
新しいデザイン:GE Aerospaceがハイブリッド電気航空機テストベッドの新デザインを披露
キャロライン・モリス
7月下旬にウィスコンシン州で開催された世界最大級の航空ショーであるオシュコシュ航空ショーで、GE AerospaceはNASAの電動パワートレイン飛行実証(Electrified Powertrain Flight Demonstration:以下EPFD)プロジェクト用のテストベッドの新しいデザインを披露しました。同プロジェクトは商用飛行におけるハイブリッドの実現可能性を証明する画期的な取り組みです。
今後ハイブリッド電気飛行の実証実験を行うにあたり、GE Aerospaceはボーイングとその子会社であるオーロラ・フライト・サイエンス社(Aurora Flight Sciences)と提携し、GE製CT7ターボプロップエンジンを搭載した改修型「サーブ340B」を使用してハイブリッド電気推進システムのフライトテストを実施する予定です。
見た目とは異なり、このハイブリッド電気推進テストベッドは決して普通の航空機ではありません。GE Aerospaceは、2020年代半ばの地上試験および飛行試験に向け、統合化された機器を搭載するメガワット級ハイブリッド電気推進エンジンシステムを開発中です。上部にある航空機の画像は、オーロラ・フライト・サイエンスの協力のもと、従来のGE製CT7ターボプロップエンジンを搭載しつつハイブリッド電気推進システムも搭載するよう改修予定のもので、電気モーターや発電機、パワーコンバーター、エネルギー管理システム、その他の技術を実証飛行する予定です。
この航空機の新しいカラーリングあるいは塗装スキームは、真っ白な胴体の後部を斜めに分け、印象的な色合いの「アトモスフィア・ブルー」で覆った点が特徴で、垂直尾翼にはGE Aerospaceの新しいロゴがあしらわれています。
GE Aerospaceの先端技術担当ゼネラルマネージャーを務めるアルヤン・ヘーゲマンは次のように述べています。「GE Aerospaceは、電動化された『新しい空の旅』を構想しています。NASAとの協力体制は、最先端の技術を引き続き進展させることで、今日の航空機エンジンよりも効率がよく、CO2排出量も削減された推進システムにするという業界の努力を促進するという重要な目的を持っています。」
今回、GE Aerospaceがオシュコシュでテストベッドの外観をお披露目したことは、ハイブリッド電気推進飛行の開発におけるGE Aerospaceの長年にわたるコミットメントを表しています。GE Aerospaceは10年前の2013年、航空機用の新しい発電システムを開発するためにオハイオ州のデイトン大学と電力統合システムセンター(Electrical Power Integrated Systems Center:以下EPISCenter)を開設することで最初の大きな一歩を踏み出しました。それ以来、重要なコンポーネントであるモーター駆動のプロペラのテストと電力伝送のシミュレーションを通じて目覚ましい進歩を遂げてきました。その成果をふまえ、GE Aerospaceは、先日EPISCenterに2千万ドルを投資し、新たなテストセル(様々な条件下で航空機エンジンをテストするための施設)および追加設備を加えることを発表したばかりです。
また、EPFDプロジェクトは2022年に重要なマイルストーンを達成しました。GE Aerospaceのハイブリッド電気推進システムリーダーであるクリスティン・アンドリュースは次のように説明します。「2022年にNASA電気航空機テストベッド(NASA’s Electric Aircraft Testbed、以下NEAT)の施設で、いわば最初かつ唯一のお墨付きを取得するテストを実施しました。これにより、高高度条件下での数キロボルト、メガワット級の電力伝送が実証されました。これは、後にも先にも行われたことのないテストとなっています。」
オハイオ州サンダスキー近郊にあるNASAのNEAT施設で実施されたこのテストでは、初めて高度45,000フィート(約13,700m)以上の高高度をシミュレートした条件下で動作させるテストを実施しました。NEATは、高電圧かつ高高度の条件を同時にシミュレートできる上に、電動パワートレインを搭載してテストするのに十分な大きさも備える唯一の現存する試験施設です。この唯一無二の施設のおかげで、GE AerospaceとNASAは電力伝送の実現可能性を的確に検証することができました。
GE Aerospaceのエンジニアリング担当バイスプレジデントを務めるモハメド・アリは次のように説明します。「今回のテストに成功したことで、私たちが高高度に対応できることが証明されました。次のステップは、実際のフライトで実証することです。」
世界のCO2排出量のうち、航空産業が占める割合はおよそ2.5%とされています。ハイブリッド電気推進テクノロジーを活用することはこの排出量比率を低減するために必須な要素であると多くの人が考えています。
アンドリュースも次のように語ります。「ハイブリッド車や電気自動車が自動車産業の姿を変えてきたように、GE Aerospace、NASA、ボーイングは同じコンセプトを空にも持ち込もうとしています。つまり、私たちは空においてもさらなる電動化を推進していきます。そうした電動化によって、私たちはより持続可能な未来を手に入れられることでしょう。」