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水素のある未来: GEとニューヨーク州電力公社、グリーン水素イニシアチブを推進

ウィル・パルマー

ブレット・ネルソン

7月8日、脱炭素化へのアプローチのひとつである「グリーン水素」の活用という目標の達成が大きく近づきました。ニューヨーク州政府は、既存の発電所において水素混合燃料を発電用として使用する可能性を評価する実証プロジェクトを発表したのです。

アンドリュー・クオモ(Andrew Cuomo)州知事は、今秋からニューヨーク州電力公社(NYPA)が同州ロングアイランドにあるブレントウッド(Brentwood)発電所でそれまでの天然ガスから「グリーン水素」と天然ガスの混合燃料に切り替えるパイロットプロジェクトを実施すると発表しました。このプロジェクトではGEパワーが重要な役割を果たしています。導入する予定のタービンは、もともと航空機のエンジンを発電用に転用、開発したGE LM6000燃焼タービンです。

現在製造されるほとんどの水素は、天然ガスに含まれるメタン(CH4)を圧力と熱によって蒸気と反応させ、水素、CO(一酸化炭素)、CO2を生成する水蒸気改質で取り出されますが、グリーン水素は電気分解によって生成されます。このプロセスでは、再生可能エネルギーから得られる電力で水(H2O)を電気分解し、酸素(O2)と水素(H2)を生成します。さらに、このプロセスではCO2を排出しない再生可能エネルギーと炭素を含まない水を使用するので、CO2が一切発生しません。

GEが水素燃料の開発に関わったのは今回が初めてではありません。今年の秋にはオハイオ州ハンニバルの発電所でも発電容量485MWの水素とガスの混合燃料による発電が開始される予定です。ロングリッジ・エナジー社(Long Ridge Energy)が運営するこの発電所は、当初から発電用燃料として水素を利用することを前提として建設された米国初のものになります。GE製の巨大な新型ガスタービンを使用し、米国の40万世帯に十分な電力を供給する予定です。

ロングリッジ社はこの水素と天然ガスを混合した低炭素電力の供給を開始し、今後10年で100%の水素専焼が可能な発電プラントへ転換することを目指しています。

上部画像: ロングリッジ発電所は、当初から発電用燃料として水素を利用することを前提とした米国初の発電所になります。画像提供:GEガスパワー。  トップ画像提供:ゲッティ・イメージズ。

一方、エナジー・オーストラリア社(EnergyAustralia)はシドニーの南に同国内初のガス・水素発電所を建設中です。GE製9F.05型ガスタービンを動力源とし、約316MWの電力を迅速に発電できる発電所であり、間もなく稼働停止予定となっている近隣の石炭火力発電所の発電容量を代替する役割も果たします。

こうした水素燃焼を前提とするプロジェクトにおいては、エネルギー転換を滞りなく実施するために重要な役割を果たす政策やガバナンスが必要です。GEガスパワーの「フュエル・ガイ(Fuel Guy)」ことジェフリー・ゴールドミア(Jeffrey Goldmeer)は「社会が脱炭素化に取り組みより多くの投資を呼び込めるようになれば、政府補助金やその他の取り組みと結びつき、低炭素な経済や社会の実現へと向かう大きな流れになるのです」と語ります。

ニューヨーク州の今回の取り組みは、2050年までにCO2排出量を85%削減することを目標とした同州の長期的な脱炭素戦略の一環です。また、クオモ知事は州の意思決定に活用する情報を共有するために、国立再生可能エネルギー研究所(NREL)やその他の水素に特化した機関と協働し、持続可能な新しいエネルギー技術の統合を進める長期的電力貯蔵(LDES:long-duration energy storage)ソリューションを目指すプロジェクトに1250万ドルを拠出することも発表しました。

また、クオモ知事はプレスリリースで「ニューヨーク州がこのような取り組みを継続的に進めている理由の一つに、ほかの州や諸外国が手本にしたいと思うような好例を示すことが挙げられます。クリーンエネルギー経済への移行に伴い、ニューヨーク州は気候変動問題に対処するためにさらに有効なツールはないか、利用可能なあらゆるリソースの調査をしています」と述べています。

エナジー・オーストラリア社がニューサウスウェールズ州に新設するタラワラ(Tallawarra)B発電所は、オーストラリアのクリーンエネルギーへの転換に不可欠な施設です。画像提供:GEガスパワー。

これまでに、75基以上のGE製ガスタービンによってすでに600万時間以上の水素または水素に類似した燃料での稼働実績を積み上げています。その多くは、プラントが稼働する際に水素が副産物(排ガス)として生成され、その水素を燃料としてタービンに戻し、プラントの稼働に再利用しています。

GEガスパワーのチーフマーケティングオフィサーを務めるブライアン・グートネック(Brian Gutknecht)は次のように言います。「(排ガスを再利用する)技術開発の当初の目的は脱炭素化ではありませんでした。はじめは経済的な理由でしたが、今では積み重ねた知見を活かして世界の脱炭素化に貢献できるようになりました。」

クオモ知事の発表によると、ブレントウッドの実証プロジェクトには米国電力中央研究所(Electric Power Research Institute)、エンジニアリング企業のサージェント&ランディ社(Sargent & Lundy)、水素供給会社のエアガス社(Airgas)、フレッシュ・メドウ・パワー社(Fresh Meadow Power)の参加協力も得られるとのことです。GEの役割は水素と天然ガスの混焼システムを開発し、プロジェクトの計画立案と進行を支援することです。プロジェクト完了後は報告書が業界および一般向けに公開される予定です。

本プロジェクトについて、GEパワーのCEOを務めるスコット・ストラジック(Scott Strazik)は「80年以上にわたるガスタービン開発の知見の中には、水素を含む代替燃料による600万時間にも及ぶ運転実績も含まれます。こうした知見が活かし、より信頼性が高く、廉価で持続可能なエネルギー供給の早期実現に貢献していきたいと思っています」と述べています。

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