
2022年: 今年のGEのイノベーションを振り返る
GE Reports スタッフ
2021年11月、GE会長兼CEOのラリー・カルプはGEが分社化によって3つの独立した会社を設立する計画を発表しました。その際、彼は常にGEの特色を際立たせるキーワードである「イノベーション」を取り上げて次のように述べました。「130年にわたりGEは自らが持つイノベーションのDNAを『Building a world that works』というミッションの達成に活用してきました。そしてテクノロジーの専門知識、リーダーシップ及びグローバルなリーチを通じて、大きな課題を次々と解決してきました。」
年が明けて2022年となった今年、GEのエンジニアと研究者達はカルプの言葉を実行に移しました。以下に紹介するのは、GEが「新しい空の旅」の未来を切り開き、「エネルギー転換」をリードし続けるなかで、この一年特に脚光を浴びたブレークスルー テクノロジー及び注目すべき構想やアイデアになります。
2022年1月、NASAはGEリサーチに3年間で170万ドルの助成金供与を決定しました。支援対象となる研究は、ピザを焼く窯より高温である金星の地表面を研究する上で不可欠なテクノロジーの開発とその実証です。このような研究は地球上でも恩恵をもたらします。GEの科学者が極度の高温に耐えられる電子機器を開発することは、ジェットエンジンやガスタービンの内部からデータを取得できるセンサーや、より優れた無人車両の製造に役立つ堅牢な機器開発などを含め、アビエーション、エネルギー、防衛分野における新たな可能性が期待されるからです。詳しくはこちらのGE Reportsをご一読ください。
2021年12月、ユナイテッド航空は、当日の機材の2基のエンジンのうちの1基に持続可能な航空燃料(Sustainable Aviation Fuel:以下SAF)のみを使用する旅客機を運航した初の航空会社となりました。これは歴史を塗り替えた偉業ともいえる成果です。ATAG(Air Transport Action Group:航空業界のサステナビリティを推進するグローバル連合)とIATA(国際航空運送協会)によると、石油からSAFに切り替えることで、燃料のライフサイクル全体を考慮した場合、航空業界は燃料によるCO2排出量を最大80%削減できる可能性があります。GE Aerospaceとユナイテッド航空のエンジニアは、パワーポイントで作成したスライド1枚の企画書から現実のフライトへと、1年足らずでこの偉業を成し遂げました。詳しくはこちらのGE Reportsをご一読ください。
2022年春、ニューヨーク州電力公社(NYPA)がロングアイランドのブレントウッド発電所で行った実証実験プロジェクトでは、GE製LM6000エアロデリバティブ(航空機用エンジン転用型)ガスタービンが体積比最大40%の水素混合ガスで数週間にわたって運転されました。このテストでは、水素混合比の増加とCO2排出量の減少との間に明確な相関関係があることが明らかになりました。この結果は、いわゆる「グリーン水素」の混焼が他の発電所でもさらに展開されることにつながります。詳しくはこちらのGE Reportsをご一読ください。
2022年2月、米国東部の大部分を担う電力会社であるテネシー川流域開発公社(The Tennessee Valley Authority、以下TVA)は脱炭素化目標の達成に向け、先進的な原子力技術を探求する新たなイニシアチブに同意しました。この「New Nuclear Program」は先進的な原子炉技術をテネシー州クリンチ・リバー発電所および「将来ほかのサイトにも展開可能なポテンシャルがあるかを検討するため」に最大2億ドルを供与することを目的としています。TVAはとりわけ、GE日立ニュークリア・エナジー設計の小型モジュール式原子炉(small modular nuclear reactor:SMR)であるBWRX-300に注目しています。詳しくはこちらのGE Reportsをご一読ください。
2022年7月にロンドン郊外で開催されたファーンボロー国際航空ショーで、エアバスはCFMインターナショナル(GEとサフラン・エアクラフト・エンジンが50:50で共同出資している合弁会社)のRISEプログラムに参加すると発表しました。RISEとは、Revolutionary Innovation for Sustainable Enginesの略で、次世代CFMエンジンの基盤となる高度なテクノロジーを成熟させ、実証することを目指す技術開発イニシアチブです。掲げる目標は従来のジェット燃料を使うジェットエンジンの中で現在最も高効率なタイプと比較しても燃料消費量を20%削減し、CO2排出量も20%削減するというもので、2030年代半ばまでの商業運航を目指しています。2020年代後半にテストフライトの段階に移行する際には、エアバスはCFMと協力し、オープンローターエンジン アーキテクチャを検証するためにエアバスA380で飛行試験デモンストレーター プログラムを実施する予定です。詳しくはこちらのGE Reportsをご一読ください。
すべての世帯が電気自動車を有し、屋根にはソーラーパネル、ガレージには充電システム、スマートサーモスタットや電気温水器など複数の装置を備えたスマートホームが立ち並ぶ未来を想像することは難しくはないでしょう。このビジョンが実現するにはまだ数年を要するでしょうが、エネルギー産業はその準備を着々と進めています。発電業界では「分散型エネルギー源(DER)」という専門用語も登場しました。2022年5月にダラスで開催されたDistribuTECH国際会議では、GEデジタルのオーパス・ワン・ソリューション(Opus One Solutions)がオーケストラの指揮者のような機能をもつ新たなソフトウェアを発表しました。詳しくはこちらのGE Reportsをご一読ください。
2022年7月、GE リサーチはアメリカ国防省の国防高等研究計画局(以下DARPA)のアンダーマイナー プログラムを完了し、地中にトンネル網を構築できるロボットを開発した3つのチームを発表し、そのうちの1つにGEリサーチが選ばれました。GEのグループは、地表からの支援がなくても岩だらけの地層さえ通り抜け、しかも通った痕跡として掘った土を残すこともないミミズのようなロボットを開発しました。次いでDARPAは、こうしてできる地下ネットワークを動き回れるようロボットに組み込める人工知能の開発もGEに依頼しました。詳しくはこちらのGE Reportsをご一読ください。
2022年春、ニューヨーク州で計画中の発電容量816MWのエンパイア ウィンド 1(Empire Wind 1)洋上風力発電プロジェクト向けの陸上および洋上風力発電用の高圧電力用設備を納入する業者として、GEリニューアブルエナジーのグリッド・ソリューションズ部門とニューヨークを本拠地とするボンド シビル&ユーティリティ コンストラクション社(BOND Civil & Utility Construction)が組んだコンソーシアムが選定されました。今後、再生可能エネルギー由来の電力をニューヨーク州の送配電網へ供給する見通しです。同州で両社が培うテクノロジーは、大西洋岸の約8万エーカー(約324平方キロメートル)もの大陸棚海域に広がり、数十基のタービンで生成されたそれぞれ周波数も異なる交流電力を、黄色い城郭のような威容を備えた洋上の変電所内に集積するために用いられます。集積された電力は次にこの変電所から長さ47マイル(約75.6㎞)の海底ケーブルを経由し、陸上に送電されます。ケーブルのもう一方の端は、風力発電所を送電網に接続するための別の変電所内で終端する計画です。運用開始後、同施設はニューヨークの50万戸以上の家庭の電力を賄う予定です。詳しくはこちらのGE Reportsをご一読ください。
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