
All of the Above:『ネットゼロ排出達成に向けてあらゆるテクノロジーを投入する』と語るGEのサステナビリティ最高責任者ロジャー・マルテラ
ウィル・パーマー
サステナビリティに関するGEの最高責任者であるロジャー・マルテラは、9月20日から開催されたフォーラム「クライメート・ウィークNYC」において、ことし8月にバイデン大統領が署名し成立した「インフレ抑制法(Inflation Reduction Act)」を取り上げ、クリーンエネルギーおよび気候変動に3,690億ドルを投資する内容が含まれている点について次のように述べました。「これはGEにとって『ゲームチェンジャー』になります。つまり『気候変動に対処しつつ、エネルギーのイノベーションとエネルギー安全保障を推進する』この法律により、GEが世界的に重要な課題である気候変動とサステナビリティの課題に取り組むべき会社であることが明確になりました。つまり、GEのテクノロジーを活用して画期的なイノベーションを実現することで、気候変動とサステナビリティという地球上でもっとも差し迫っている問題の解決に貢献できるからです。さらに重要なのは、今回の法律が規定する10年という期間が『大きな決断を伴う投資』に必要な確実性をもたらすのです。」
マルテラはさらに続けます。「GE Vernova(GEベルノバ)*と命名され2024 年に分社化される予定の事業ポートフォリオはGEの各エネルギー事業を結集しているため、気候変動法が列挙するすべてのアプローチに貢献することができます。小型原子炉や再生可能エネルギー、CO2の回収・貯留など、エネルギーに関するあらゆる種類のテクノロジーがGEにはあります。網羅できていない項目は皆無と言ってよいでしょう。」
マルテラは次のようにも話します。「世界のエネルギー供給の3分の1に携わる企業として、GEは長い間、業界の一翼を担い続けてきました。ですが、私たちはスタートアップ企業にも敬意を持っています。彼らの俊敏さや創造力、才能、さらに彼らのアイデアへ寄せる投資家の注目度の高さはとても素晴らしいものです。私たちが予定されている分社後の名称をGE Vernovaとした理由はここにあります。つまり、私たちはGEというレガシーや長きにわたる歴史があります。その一方で、Vernovaということばには、この緑あふれる惑星になにか新しいものを作り出す・革新する、という思いが込められているのです。私はこれを『両方の長所を活かすアプローチ(best-of-both-worlds approach)』と呼んでいます。」
マルテラは、フォーブス誌のシニアエディターであるクリス・ヘルマン をモデレーターとし、9月20日に開催されたフォーブス・サステナビリティ・リーダーズ・サミット(Forbes Sustainability Leaders Summit)のパネラーの一人として登壇しました。クライメート・ウィークNYCは、各国の首脳、ビジネスリーダー、政府高官、そして市民社会のリーダーが集うイベントで2009年から毎年開催されています。今回のフォーブス・サミットのテーマは「エネルギーとサステナビリティが交わる地点における考察」でした。
また、FedExコーポレーションのスタッフバイスプレジデント兼環境問題およびサステナビリティ・チーフオフィサーのミッチェル・ジャクソンも登壇し、同社が運航するGE製エンジンを搭載したジェット機のCO2排出量削減目標について説明しました。その際、ジャクソン氏はマルテラとGEの航空機運航の際のCO2排出をゼロにするための努力を讃えました。それに対しマルテラは次のように応えました。「航空業界が他の業界と大きく異なる点は、一致団結していることです。FedEx、GE、そしてGEのお客様でもあるその他の航空会社が、2050年までに温室効果ガス排出ネットゼロを目指すという目標に向けて団結しています。これほどまでに団結している産業界は他にないのではと思っています。」

「新しい空の旅」がどのようなものか説明するよう求められたマルテラは、聴衆をまるでタイムマシンに誘うかのように語りました。「今日、みなさんが空港に行けば、ジェット燃料を使うエンジンを2基搭載するいつもの航空機をごく当たり前に見ることができます。しかし、今後わずか10年先に目を転じると、そこに見えてくるのはSAF(持続可能な航空燃料)を使う航空機、ハイブリッド電気推進による航空機、オープンローター方式エンジンを搭載する航空機、あるいは水素を燃料とする航空機かもしれません。これらのテクノロジーはすべてGEがまさに今取り組んでいるソリューションです。温室効果ガス排出ネットゼロを実現するためには、フライトや搭乗者数、積載貨物量も影響しますから、必要とされるテクノロジーはより多様性に富んだものになるでしょう。」
また、マルテラは次のようにも説明します。「航空産業では、ネットゼロ排出を実現すること自体が難易度の高いチャレンジになります。ポイントはジェットエンジンにあります。つまり、物理の法則をどのように克服し、高効率化をどうやって目指すかが問われるからです。このように、テクノロジーの多様化こそが航空産業分野のネットゼロ排出を解決できるカギになるのです。」
フォーブス・サミットのパネラーには、気候テック投資会社ボイジャー(Voyager)のサラ・スクラーシック共同設立者兼マネージングディレクターや、エネルギー分野のプライベートエクイティ企業キンマリッジ(Kimmeridge)のマーク・ヴィヴィアーノ マネージングパートナー兼公開株式部門リーダーも登壇しました。
また、同日にマルテラはLinkedInに投稿し、新たな法律の成立を祝うために先週ホワイトハウスを訪れたときの話を記述したほか、2008年に行われたホワイトハウスでのイベントにまで遡る道のりを紹介し、GEのレジリエンスと長期にわたる実績の共通点を振り返りました。
マルテラの投稿は次の通りです。「私に活力を与えてくれるものが2つあります。1つは気候変動とエネルギーに関する政策がしっかりと推進されることです。もう1つは、必要とされるテクノロジーを革新してお客様に提供するGE Vernova(GEベルノバ)の計画が進むことです。法律が成立して終わりではありません。実際はまだ始まったばかりなのです。」
クライメート・ウィークNYCは9月23日まで続きました。その他のディスカッション内容はClimateWeekNYC.org にてご覧いただけます。また、フォーブス・サミットを視聴するにはこちらからご覧ください。
*これらの予定については、一部地域では法律によって義務付けられた協議の結果の対象となる場合があります