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石炭から天然ガスへ:ポーランドのCO2削減と再生可能エネルギー推進のための戦略を支援するGE

グレガー・マクドナルド

 

2018年、ポーランド政府はおそらくヨーロッパで最後と言われる大規模石炭火力発電所の建設を計画していました。ワルシャワ北東の小都市オストロウェンカ(Ostroleka)で進んでいたこの計画はすでに基礎工事や冷却塔の建設が進み、1,000MWの発電所プロジェクト向けの石炭ボイラーも選定されたところでした。

ところが、ポーランドの電力会社エネルガ(Energa SA、同国のオーレン・グループ⦅ORLEN Group⦆の傘下企業)は今回、その方針を転換しました。市場環境の変化に対応し、CO2排出量削減を目指すために、石炭火力ではなくガス火力発電所を建設することを決定したのです。この決定を受け、導入する発電機として新たに選定されたのは、世界最大級かつ業界最高水準の発電効率を誇るGE製9HA.02大型ガスタービンでした。2025年に予定されている運転開始後は、最大出力745MWの電力を供給する予定で、ポーランドの約50万世帯に必要な電力を賄うことができます。

天然ガスを燃料源として使用する発電所は、導入される技術や機器の構成にもよりますが、石炭火力発電所に比べてCO2排出量を70%近く削減することができます。また、太陽や風を利用できない時にも素早く発電量を増やすことができるため、再生可能エネルギーの利用促進を加速させる上でも重要な役割を果たします。GEガスパワーのプロジェクトディレクターを務めるアンゼイ・トワードフスキー(Andrzej Twardowski)は次のように説明します。「お客様にとっての最大のメリットはこれまでの石炭発電プロジェクトをガス発電プロジェクトへとスムーズに移行できたことです。これは、競争力に優れた製品の一つである9HA.02タービンを活用することで可能になりました。」

ポーランドのオストロウェンカ発電所(上部およびトップ画像)は、おそらくヨーロッパで最後と言われる大規模石炭火力発電所となる計画でした。今回、GE製ガス燃焼タービンに切り替えられることで、CO2排出量を最大70%削減することが可能となり、より多くの再生可能エネルギー由来の電力の利用を可能にします。画像提供:GEガスパワー

他のヨーロッパ諸国と同様、ポーランドはエネルギーミックスの多様化を目指しており、現在発電される電力の約70%を担う石炭からの段階的な脱却を進めています。また、同国はロシアによるウクライナ侵攻の数年前からガスプロム(Gazprom)との長期契約の更新を見送り、ロシアに依存するガスの消費量を減らすことを決定していました。また、6年前には、バルト海に面したシュチェチン市(Szczecin)近郊のシフィノウイシチェ港(Swinoujscie)に液化天然ガス(LNG)ターミナルを開設しました。さらに、大規模な天然ガスパイプライン「バルティック・パイプ(Baltic Pipe)」の開通も近づきつつあります。GEポーランドのCEOを務めるスラヴォミール・ザイゴースキー(Slawomir Zygowski)は次のように説明します。「2022年末にこのパイプラインが完成すると、ノルウェーの北海からポーランドまでパイプラインでガスを輸送できるようになります。このように、ポーランドはエネルギーミックスの多様化が急速に進んでいるため、電力事業各社にとって最も魅力的な国の一つになるでしょう。」

この多様化の中で、再生可能エネルギーは当然大きな役割を果たすことになります。一例として、ポーランドでは洋上風力発電についても導入の大幅拡大が計画されており、最終的に洋上風力は20GWもの電力を生み出す可能性があるとザイゴースキーは語ります。発電量の比較のためにご紹介すると、マサチューセッツ州からバージニア州に至るアメリカ東海岸では2030年までに30GWの洋上風力発電設備の新設を目指しています。こうした中、GEリニューアブルエナジーもポーランドのエネルギー戦略へさらに貢献するべく、2021年8月にPKNオーレン社(PKN ORLEN)と洋上風力発電の開発を推進する覚書(MOU)を交わしました

今回導入が決定したGE製 9HA.02タービンは、再生可能エネルギー源の利用拡大をサポートするのに最適な設備と言えるでしょう。というのも、立ち上がりに要する時間が短時間で済むというGE 9HA.02タービンの特長の一つが、風力や太陽光の変動に対応する上で大きな役割を果たすからです。さらに、このタービンは当初から水素燃焼にも対応していることも特長で、最大50%までの水素を天然ガスと混焼することが可能です。水素燃料は発電時に燃焼してもCO2を排出しないことから大きなメリットとなります。

また、この発電所では9HA.02と蒸気タービンとを組み合わせて発電するコンバインドサイクル発電で運転することも計画されています。コンバインドサイクル発電とは、ガスタービンから出る廃熱を回収して蒸気を生成し、その蒸気で蒸気タービンを回して発電する仕組みのことで、導入すれば発電所の効率はさらに向上します。GEガスパワーの大型ガスタービン製品管理責任者を務めるアミット・クルカルニ(Amit Kulkarni)は次のように述べています。「今回の設備の各ユニットとも非常に高い柔軟性があるので、エネルギーシステムの高い信頼性が確保できます。エネルガ社がポーランド全土に低炭素エネルギーの利用を迅速に拡大するうえで、大いにお役に立てることでしょう。」

2025年末に竣工予定のオストロウェンカ新発電所は、グローバルに展開するGEの各チームと5,000以上のサプライヤーから成るポーランドのネットワークに支えられ、その建設現場はたくさんの人で活気に満ちたものになると予想されています。トワードフスキーも次のように説明します。「建設期間中、とくにピーク時には1,000人の作業員が現場に常駐することになるでしょう。」

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