
業績回復に弾み:GEが44億ドルのフリーキャッシュフローを計上
トマス・ケルナー
1月26日に行われた2020年第4四半期および通年の決算報告で、GEのラリー・カルプ会長兼CEOは投資家に向けて、2020年以上に厳しい年は考えられないと語りました。「これほどの難局に見舞われた一年を私たちの誰一人決して忘れないでしょう。しかし、そうした難局を乗り越えようと世界中が立ち上がったことは、それ以上に記憶に残るはずです」と述べた上で、「GEが先の見えない状況の中で持ちこたえ、成すべきことを行った結果、今後の一年に向けてよい準備ができたことを誇りに思う」と強調しました。
最優先の課題であったインダストリアル部門のフリーキャッシュフロー*については、第4四半期は前年より5億ドル増となる44億ドルを計上、年間では6億ドルを計上しました。この結果は季節的な追い風に加え、業務の改善が進んでいることと、GEの電力部門およびGEリニューアブル・エナジーの受注高が堅調で増加傾向にあることの表れだとカルプは説明しました。さらに、2019年には堅調な業績でグループ全体の増益に貢献したGEアビエーションがその後のパンデミックによる厳しい市場情勢に直面していることと、2020年3月にバイオ医薬事業をダナハー社に売却したことを考えれば、今期の業績は一層大きな意味を持つと述べました。
受注高は第3四半期に3%減となりましたが、第2および第3四半期から見ればかなり改善したとカルプは指摘しました。「当社の4つのセグメントのうち3つでは受注高が増加しました。特にリニューアブル・エナジーとパワーの両部門の設備受注は2桁増です。年間の受注高は17%減で、うち95%はアビエーション部門の影響によるものです。」
こうした厳しい状況にもかかわらず、年末時点での受注残は3,870億ドルとなり、うち80%は収益率の高いサービス部門が占めています。
カルプは、GEの収益率とキャッシュフローは時の経過とともに着実に改善してきたとし、「依然として厳しいマクロ環境の中にありながら、今四半期にフリーキャッシュフローが大幅に増加したことは励みになります」と付け加えました。
最上部画像:GEの前進を後押ししているのはリーンマネジメントです。例えば、GEリニューアブル・エナジーではこの手法を活用し、欧州におけるサービスの全面的な見直しを進めています。画像提供:GEリニューアブル・エナジー
カルプによれば、GEの各事業は強さを増しつつあり、「従業員の安全を守り、お客様やコミュニティのニーズに応える」など、いま最も大切なことに注力しながら、引き続きGE自体がコントロールできることに集中的に取り組んでいます。その中には、幹部社員の新規採用や、20億ドル以上のコスト(削減)と30億ドルのキャッシュアクションにより堅調なフリーキャッシュフロー創出を可能にすることが含まれます。
年末時点の流動資産は370億ドルを計上しました。債務は2020年に160億ドル減少し、過去2年間では300億ドルの減少となりました。
事業と財務の健全性について、カルプはGEの前進を支える3つ目の要素、すなわち同社が掲げる目標『We rise to the challenge of building a world that works.』と関連付けて次のように説明しました。「当社はエネルギー転換(energy transition)、プレシジョン・ヘルス(precision health)、新しい空の旅(future of flight)など、世界の特に重要なマーケットで先頭を走っています。熱意をもってお客様のニーズに応え、世界が抱える大きな問題に取り組んでいきます。」
カルプはその実例として、いくつかの製品を挙げました。例えばGEヘルスケアのMural Virtual Care Solutionは、医師や看護師が集中治療室(ICU)にいる多数の患者のほぼリアルタイムの状態を1カ所でモニターできるソリューションです。この技術は、心拍数などのバイタルサインや人工呼吸器データなど、新型コロナウイルス感染症の特に重要な指標を重点的にモニターするよう調整が可能です。また、GEヘルスケアは先頃、コンピュータ断層撮影(CT)装置の画像の質を飛躍的に向上させる光子計数技術を有するプリズマティック・センサー社(Prismatic Sensors AB)を買収しました。さらにGEは、稼働中のものでは世界で最も強力な洋上風力タービンHaliade-Xと世界で最も強力なジェットエンジンGE9Xについて、規制上の認可を取得しました。「こうしたことはいずれも、イノベーションへの投資に対する当社の継続的な意欲がなければ実現不可能です」とカルプは言います。
GEの勢いと成長の基盤となっている共通の要因は、リーンマネジメントです。これは、継続的な改善を意味する「カイゼン」という日本語を軸としたビジネス戦略です。GEは、全社的なリーンの推進に当たるカイゼン推進室(Kaizen Promotion Office)を社内に設置しました。カルプによれば、「安全性、品質、デリバリー、コストの改善による業務上と財務上の効果を見据えて」のことです。この対策により、GEパワー、GEアビエーション、GEリニューアブル・エナジー、GEヘルスケアの各部門で業務の改善と数百万ドル分の在庫削減を実現しました。特にグリッド事業においては、リーン手法の活用により品質欠陥を25%減少させ、コスト削減に寄与したことが2020年の営業利益60%増につながったと言います。
リーン手法はGEのお客様にも成果をもたらしています。GEデジタルのCEOで、GE全体のオペレーション担当バイスプレジデントも務めるパット・バーンとその配下のチームは、パンデミックの影響でリモートワークが広がる中で風力タービンの運用事業者向けデジタルシステムをGEリニューアブル・エナジーと共同で開発してきました。また、時間を短縮し無駄を省きながら安全性を向上させることを目指し、デジタル技術を活用した風力タービン点検などのプロセスの自動化にも取り組んでいます。
「GE社員たちの立ち直る力は本当に素晴らしいと思います」とカルプは語りました。「先の見通せない中で、当社は事業の強化を続け、お客様のために成果を出し続けてきたことをぜひご理解いただきたい。…どの事業部門も勢いが増しつつあります。GEはその歴史を通じて当社の特徴となってきた強みを保持しながら、継続的に企業風土を進化させ、リーン手法を取り入れてきました。…数年をかけた改革が進むにつれて、キャッシュフローと収益が改善し、上向きのチカラが解放されるでしょう。」
<本文は仮訳です。詳細は以下にある英語版サイト等でご確認ください。>
*Non-GAAP財務指標。これらのNon-GAAP財務指標を使用している理由、および最も直接的に比較可能なGAAP財務指標との照合については、当社ウェブサイト(www.ge.com)のIR情報セクションに掲載の2020年第4四半期収益に関する資料の中でご説明しています。
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