを使ったビッグデータ解析力。解析の対象となるのは、温度、動作、圧力、形状といったアナログ情報であり、物理世界の「アナログ」情報を「デジタル」に変換したり、その逆の変換を高精度に行う能力が、産業領域におけるデータ活用の成功を左右します。NECはこの変換能力やAIによる解析技術の宝庫でもあり、PLC(機械自動制御用シーケンサー)、RFIDや各種センサー、音声認識や画像認識のための装置から得るデータの解析には、長年の実績と定評が。両社は今後、最先端AI技術群「NEC the WISE(エヌイーシー ザ ワイズ)」をはじめとする要素技術の一部をマイクロサービス化し、GEのPREDIX開発者向けサイトでありマーケット・プレイスである「PREDIXの.io(プレディックス アイオー)」上で世界中のPREDIXユーザーに新たな価値を提供することを検討します。

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最先端AI技術をテコにした社会ソリューション事業展開事例
(画像:NEC)

さらに、この提携のもとNECはPREDIX関連の研修サービスの提供や認定技術者を育成・拡充することを計画中。サイバーセキュリティ領域でも、GEデジタル傘下のワールドテックが保有するOT(オペレーション・テクノロジー)領域セキュリティ技術とNECのIT領域のセキュリティソリューションとを組み合わせた、ITとOTの両面にわたる総合的なソリューションの提供を検討します。

NEC側でこの提携をリードした森田健氏は「GEはOTを熟知した企業であることが、重点です。自らが多岐にわたる製造・インフラ事業を営み事業オペレーションと機械物理を熟知しているGEと、ITの経験を重ねてきたNECとが組むことで、お客様の生産性や経営効率の向上を真に支援し“経営上のアウトカム”を提供できることになります。また、産業向けIoTにおいてPREDIXは世界のデファクト・スタンダードです。当社も世界100か国以上のビジネスに関わるグローバル・プロジェクトでPREDIXを活用する計画です。同様にグローバルな事業やオペレーションを行うお客様企業にとって、PREDIXのグローバルな拡張性は大きな利点になるはずです」と話します。たとえば製造業の企業では、まず国内製造拠点で効率改善の実証にあたり、運用シナリオを確立したところでブラジルやメキシコの工場へ展開するーーといったことも、PREDIXなら容易に叶えられます。

GEデジタルは、日本のデジタル・トランスフォーメーションにいっそう貢献するために、今後もPREDIXと産業向けIoT技術の提供における、日本企業とのパートナーシップ基盤を拡大する計画です。GEデジタルの国内におけるパートナー体制構築の一翼を担うGEジャパンの中村哲也は「カイゼンの精神を持つ日本こそ、産業領域におけるIoT活用を確立するリーダーにふさわしい国だと思っています。今回のNECとの提携によって、より多面的に日本のお客様を支援できる体制が整いました」と喜びを見せるとともに、今後の計画をこう語ります。「GEデジタルの日本国内における協業体制は今後さらに拡大する計画で、現在も複数の企業との準備を進めています。GEはまた、パートナー企業同士の相互連携も促進していく方針です。日本のお客様により安心してPREDIXを導入し、長期的な経営戦略のもと腰を据えてGEのデジタル・ソリューションをお役立ていただけるよう、パートナー企業と強固な顧客支援体制を整えていきます」

IT業界が辿った道のりと同じことが、産業界でも起きています。今後あらゆる産業機器は、機能自体はさることながら、運用も含めてそれがもたらす成果(アウトカム)に焦点を当てた「サービスモデル(XaaS; X as a Service)」として提供されることになるでしょう。日本のものづくりの現場を知り尽くしたNECと、産業分野におけるIoT活用の実績とノウハウを蓄積してきたGEとの協業。日本の企業がIoT活用に乗り出し、PREDIXのグローバルな拡張性を味方に再び“Japan as No.1”として生産性と競争力向上の新境地を拓けるよう、コラボレーションを加速していきます。

最上部の写真(左から):デンジル・サミュエルズ|GE デジタル チャネル・アライアンス・ビジネス開発、ベンチャー担当 グローバル責任者、榎本亮氏|NEC 執行役員(写真提供:NEC)

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