
人類共通の課題:GEが気候変動にイノベーターとして果たす役割とは
ウィル・パルマー
トーマス・ケルナー
去る3月29日、カリフォルニア州マウンテンビューで開催されたTechonomy Climate 2022にて、GEのチーフ サステナビリティ オフィサーを務めるロジャー・マルテラ(Roger Martella)は、このカンファレンスに参加した理由を次のように強調しました。「やがて人々は、今日というこの日を『気候変動にイノベーションがもたらされた時』として振り返ることになるでしょう。」
続いて、マルテラは次のように予言しました。「今この時こそ、各企業がこぞって『エネルギー転換を成功させるために、世界が必要とするテクノロジーを革新する』と表明した時だった、と記憶されるに違いありません。私たちはこれまで様々な政策や研究を行ってきましたが、取り組むべき課題は依然として多い上に、今は気候変動にイノベーションが必要な時代です。まさに人類共通の課題なのです。」
テコノミー(Techonomy)※ と非営利の環境擁護団体The Environmental Defense Fundがシリコンバレーの中心地、マウンテンビューで共催したこのカンファレンスでは、気候変動の専門家、産業界のリーダー、起業家、投資家など数十人が気候変動への対応におけるハイテク企業の役割について議論しました。GEはプレゼンティングパートナーとして参加し、マルテラはスピーカーの一人として登壇しました。
※テコノミー:米テコノミー・メディアが主催するシリコンバレーのIT企業とそれ以外の業界の経営者レベルの交流を目指すイベント
マルテラは、テコノミーの創設者兼テコノミー・メディア編集長デイビット・カークパトリック(David Kirkpatrick)氏との対談を行いました。その中でマルテラは、この会議はGEのような大企業から小規模なエネルギースタートアップまで幅広い企業が参加していることで「それぞれのベストな部分」をお互いに分かりあうチャンスを提供している点を強調しました。歴史と伝統に裏打ちされた企業は、長い間蓄積してきた専門知識を提供することができます。その一方、マルテラは「私たちはスタートアップ企業に敬意を持っています。既存の枠にとらわれない彼らの思考、情熱やエネルギー、機敏さ、そして彼らのアイデアへの注目度の高さはとても素晴らしいものです。共通する目標の実現のために助け合える方々とでしたら、ぜひいっしょに仕事をしたいものです」と話しました。
再生可能エネルギーへの移行に際して、すぐに効果を発揮できるものの一つがソフトウェアです、とマルテラは言います。(この分野におけるGEの詳細はこちらをご覧いただき、併せて本記事下の動画もご覧ください。)マルテラは先日、ブリュッセルとベルリンを訪れ、ウクライナ侵攻について意見交換した際にも、ソフトウェアがいかに役立つかを指摘しました。たとえば、各国がエネルギーミックスを変更したり、再生可能エネルギー由来の電力をより多く送配電網へ送り込む際、また需要や天候の変化に対応できるよう送配電網のレジリエンスを高める際に有効なのです。そして「ソフトウェアを導入することで、すぐに成果を目の当たりにできるのです」とその利点を説明しました。
マルテラはGEリサーチが取り組む革新的なテクノロジーについても言及しました。一例として、GEの科学者はフレキシブル・トランスフォーマーと呼ばれる変圧器を開発しています。この変圧器は送配電網を故障や異常気象から保護し、深刻な停電を防ぎ、停電が発生してもより早い復旧に役立つ、送配電網にとってスーパーヒーローになる存在となる可能性があります。さらに最新の送配電網(スマートグリッド)をより手頃な予算で構築し、維持できる可能性がある点でも期待されています。
GEの研究成果は送配電網にとどまりません。GEの研究者たちは、燃料としての水素の利用拡大、CO2回収・利用・貯留(CCUS)システム、小型モジュール式原子炉(Small Modular Nuclear Reactors、以下SMR)、超電導発電機を搭載した風力タービン、浮体式洋上風力タービンなどの更なる研究も重ねています。2021年秋にはニューヨーク州ロングアイランドの発電所で、燃料をこれまでの天然ガスからグリーン水素と天然ガスの混合ガスに一時的に入れ替えて、航空機エンジン転用型ガスタービンで混焼する実証プロジェクトが実施されました。またアラバマ州では、GEとエネルギー省が協力し、天然ガス発電所が排出するCO2を最大95%削減しながらCCUSのコスト削減方法を探る研究を進めています。
マルテラはさらに次のように述べています。「GEのラボはまるでタイムマシンのようです。そこでは科学者たちが、少しでも効率の良いものにしようと、5年後、10年後に使えるかどうかもわからない未来のジェットエンジンの部品を研究している姿が見られます。そんな少しずつの積み重ねですが、研究者たちは自分たちが今やらなければ誰がやるというのかという気概で取り組んでいるのです。」
またマルテラは、GEが持続可能な航空燃料(Sustainable Aviation Fuel、SAF)で達成した成果や、ハイブリッド電気推進エンジン技術、水素を燃料とする航空機エンジン、およびオープンローター設計へ取り組む投資にも触れ、いずれのテクノロジーもCO2排出量の削減につながる技術となる可能性があることを示しました。そして航空機の100%電動化さえも手の届かない技術ではないという未来についても概要を語りました。
マルテラはまた、ここ数年の「ターンアラウンド ストーリー」として原子力を挙げ、次のように説明します。「次世代の小型モジュール原子炉(SMR)が、CO2排出量削減を巡るソリューションのひとつになり得ると高く評価されるようになったのです。」SMRとは従来の原子炉を小型化し、モジュール化することで設置面積を90%小さくし、2年から3年で設置できるようにしたものです。
最後にマルテラは、気候変動を巡るイノベーションは「175カ国」のためにあることを強調しました。これはGEがお客様にサービスを提供している国の数にちなんでいます。彼は次のようにスピーチを結びました。「私たちは米国や北米だけでなく、全世界のために気候変動という課題を解決したいと考えています。GEのテクノロジーを形にして世に送り出し、世界のあらゆる地域に合わせてカスタマイズすることが重要なのです。」