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航空ファンがパリ航空ショーへ殺到するのと同じく、航空業界のリーダーたちはサステナビリティに注力

ウィル・パルマー

 

6月19日からパリ航空ショーが開催されています。会場となるパリ北部のル・ブルジェ空港には、航空業界で最も古くかつ最重要のイベントのために30万人以上の人々が、文字通り空から舞い降りることが予想されます。この一大イベントは1909年に始まりました。その数カ月前に初めて英仏海峡横断飛行という快挙を成し遂げたブレリオXI型単葉機が観客を魅了したことがきっかけで始まったこのイベントは、今では伝統行事となっています。通常は隔年開催されてきましたが、パンデミックの影響で2021年は開催中止だったため、今年のパリ航空ショーは4年ぶりの開催となり、世界50カ国から約2,500社が出展する予定です。

前回の2019年のパリ航空ショー以降、航空宇宙分野を取り巻く環境にはさまざまな変化が起こりました。例えばGE Aerospaceも加盟しているATAG(Air Transport Action Group:航空業界のサステナビリティを推進するグローバル連合)がパリ協定を支持し、2050年までにCO2排出量ネットゼロを達成するという意欲的な目標を掲げたのは、わずか2年前のことです。この目標達成に向けて、航空業界は現在どのような状況にあるのでしょうか。長年にわたってフライトをよりサステナブルなものにする取り組みの最前線に立ってきたGE Aerospaceはこの度、その答えを見出すため、米国、英国、中国、インド、UAE、フランスの航空業界のリーダー325人を対象とした調査を行い、その回答結果を明らかにしました。

先日発表されたその結果は、航空業界がこの課題に真剣に向き合っていることを示すものでした。サプライチェーンや労働問題などを上回り、サステナビリティを現在もっとも重要な課題として挙げる回答者が多く、そのために資金を投入していることが明らかになりました。航空業界を代表する航空会社、機体製造会社、空港などのリーダーのうち76%が、サステナビリティに注力することで業界のオペレーション手法が根本的に変わったと答えたほか、サステナビリティに対応する戦略がすでに自社のオペレーション運営(74%)、投資(73%)、雇用(62%)に大きな、または中程度のインパクトを及ぼしていると述べています。

しかし、ステークホルダーの3分の2は、航空業界が一致団結してサステナビリティ・ソリューションの導入に注力していると信じている一方で、2050年の目標を達成するには進捗率をさらに高める必要があるとも述べています。現在のペースでも回答者の46%が航空業界は2050年までにネットゼロ排出目標を達成できると考えているものの、32%が達成しないと答え、22%がわからないと回答しています。また今回の調査を担当したイプソス(Ipsos:注)によると、各国政府はサステナビリティへの取り組みを支援する上でより大きな役割を果たす必要があり、回答者の大半(61%)は発令される権限や規制よりもインセンティブや政策支援を優先させるべきであると考えると回答しました。

注:イプソスはグローバル・マーケティング・リサーチ企業。GE Aerospaceの委託を受けて今回の調査を担当。

GE Aerospaceの商業プログラム戦略担当バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーであるアレン・パクソンは次のように説明します。「今回の調査結果は、航空業界が2050年までにCO2排出量ネットゼロを達成するという目標に向け注力していることを示しています。と同時に、すべての主要ステークホルダーが同じフィールドに立てるよう迅速に取り組む必要性が認識されていることも示しています。」

また回答者らは、燃料とエンジンの両方とも進歩することが、ネットゼロ排出の実現に最も大きな役割を果たすと回答しています。こうした回答を受け、GE会長兼CEOおよびGE Aerospace CEOであるラリー・カルプは改めて次のように指摘します。「エンジンと燃料はGE Aerospaceがリーダーシップを発揮してきた2つの技術分野そのものなのです。」

カルプはまた、CFM*社のRISE技術実証プログラムのような新しい技術開発についても触れています。RISEプログラムは2021年6月に発表され、現在製造されている最も高効率なジェットエンジンと比較しても燃料消費量を20%以上改善し、CO2排出量を20%以上削減する、オープンローターエンジン・アーキテクチャをはじめとする新たなテクノロジーの開発プロジェクトです。さらに昨年夏、エアバス社はCFM社とパートナーシップを締結してRISEプログラムに参加し、2020年代後半にエアバスA380で飛行試験デモンストレーションプログラムを実施し、オープンローターエンジン・アーキテクチャを検証することを明らかにしました。そして、オープンローター・アーキテクチャのハーフスケールモデルは、今回のパリ航空ショーの注目の的となることでしょう。詳細については、来週以降のGE Reportsをご覧ください。

このクラスで最も燃料効率に優れたエンジンであるGE9X。トップ画像:GE9Xエンジンのクローズアップ。画像提供: GE Aerospace

今回の航空ショーに訪れる人々は、GE Aerospaceが燃料研究においてどのように取り組んでいるかも知ることができます。持続可能なジェット燃料(Sustainable Aviation Fuel:以下SAF)は、GE Aerospaceが大きく先行している分野の1つです。15年以上にわたる研究努力や、ユナイテッド航空とのパートナーシップにより、デモンストレーション用機材が搭載するエンジン2基のうちの片側1基に100%SAFを用いた運航に成功するなどの実績があります。この燃料は植物由来の原料や油脂、グリース油、処理済み廃棄物、回収したCO2およびその他の代替原料から抽出することが可能で、従来のJet A燃料と同様の化学的組成を有しています。また、従来のジェット燃料と比較して、燃料のライフサイクル全体を考慮すると、CO2排出量を最大80%削減する可能性もあります。GE Aerospaceおよびそのパートナー企業が製造するすべてのエンジンは、現在、認証済みSAF混合燃料で運用することが可能です。

ことしの初めにボーイングの環境サステナビリティ担当バイスプレジデントであるシーラ・レメスは次のように述べました。「SAFの活用は、航空需要の拡大を支える必須かつ中核となる課題です。私たちはエネルギー源を替え、より高効率な航空機を中心とした関連技術をイノベートし続けることにフォーカスを当てています。」この説明に呼応するように、今回の最新のGE Aerospaceサステナビリティ調査の回答者らは、2050年の目標を達成するために政府が果たすべき最も重要な役割として、SAF関連投資の増加を第一に挙げています。

SAFと並ぶもう一つの道は電動化です。電動化は、陸上ではすでに(電気自動車を見れば)明らかですが、まもなく空にもやってくるかもしれません。2021年に発表されたNASAの電動パワートレイン飛行実証(EPFD: Electrified Powertrain Flight Demonstration)プロジェクトは、今後5年間で総額2億6千万ドルが投じられるプログラムであり、NASAとGE Aerospaceがメガワット級の統合型ハイブリッド電気推進システムの開発を進め、2020年代後半にテスト飛行を実施する予定です。このテスト飛行に際してはボーイングとその子会社であるオーロラ・フライト・サイエンス社(Aurora Flight Sciences)が試験機に改造を施し、システム統合とテスト飛行を実施します。

GE Aerospaceのエグゼクティブ・ハイブリッド電気システムリーダーを務めるクリスティン・アンドリュースは次のように述べています。「これはエンジニアにとって実に大きな喜びとなります。ハイブリッド電気推進システムそのものの開発だけでなく、認証、耐空性、品質、パワーエレクトロニクス、およびこれまで十分にカバーしきれなかったコンポーネントなどの隣接する領域においても、テクノロジー開発の新たな景色が見られるのですから。」

また、2022年にエアバス社とCFMインターナショナルは、液体水素を燃料とするGE製航空機エンジンのテストに協力することを発表しました。

「GE Aerospaceと当社のパートナー企業のエンジンが、世界中のフライトの4分の3に使用されています。そのため、GEは業界の成長に対応し、よりサステナブルかつ効率的にお客様に貢献することが重要な責任であると認識しています」とGE Aerospaceのパクソンは述べています。

第54回パリ航空ショーは6月19日から25日まで開催されます。ショーの最新ニュース、写真、詳細な記事については、次号以降のGE Reportsをご覧ください。

* CFM Internationalは、GE AerospaceとSafran Aircraft Enginesが50:50で共同出資している合弁会社です。

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