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変革の担い手:世界中の女性と共にエンジニアリング界の多様性を提唱するGEのデイナ・ジョンソン

ダイアナ・デリング

デイナ・ジョンソンはことしの春、彼女のキャリアにおける「アハ体験(「なるほど、そうか」と納得する瞬間)」を経験しました。それはサウスカロライナ州グリーンビルにある、新たな製造プロセスと修理技術の開発を行うGEガスパワーの最先端施設Advanced Manufacturing Worksを訪問した時のことでした。同施設の壁にはトーマス・エジソンの特大ポスターが飾られており、彼の名言が添えられていました。

その中の一つが「多くの人がopportunity(好機)を逃す。なぜなら、opportunityは作業着を着ていて骨の折れる仕事として目の前に現れるからだ」でした。このゼネラル・エレクトリックの創設者の言葉を引用しながら彼女は次のように語ります。「この言葉は本当に心に響きました。opportunityとは『不意に訪れる幸運』ではありません。自分で何かを見つけてそれに取り組み、自分のものにするということなのです。思えばこの考え方が、これまでの私の人生を導いてくれました。あのポスターを見て『そうだ、私は自分がいるべき場所にいる』と思えました。」

ジョンソンはGEに10年以上在籍し、現在はシカゴでGEガスパワーのエマージングテクノロジー担当リーダーとして働いています。STEM(科学、技術、工学、数学)を専攻する女性を採用し、その力を引き出す彼女のリーダーシップと情熱は、多様性に富み、活気に満ちたチームを作るというGEのコミットメントとも一致しています。

ジョンソンは、4万3千人の会員を擁しエンジニアリングとテクノロジーの分野で活躍する女性を世界的に支援する非営利団体Society of Women Engineers(以下SWE)の長年の支援者であり、現在はプレジデントを務めています。グリーンビル滞在中、彼女はGEウィメンズ・ネットワークがスポンサーを務めるSWEのイベントであるワイン・オークション・ベネフィットに参加しました。同ネットワークがこれまで長年にわたってSWEのエンジニアリング奨学金基金に寄付してきた額は100万ドル以上に上ります。1年間のプレジデント在任期間が終了する7月末までに、彼女は世界中で何十もの同様のイベントで講演を重ね、SWEのシカゴ本部や米国内の各地でたくさんの会合に参加する予定です。

SWEワイン・オークション・ベネフィットで登壇するデイナ・ジョンソン。画像提供:デイナ・ジョンソン。 トップ画像:2023年度理事・評議員任命式でスピーチするジョンソン。画像提供:SWE

GEでのフルタイムの仕事に加え、妻、そして2人の息子の母親、さらにSWEでの役割を抱えているジョンソンは次のように語ります。「SWEがあるおかげで、私は今ここにいることができます。ですから、他の女性たちがエンジニアリングの世界に入り、自分たちの居場所がここにあると感じられるように、できる限りのお手伝いをしたいと思っているのです。」

ジョンソンはSWEのようなサポートネットワークがもたらす利点とは何か、身をもって知っています。知力と意欲にあふれた彼女は、イリノイ州ミヌーカの高校をほぼトップの成績で卒業できると確信し、家族で初めて大学卒の人間になるという目標を立てていました。しかし、手本となるような人がほとんどいなかったため、彼女はどのように取り組めばいいのか、たとえば奨学金を申請するにはどうすればいいのか、あるいはそもそも何を勉強すればいいのかさえわかりませんでした。「私は熱意に満ちた少女でしたが、その熱意を何に向けたらよいのか見当もつきませんでした」と彼女は振り返ります。

結局、ジョンソンは高校の授業で化学工場を見学したことをきっかけに、大学では土木工学を勉強することにたどり着きました。「その工場で見た化学プロセスにはそれほど興味が湧かなかったのですが、廃水を処理して環境に戻すプロセスはとてもクールだと思ったのです」と彼女は言います。化学工場の見学自体は直接的な影響は及ぼさなかったものの、そこでの経験は、優れたエンジニアリングプログラムを備えたインディアナ州のヴァルパライソ大学に彼女を進学させるには十分なきっかけとなりました。

ジョンソンがSWEに出会ったのはヴァルパライソ大学1年のときでした。ほとんどが男性で占められているSTEMクラスを受講していた女性として、彼女は次のように考えました。「SWEに出会ったことは、私が必要としていたサポートネットワークを見つけたことと同じでした。ただでさえ大学を卒業するのは大変なことですし、難しい授業が加わるとさらに大変です。その上、女性というマイノリティであることも不利に働きます。」

数十年前に比べてエンジニアリングの職場で働く女性が増えている一方で、彼女は次のように認識していると話します。「女性やマイノリティグループに属するメンバーをSTEM分野に導くのに、依然として苦労しています。真にインクルーシブな社会を実現するには、とある1つのグループからではなく、世界をrepresent(※)するエンジニアたちが必要です。全員がテーブルに着き、議論や計画に参加できるようにすることが重要です。それがこの世界をより良い場所にするために必要なことです。決まり文句のようにも聞こえますが、これが真実なのです。」

※represent:ダイバーシティ(多様性)およびインクルージョン(個性や特徴を認め合い、ともに活動すること。包摂)について論じるとき、representとはその社会を構成する要素(人種、性別、年齢層など)が偏らず、数多く参加していることを表す

インドのベンガルールでの伝統的な点灯式典後のジョンソンとSWEエクゼクティブ・ディレクター兼CEOのカレン・ホーティング、地元ボランティアたち。画像提供: SWE

彼女は上下水道エンジニアリングで10年の経験を積み、ヴァルパライソ大でエンジニアリング・マネジメントの修士号を取得した直後の2012年、GEに入社しました。「配水システムと送配電網(グリッド)のシステムはそれほど違わないことから、間違いなく私にはその仕事ができるはずです」と売り込んだところ、GEエナジー・コネクションのコマーシャル・マネージャーとしての仕事をオファーされたと彼女は説明します。

結果的に、彼女はプロポーザル・マネジメント業務にアドレナリンが湧き出る感覚を覚えるほどのめり込み、コマーシャル・マネージャーとして5年間働いたことで、グリッド・ソリューション・ビジネスの全体像を把握するという貴重な体験を積むことができました。そこからさらに成長しようと、彼女はGEのAccelerated Leadership Programに参加しました。このプログラムには2年間でパワーサービスのグローバル・セールス・リーダーやグリッド・ソリューションの事業開発マネージャーをローテーションで務めることも含まれていました。その後、GEリニューアブルエナジーでマーケティング・インテリジェンス・リーダーとして2年間を過ごし、さらなるスキルアップのチャンスを得ました。

自身が積み重ねた経験によって、彼女はGEガスパワーでの現在のポジションに最適な候補者となり、今では脱炭素化に対するGEのコミットメントを支える新たな技術の導入において重要な業務を担っています。

ジョンソンはSWEプレジデントに就任する前の5年間を理事として貢献しました。彼女はこうした活動を続けるために必要なフレキシビリティを自身に容認した上司たちに対し、真っ先に感謝の意を表しました。GEは1961年に250ドルの寄付金と共にSWEを支えるグループに加わった最初の2社のうちの1社であり、SWEの各イベントで採用活動を続けてきた長い歴史があります。

歴代のすべてのSWEプレジデントは在任中のテーマを選ぶよう求められてきました。ジョンソンはスローガンとして「A world of opportunity awaits」を掲げました。SWEのプレゼンスがグローバルに認められてきたこと(会員の約12%は米国外に在住)や、エジソンが奨励したように、女性エンジニアがopportunityを認識し、それを最大限に活用できるようにすることを目標としていることにちなんでいます。

ジョンソンはプレジデント就任以来このメッセージを強く掲げており、2022年10月にヒューストンで開催されたSWEの年次カンファレンス「WE22」でもこのメッセージが注目を集めました。閉会レセプションは特に印象的でした。当日、ジョンソンの発案で、Netflixの人気リアリティ番組『Baking Impossible』シリーズのコンテスト出場者4人が登場し、旗を振る宇宙飛行士をはじめ、複数の可動パーツをふくむ精巧な宇宙船ケーキを完成させたのです。

SWE年次カンファレンスに登場した「Baking Impossible」コンテスト出演者たち。画像提供:SWE

「これはベイキング(パンや焼き菓子作り)など普段考えたこともなかった分野でも、エンジニアリングのスキルがいかに効果を発揮するかを示す一例です」と彼女は言います。彼女自身もケーキ作りが好きで、友人や家族の間では、人気の漫画のキャラクターやMLBシカゴ・カブスの本拠地球場であるリグレー・フィールドを模した、彼女しか作れないケーキを作ることで知られています。発電所のオペレーターとして働いてきた彼女の父親が退職したときも、彼女は父が働いた発電所をテーブルサイズの模型にしたケーキを焼きあげました。

「『Baking Impossible』は次のカンファレンス開催に向けてハードルを上げてしまったと思います」とジョンソンは笑いながら語ります。彼女はもうすぐプレジデントの任期を終えますが、今後もSWEの理念をサポートし、SWEに関わり続けるつもりです。

 

ダイバーシティおよびインクルージョンに富んだ職場づくりに取り組むGEはダイバーシティレポートを発表し、2022年GEサステナビリティレポート(英語のみ)と一体化しました。DEI(ダイバーシティ、エクイティ⦅公平⦆、インクルージョン)に関するGEの進捗状況が取り上げられていますのでご一読ください。

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